平成31年の振り返り
今年は歌舞伎だけではなく映画、演劇、ミュージカル、再びの宝塚歌劇など色々観劇しました。
まずは平成を振り返ってみたいと思います。
一月
初めて足を踏み入れた東京フォーラム。お正月3日から『すめらみことの物語』現在の大嘗祭など復活させた天皇の物語。天皇と口うるさい官女の二役。官女のいけずな京言葉がうまいこと。お祖母様が京都の方なのでやはり耳慣れておられたのでしょう。
猿之助さんはその後歌舞伎座夜の部『松竹梅湯島掛額』所謂”お土砂”の紅長さんです。多分初役。紅長さんも優しくてコミカルで良かったけど…。何度も遠征するには厳しい。紅長さんを観てお泊まりで翌日は国立劇場で音羽屋の賑やかなお正月舞台を拝見。きおいちょ目当てです。
・姫路城音菊礎石(国立劇場)
・初春大歌舞伎(松竹座)
・スリル・ミー
突き刺さったのは『スリル・ミー』成河ちゃんと福士誠治君の二人芝居。福士君を観に行ってそんはちゃんの歌と演技力に心をわしづかみされてしまいました。福士君はもちろん非の打ち所のない男前。変幻自在に表現を変えるそんはちゃんに心震えました。
猿之助さんはスーパー歌舞伎セカンドをする関係でファンも色んな役者さんと出会います。猿之助さんとご縁のある俳優さんの魅力を知るとそちらにも興味がわいてきます。福士君もその一人。福士君を観に行ってそんはちゃんに一目惚れ。そんなことが積み重なって気がつけば色んな演劇に足を運ぶ様になりました。来年はそんはちゃんが出演する『ねじまき鳥クロニクル』チケット取ってしまいました。猿之助さんが南座だというのに。
#松緑 #猿之助 #福士誠治 #成河
二月
『闇の歯車』チケット当選で映画を観たり猿之助さん出演無い月なのできおいちょの歌舞伎座日帰りしかも遠しで!
辰之助さんの追善で音羽屋、播磨屋、松嶋屋と豪華な顔ぶれ。
お目当ては『名月八幡祭』以前、笑也ちゃ美代吉、猿之助三次の配役で観たのですが、今回は豪華松緑縮屋新助ににざさま三次、たまさま美代吉。
新助を翻弄する悪気の無い悪カップル。狡い大人のカップルに翻弄されて人生を狂わせ殺人まで犯してしまう。新助が地元に帰るのを引き留め祭りに誘った得意先は歌六さん。猿之助さんや笑也ちゃんが演じたちょい悪カップルとは格が違う。きおいちょ(松緑)の感情の振れ幅も半端ない。猿之助さんが居ない歌舞伎座に行って良かったです。猿之助さんは唯一色悪が似合わない。ご本人が思うより可愛くなりすぎるのです。愛らしさゆえに、ねっとりとした業悪が飛んでしまうのです。猿之助さんは色悪が出来なくても十分素敵なので色悪禁止です。勝手に決めてます。きおいちょも色悪よりは騙されたり男っぷりのいい世話物が好き。荒事もいいけど世話が似合う。きおいちょが足を出して花道駆け抜けて欲しい。
他は箇条書きするほど心に残った作品か少ない月でした。
#松緑 #名月八幡祭
三月
この月は歌舞伎座出演というのを恨みました。
関西で何度も観たい。そう思わずにはいられないお役が二つ。
昼は吃又女房おとくを演じ、夜は弁天小僧菊之助と鳶頭清次のwキャスト、どっちも観なくちゃと初日と千穐楽泊まり遠征でした。
おとくを観るのは二度目鴈治郎御襲名以来でした。お相手が変わるとおとくの有り様もここまで変わるのかと感じずにはいられない芝居でした。喋りが下手な又平に代わって喋り続けるおとくのイメージが白鸚又平に合わせ静かで悲しみ深いおとく。ラストに喜びを見せるのもつつしみ深いおとく。なんて素敵なんだ。毎日この夫婦に会いたいと思いました。
夜は猿之助さんでは初見の弁天小僧菊之助幸四郎さんと弁天小僧はWキャストで弁天小僧をしない日は鳶頭清次。こちらも想像以上に格好よかったので驚きましたが、弁天小僧の愛らしさは言葉に尽くせません。お嬢様もモチロンですが男とばれてからが面目躍如、今まで見知ってる菊之助とは違うのです。
名台詞の後の南郷(幸四郎さん)とのやりとりがBLぽくてこれは少年ぽいおもだかの型だとか。何とはなしに愛らしい少年風の菊之助さんと言うよりは菊之助ちゃん。南郷もちょっと兄さん風の受け答え。萌えました。猿之助さん菊之助は最高!って叫びそうになりました。もっともっと観たかったです。
カレンダーを見るとその心の隙間を埋めるかの様に色々行ってました。
・劇団鹿殺し
・七之助舞踊公演
・偽義経冥界歌(劇団☆新感線)
・玉三郎舞踊公演(南座)
・神田松之丞独演会
・世界は一人(岩井秀人演出)
・UMEDA文楽
それぞれにその場を楽しみ考え、立ち止まったりしましたが、弁天小僧が恋しすぎた月でもありました。
#吃又おとく #弁天娘女男白浪 #弁天小僧が菊之助
#鳶頭清次
四月
平成最後の月でした。
山城屋(藤十郎さん)の米寿を寿ぐ鶴亀の亀を猿之助さんがあでやかな女方で舞う。夜の部はお家の大切な『黒塚』昼の亀は惚れ惚れと双眼鏡で所謂ガン見でした。たおやかに控えめに藤十郎さんの米寿の慶事を寿ぐ姿は猿之助さんが本当に喜びを表していてるのが伝わって来ました。
『黒塚』はここまで回復されたのか、でもまだここまでかという気持ちで見物しました。阿闍梨や山伏、強力の配役でも岩手、鬼女の感情も変化します。花道の仏倒れで一瞬明かりが消える。猿之助さん自身が完全に回復したわけでは無いというアピールだったのでしょうか。私は仏倒れで明かりを消さない初演の方が好き。新装歌舞伎座で勘九郎阿闍梨を相手に鬼気迫る鬼女を踊ったあの日の『黒塚』は歌舞伎座の客席を圧倒しました。またあの『黒塚』と、いえ、もっと進化した『黒塚』と出会える日を待っています。猿之助さんの黒塚は本当に毎回工夫を重ねるので何があっても見逃してはいけない演目の一つ。次の黒塚も心待ちにしています。
・高麗屋襲名巡業
・シネマ歌舞伎 桜の森の満開の下
・陽春大歌舞伎(御園座)
・まほろば(蓬莱竜太)
・ライムライト
猿分不足の月は話題の物を探して観るくせがあるみみたいです。きおいちょのブログを観て急遽名古屋遠征したのは自分の機動力をほめたいと思いました。黒塚初日観劇叶わずのツラさはい、口惜しや口惜しやと歯噛みする悔しさでしたが、楽日に観られたから良し。
きおいちょは八犬伝犬飼現八。八犬伝はあまり好みの狂言では無いがきおいちょが出演すると好きになるという現金なファンである。きおいちょ格好いい!躰から男の色気が匂い立つのだ。ここが猿之助さんと違う所。抱きしめたくなるような愛らしい色気を放つ猿之助さんと抱きしめられたくなるような男の色気を醸し出すきおいちょ。叶うなら毎月この二人の組合せの狂言が観たいです。一本刀土俵入の夫婦は良かったなぁ。
やはり人生の真ん中は猿之助さんだとつくづく感じた平成の終わりでした。
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