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母の望み。

母が亡くなる少し前になぜか
散骨の先輩から
詳しく手ほどきを受けてあった。

母のお骨から分けておいた
小さなひとかけらを粉にした。

先輩は
粉にするのがとっても大変だよ
と言っていたけど
母はいつも自慢のように
骨粗鬆症なのよ〜〜と言っていたので
その通りに儚く脆く
すぐに粉になった。


明日は母の一周忌。

母の望みだった海に散骨。
なかなか腰が上がらなかったけど
かろうじて成し遂げられそうだ。


母はもうすでに
海であり空であり土である。
でも
母の望みだけが私の頭の中に残っている。

明日それも水に流して
私はもひとつ軽くなる。

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