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不自由さの中にある自由をみつける。

 僕は、色覚異常者である。でも、信号の色を見間違えることはない。もちろん普通自動車運転免許も取得したし、車も運転している(ちなみに取得および更新時にそのような色覚検査はなかったし、免許証等にそれらを書き加えることはない。眼鏡等の記載はあるが。)。でも、飛行機のパイロットなどには、現行の基準ではなることができない。しかしながら、色覚検査をすると必ず見えない、もしくは見えづらい色がある。

先天赤緑色覚異常の発生頻度は、日本人では男性の5%、女性の0.2%です。つまり、男性では20人に1人、女性では500人に1人の割合です。決してまれではありません。ちなみに、白人における発生頻度は8 ~ 10%とされています。

 以上は、公益社団法人日本眼科学会からだされている『冊子「色覚異常を正しく理解するために」』からの引用である。僕は、先天性色覚異常であり、現在のところ、科学的に根拠のある治療法はないとのことで、治療のために通院した、もしくは、手術を受けたなどの経験はない。

 最初に気付かされたのは、小学生5年生のときだった。技術家庭科担当の先生に呼ばれ、電子工作の授業で使用するコンデンサや抵抗器についている色の識別ができるか否かを確認されたときだった。コンデンサや抵抗器の規格を表示するカラーコードとは、日本工業規格(JIS)で定められている黒は0、茶は1、赤は2といったものである。これがわからないと、授業を進めるにあたって困難である可能性があることから、確認されたのだと思う。結果は問題なく、授業をうけることができた。

 それがきっかけで帰宅したのち、家族にその話をした。すると、母方の祖父の話が出てきた。祖父は、洋服屋を営んでおり、お客さんから生地見本を見せて欲しいと言われても、なかなかお客さんの言っている色の生地が出せない。最後には、店にある生地全部を広げなければならないという始末だったそうだ。しかし、母親は、それまで自分がそんな経験をしたことがなく、中学卒業後、すぐに繊維会社で働いたが、小さな職場でそのような検査もなかったらしい。それで、前途に戻って、公益社団法人日本眼科学会から出されている『色覚異常を正しく理解するために』によれば、女性の場合は、色覚は正常であっても、保因者といって先天赤緑色覚異常の遺伝子をもっていることがあります。この保因者の頻度は10%、10 人に1人です。とあるため、遺伝、もしくは隔世遺伝したのかもしれないと思っている。

 ところで、デザイナーのみなさんは、クライアントの要望を聞いたり、プレゼンなどを行う際に、PCで行うことが多いかもしれない。PCで再現できる色は、基本的には、レッド、グリーン、ブルーのいわゆる「RGB」が基本となっており、Web セーフカラー216色で作成すれば、OSの違うPCでも、表示できるのは、ご存知の通り。その上で、サンプルカラーを用意しておいて、より具現性の高い提案をすれば、クライアントとの要望の溝を埋めることができ、ミスマッチが起きる可能性が少なくて済むし、効率的であると思う。

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 相手にどのように見せるかも必要だけど、相手がどう見えているかを考えることも大切なことだと思う。最近は、下記の記事にあるように、CUD(Color Universal Design )やUD(Univerdal Design)を考慮したフォントやデザインのCM、カレンダーや配布物、印刷物、教科書なども多く見かけるようになった。一見、健常者だと思える人の中にも少しの配慮で自由になれる「不自由さ」を持っていることもある。不自由さの中の自由を見つける視点をもつことが快適な社会を築く基本にあるのかもしれない。

参考




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