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父と娘の日々

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認知症が進行していく、憎たらしく愛おしい父との、尊い日々の記録。
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2022年2月の記事一覧

それなり、ではなく、ほんとうに。

それなり、ではなく、ほんとうに。

お昼ごはんを食べた後は
眠くてしょうがないけど
がんばって歩きに行く。

昼寝も良いのだけど
基本的に暇だしサボリ魔なので
惰性でダラッとしてると
一日中ダラダラとしてしまう。

いつも歩きに出ると
がんばって良かったと思う。

実感できると
またがんばれる。

そういうことって
たくさんあるのだと思う。

大体のことは
めんどくさいが先に立つ。

どんなに自分のためになろうとも。

当たり前に習

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うちには鬼がいた。

うちには鬼がいた。

今日はお陽さまがギラギラ。

明日は春一番が吹くそう。
今晩は気温が下がらないって。

父にそう伝えたら
それは楽だねえ
と喜んだ。

まだまだ寒い日が続くと思うけど
もう春が来るんだな。

薄着で歩いたけど汗ばんだ。

ちょうど4時ごろ
神社の近くを通ったので
豆まきがどんな風に行われてるのか
見に行ってみた。

子供がたくさんいて
ワイワイ声が遠くまで聞こえていた。

豆はまかれた後だった。

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父と息子の化学反応。

父と息子の化学反応。

昨日は突然現れた弟に父を任せて
ケンチャンの実家へ。

お父さんもお母さんも
とっても元気そうで良かった。

ケンチャンちのことは
安心していられるのが
今の状況ではとてもありがたい。

弟も節目の時期なようで
と言っても去年からずっと
いろんなことがあって
めまぐるしいはずなのだけど
あまり表面には出てこないので
いつもポワーンとしているように見える。

いろいろ感じてるのに表面に出ないのか

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もうすでに。

もうすでに。

父はにっこり笑うだけで
私の役に立っている。

生きているだけで
家族のためになっている。

ひとは笑顔でいるだけで
周りの人達の役に立っている。

自分が幸せであることは
もうすでに世の役に立っている。

そう自分に言い聞かせながら
今日も父をお風呂に入れようと
あっちからこっちから説得するも
力及ばずだった。

でもようく父を観察していると
私がお風呂に入らせているのではない。

いつだって、

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頼りない娘の手を添える。

頼りない娘の手を添える。

少しだけ雪が降った。

空気が湿ってしんと冷たいので
外に出る気になれず
プライムビデオを観て過ごす。

父は今日からまた眠り続けている。

元気元気だった父の
大きな波が下降しているのか
ここのところパワー不足。

便秘も重なり
食欲もない。

レビーは自律神経に作用するそうで
便秘は典型的な症状。

元気な日にアロエの錠剤を飲まないと
ずっと出ないようで辛そう。

そういうことは
把握していて

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せきららつながり。

せきららつながり。

好きなシンガーがいて
グラミー賞にノミネートされていたので
今日は父がうろうろしてるのを横目に
ユーチューブでグラミー賞を追いかけていた。

まだ21歳のその子の作る曲は
昔聞いたことのあるようなメロディで
歌詞はよくあるようでいて
素朴なオリジナリティに
自然と共感するのだった。

グラミー賞を受賞した動画を観ていたら
まるで母のような気持ちになって
よかったね、よかったね〜〜 と
すごく感動し

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父の叔母のこと。

父の叔母のこと。

昨日は東京のおばちゃんに会いに行ってきた。

父がずっと面倒を見ていた
ひとり暮らしの認知症のおばちゃん。

去年の6月以降
会いに行っていなかったのだけど
時々父の幻視に出てくるようで
気になっている様子が伝わってくるので
私も気になっていた。

昨日はおばちゃんがお世話になっている
デイサービスにお邪魔して
おばちゃんの様子を見てきた。

私のことは覚えていないし
思い出しても3分位で忘れてし

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その声はどこから?

