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インタビュー記事ってどう書くの?

【掲載日:2021年8月27日】

「インタビュー記事を書きたいけど、どうやって書いたら良いのか分からない」
「インタビュイーの想いや考えを伝えられる文章にならないのだけど、どうしたらいいのか?」

そんな相談をちらほら受けるようになったので、今回は6年間のインタビュー経験を棚卸しして、こんな点を押さえておいたらいいんじゃない?ということをまとめてみました。

1.音源を文字起こししよう

私はまず、文字起こしをおすすめします。6年経った今も、私は文字起こしする派です。もちろん「2000字程度の原稿だったら文字起こししないし、文字起こししている時間がもったいない」という方もいらっしゃいます。でも、特に初心者は文字起こしした方が良いと思います。

理由は3つ。

1つは、文字に起こして目で読み返すことで、何を言おうとしていたのか客観的に見返すことができるから。音源を聞き直してもそれは可能かもしれませんし、人にもよると思いますが、私は、目で見た方が客観視できるので、伝えたかったことが分かるような感じがしています。感覚的な話になってしまいましたが、実際に「言いたいことと全然違う」と言われたことはないので(特に最近は)、インタビュイーが伝えたいことを大体分かることができていると思っています。

文字起こししない派の方の1人は、音源を聞き直しながら取材時のメモに追記していって、それをもとに記事にしていくそうです。一時期、私もこの方法を試してみたことがありますが、話すスピードに合わせて慌ただしくガ―ッと追記していくので、追記の時に、ニュアンスが若干違ってしまうことがあり、結局音源を聞き直さないといけないことがありました。

あと私の場合は、そもそも取材時にあまりメモを取りません(笑)。そのため、元々のメモ量が少ないので、インタビューを聞き直しながら追記していくと、追記しなければいけない量が増えて、それでかなり忙しく書く羽目になり、ニュアンスを落としてしまっていたと思われます。
取材時のポイントは追々まとめようと思いますが、取材時に一生懸命メモを取ろうとすると、どうも話が入ってきません。それでは元も子もないので、話に集中し、メモはキーワードになりそうな言葉や、気になって「あとで聞こう」と思ったこと程度にしています。ですから、私には”メモに追記”は向いていないと思ったこともあり、文字起こしをしています。

文字起こしした方が良いと思う2つ目の理由は、特に初心者の方の場合、質問の仕方の振り返りにもなるからです。初期の頃は、質問の仕方がうまくないので、聞きたいと思うことをうまく聞き出せなかったりします。インタビュー力を上げるためにも、文字起こしを見返して「ここをもっと聞けばよかた」「こんな聞き方をしたら、もう少し深い話が聞けたかもしれない」と自分の質問の仕方を振り返る良い機会にもなります。

3つ目は、WordやGoogleドキュメントで文字起こしをすると、完成した文字起こし文章を組み替えるだけで、文章の構成が出来上がるからです。そうすると、原稿の文字数を大まかに把握できるので、原稿に仕上げていく過程がやりやすいです。例えば、初稿を仕上げるのにどれくらいの作業時間がかかりそうか目星がついたり、規定の文字数に対して多いか少ないか、どれくらい内容を圧縮した方がいいのか、他の内容も盛り込んだほうがいいのか、などの目安が分かったり。その後の作業の見通しが立てやすくなります。

【枝葉の話:文字起こしの時短テク】

当初は、ICレコーダーの音を聞きながら、ひたすらキーボードで打っていましたが……まぁ時間のかかること……苦笑。時間を短縮するためにはキーボードを打つ速度を速くしなければいけませんが、それも一朝一夕でできないですし、結構手首や指の付け根が痛くなるので、あまり良くないなぁと思っていました。

そこで取り入れたのが音声入力。特にGoogleドキュメントの音声入力はかなり優秀です(私はマイクロソフトにあまり良い思い出がないので、Google贔屓です笑)。日々精度も上がっているはずなので、音声入力を導入し始めた頃よりも、よく聞き取ってくれるようになっていると思います。

