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音楽家の旅行記 金沢編 -Part3 1日目 昼 加賀友禅会館〜近江町広場-


加賀友禅会館

そして念願の加賀友禅会館へ向かう。ここではたくさんの加賀友禅作家の作品や加賀友禅の歴史、制作過程の説明、また加賀友禅の創作体験や土産物の販売等が行われている。人の作品なので加賀友禅の写真を掲載することは控えることを予め断っておく。
加賀友禅は宮崎友禅斎が大きく発展させその名声を高めた。石川の色として五彩と言われる臙脂・藍・黄土・草・古代紫を基調とされている。実際に創作体験現場に染料とパレットがあったのだが本当に5、6色程しか容易が見当たらなくあの派手で多彩な色彩感からは実感が湧かなかったくらいに色合いが少なく感じた。恐らくぼかしの技術により新しい色が生まれるのだろうがそのぼかし、今風にいうとグラデーションが如何に華やかな色合いを作るかという事を思い知った。加賀友禅の特徴としては写実的である事(京都の京友禅は逆にデフォルメが強い)、葉に虫食いの描写が時折見られる事、外ぼかしという外側を濃く中心部を淡く染める技法が主に使われる傾向にある事(対して京友禅は内ぼかしという内側を濃く外側を淡く染める技法が主流)である、とのこと。このぼかしは現代の加賀友禅作家の作品の中では一概にそうとも限らず外側がかなりぼかされているものもあったように思う。音楽と一緒でやはり新しい技法を織り込んでいく傾向があるのだろうか。
実際に見る本物の加賀友禅は思っていたよりは繊細な印象であった。個体差もかなりあるのだろうがもっと派手なものがたくさんある期待をしていた。染色の技法を図解で知ることができたのは貴重な収穫であった。この方法論を音楽に当てはめたらどんな風になるだろう、とそんな思いに馳せながら会館内を回っていく。どうも今は企画コラボ展示も行われており、ゲームかアニメのキャラクターをイメージした加賀友禅の作品も展示されておりモダンな加賀友禅を見ることができ面白かった。

昼食

一通り回った後、朝食に海鮮丼、牡蠣、ホタルイカ、おやつにあんころ餅を食べてそこそこ満腹なのにかかわらず食い意地の張っている私はお昼に金沢カレーを食べたいと近江町市場へ戻る。友人が紹介してくれたカレーのチャンピオンが近江町市場内にあるためだ。石川在住の別の友人はゴーゴーカレーを勧めてきたのだが東京でもチェーンがかなり多くある店である故やはりここは現地ならではの店に行きたい。帰り道は兼六園の周りの屋台を見ながら向かっていくが、ここで見た三色団子が東京のものより色が鮮やかだの、金箔ソフトクリームが1100円で仰天するだの様々な発見と共に疲れた足を運んで行く。
近江町市場の地下に入り、ミニカツカレーがあることに歓喜し食券を買い愛想のおばちゃんに食券を渡す。

金沢カレー

しばらく待つと到着した。この銀の皿にかなり粘度の高いどろっとしたカレーに千切りキャベツの付け合わせがデフォルト、定番のトッピングはソースのかかったカツだ。ゴーゴーカレーのレトルトはたまに食べていたためこのかなり癖の強い金沢カレーに大きな驚きはない。こちらのカレーはゴーゴーカレーのように黒い色ではないがそれでもどろっと塩気のかなり強い味だ。そこに千切りキャベツが合わさるとちょうど良い塩梅になり美味しくなる。トンカツもカラッと揚がっており男子学生が喜んでガツガツ食べるイメージが容易に湧く。スプーンではなくフォークで食べるカレーは新鮮であった。

軽めの昼食を終え、金沢駅に歩いて向かう。夜行バスの後朝から登山リュックを背負ったまま歩き詰めでだいぶ疲労があったが、こちらも日本に帰国して以来念願だった白川郷への観光だったため力を振り絞り、と同時に空回りしかけている気持ちを抑えながら金沢駅西口のバスターミナルへ向かう。白川郷行きのバスの列には40人ほどいたのだが驚いたのは日本人は恐らく私だけだった。金沢は想像以上に外国人観光客で溢れかえっていた。

次回へ続く。

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