その声はどこから?

昨日はチョコの日だったので
スペシャルチョコバナナパフェを
父のおやつに作ってあげた。

喜んでペロリと食べた。

チョコは脳みそに良いと
母から強く洗脳されていたので
毎日チョコの日でも良いくらいなのだと思う。

自分がからだに良いと思い込んでる食べ物なら
何をどんだけ食べても
栄養になれば良いのにな。

自分のからだの声を聞いて
食べたいものを食べたら良いと言うひともいるけど
それは心身共にバ

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演歌で踊ろう。

演歌で踊ろう。

いつもの散歩道を歩いていたら
すごいレンズのカメラを持ったおじさんが
草を撮っていた。

すれ違いざまに見てみたら
私好みの小さな花が
たくさん咲いていた。

ぼけっとしてる間に
先越されたみたいで
ちょっと悔しい。

久しぶりにレコードを買った。
懐かしい匂い。

20代の7〜8年くらい
友達とコンビでDJをやっていた。

あらゆるジャンルの曲を
代わり番こにかけるはちゃめちゃ加減が
けっこう気

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幻視の恩恵。

幻視の恩恵。

父はここのところずっと
虫の幻視に悩まされている。

小さな虫が
布団の中にたくさん入り込んだり
口の中に入ってきたり
おなかの中にまで入ってしまうという。

一緒に想像して
気持ち悪〜〜となっている。

何もしてあげられないけど
一緒に気持ち悪い顔をして
共感してあげるようにしている。

起きている日は
部屋にお水を用意しておいて
しょっちゅううがいしたり
ぺっぺっと吐き出したりしている。

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父の記憶力。

父の記憶力。

春らしくなってきたし
髪型をガラッと変えてみた。

ケンチャンは
マイケルジャクソンみたいだね
と言う。

マイケル!?と思って調べてみると
若い頃のマイケルの髪型に
確かに似ている。

ケンチャンのそういう記憶力は
画家らしい能力なのかなあ。
まるで写真がそのまま
脳に焼きついているような。

そこに関しては
いつもすごいなあと感心する。

父の記憶力は
今やどうなっているのだろう。

父の脳に

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刺激からの解放。

刺激からの解放。

退屈な毎日に慣れてきて
退屈じゃなくなってきた。

どちらかというと
心地よい。
これって麻痺しちゃってるのか
それとも満足できているのかな。

去年の今頃は
毎日が濃厚過ぎて
一日が過ぎるのが遅くて遅くて。

でも今は
あっという間に過ぎていく。

毎日をたんたんと
穏やかに過ごしていくことが心地よく
非日常の刺激がうっとおしかったりする。

日常的な刺激はもはや
刺激として感じなくなっている。

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母の望み。

母の望み。

母が亡くなる少し前になぜか
散骨の先輩から
詳しく手ほどきを受けてあった。

母のお骨から分けておいた
小さなひとかけらを粉にした。

先輩は
粉にするのがとっても大変だよ
と言っていたけど
母はいつも自慢のように
骨粗鬆症なのよ〜〜と言っていたので
その通りに儚く脆く
すぐに粉になった。

明日は母の一周忌。

母の望みだった海に散骨。
なかなか腰が上がらなかったけど
かろうじて成し遂げられそう

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親子で見た夢。

親子で見た夢。

昨日は母の命日だったけど
自分が死ぬ夢を見た。

ビルの屋上にいたら
地震でビルが崩れ落ちて
地面にべちゃっと落ちて死ぬ夢だった。

夢の中でも冷静で
あ、落ちた。死んだ。
という感じだった。

死ぬ夢は良い夢らしいので
新しい人生が始まるような気持ちで
清々しく散骨を済ませた。

今日のお昼
父の部屋にごはんを持って行ったら
元気な日なのに、珍しく寝ていて起きない。

しつこく呼んでいたら
うっ

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