大体、打ち込み入力の場合「取材時間×2倍」の時間かかっていたと記憶していますが、音声入力の場合「取材時間×1.5倍」に短縮しました。PCの調子がいい(?)ときや、インタビュイーの方がゆっくりお話される方だと、ICレコーダーを一時停止せず、ほぼノンストップで入力できるので、もっと早く終わります。
ライターはただでさえ、キーボード打ちまくるので、手をいたわることもできます(これ、結構大事だと思う)。

どうやって音声入力しているかというと、ICレコーダーにイヤホンをつないで聞きながら、同時にPCに向かってしゃべります。第三者から見ると、ひたすらPCに向かって話しかけている変な人状態ですが、効率化と手をいたわるためには致し方ないと思っています(笑)。
ちょっとあまり人に見られたくない状態になるので、1人かつ静かな場所が必要にはなりますが、その辺は工夫次第でなんとかなるでしょう。2時間かかっていた作業が、1時間半にできるのは、何ものにも代え難いと思っています。

2.インタビュー記事ライティングの肝

枝葉の話が長くなってしまいましたが、インタビュー記事書き方のコツ2つ目です。

ライティングのコツは、ずばり「文字面だけを見て原稿を書かないこと」
つまり言外の考えや思いを汲み取る、行間を読む、ということです。そうしないと、下手すると、インタビュイーが言いたいことと全く違う記事になってしまう可能性もあります。

ライター駆け出しの頃、文字起こしした“文章”だけを追いかけて原稿にしたところ、先輩ライターから「インタビュイーが言いたいことと全然違う」と言われたことがありました。
それ以上もそれ以下も言われず、当時は何がどう違うのか、なんで違うのかが全く分かりませんでした。でも今振り返ると、話している言葉だけ、文字起こしした”文章”だけで原稿を作ったからだと思います。

インタビュイーは多くの場合、アドリブで話します。もちろん事前に質問項目を送って、予めどんな質問をされるのか想定してもらっていますが、インタビュアーとの対話の中で、その場で自分の考えを言葉で紡いでいきます。原稿が用意されている講演とは違います。
そのため、論理的でなかったり、ちょっと違う意味合いの言葉を選んだりしている場合があるので、インタビュイーの話した言葉だけを拾って原稿にしていくとズレる場合があるのです。

「こういうことを言っているけど、これはどういう意味で言ったのだろう?」
「△△という言葉を使っているけど、話の流れからすると、こっちの言葉の方がしっくりくるのでは?」
「少しまえには〇〇と言っていて、今◎◎といっているということは、●●ということか?」

と、言葉の裏の意味のようなものを読み取って原稿にしていく必要があります。
分かりやすい例文がすぐに思いつかず、やや抽象的な話になってしまって申し訳ないですが、うまい例文が思いついたら、更新したいと思います。

あと、言葉の裏の意味を読み取る際に注意しなければいけないのが、自分の経験から想像してしまうことです。人の経験や考えと自分のそれらは似た部分があったとしても、100%同じことはありません。
自分と似た境遇の方のインタビュー記事を書く時には特に注意した方が良いと思います。「自分はこの時、こんなことを思ったから、きっとこうに違いない」と言葉の裏を読み取っていくと、全然インタビュイーの思いと違う内容になってしまう可能性があります。
もちろん、想像力を働かせなければ言葉の裏側を読み取ることはできないのですが、自分の経験と当てはめないようにすることを頭の片隅でいつも意識しておくことが大事ではないでしょうか。

そして相手の経験や考えをより深く分かるためには、相手の置かれている境遇や環境、どんな常識を持っているのかなどの理解が必要です。ブックライターの上阪徹さんの言葉を借りると「相場観」をつかむということ。簡単なことではありませんが、インタビュイーの思いや考えを汲み取っていくには、ここを掴むことは非常に重要です。
私の場合は、同じ分野で活躍している方のインタビューを何度も繰り返す中で身につけていったように思っています。

3.まとめ

今回はインタビュー記事を書くためのポイントをお伝えしました。

・音源を文字起こししよう
・インタビュイーの話した言葉だけで原稿を書かず、言葉の裏を汲み取ろう

インビュー記事は、取材先が1人ですし、簡単だと言われることもありますが、本当にインタビュイーの思いを汲み取った記事を書くのは、決して簡単ではないと思っていますし、奥が深いと思います。

インタビュー記事をうまく書きたいと悩んでいる方にとって、少しでも参考になれば嬉しいです。


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