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血も凍る

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怪談ツイキャス「禍話(まがばなし)」で放送された怖いお話を、色々な方が文章に“リライト”しています。それを独自の基準により勝手にまとめたものです。
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2020年11月の記事一覧

【怖い話】 だぁれ? 【「禍話」リライト48】

 町の変なところに、公園がポツンとできていたりする。  この区画なら家かアパートでも建てればいいものを、と思えるような場所に、公園がある。 「ここに公園かぁ。まぁこういう憩いの場があるってのは、悪くないかな」  そんなことを考えつつ中を覗くと、遊具がなかったり、手入れがされていなかったりする。  あるいは誰も遊べないくらい、異様に狭かったりする。  この公園、どういう理由で作られたんだ?   そんな風に、いぶかしく思うことはないだろうか。  今回は、そういう公園の話である

禍話リライト「なぞなぞの家」

お化け屋敷に行こうとして行けなかった。そんな話だ。 つまるところ目的地は廃墟だった。しかも心霊スポットなら、行ってもろくなことがない。そもそも私有地なら不法侵入になってしまう。よかったじゃないですか、と言った。 「うーん、私のせいで行けなかったから……まあそれでよかったって話なんだけど」 Oさん――この話をしてくれた女性――はそう苦笑する。彼女はさっぱりとしていて気風のいい、つまり姉御肌、という感じの女性だった。そんな彼女の身に何が起こったのだろう、と思いながら、先を促した

禍話リライト「喜か怒か哀か楽か」

 とある姉弟の、お姉さんのほうから聞いた話だ。  お姉さんは大学生で弟さんは高校生。たまに親御さんが家を空けることがあると、弟さんは夜遅くまで友達と遊びに行ってしまうのだそうだ。  ある夏の、親御さんが不在の夜のこと。連絡があったら自分の所在は上手く誤魔化してくれ、と弟さんから頼まれたらしい。 「いいけど、どこ行くの?」 「今日はねー、肝試し」 「肝試し? バカなことやって補導なんかされないようにしなさいよ」 「大丈夫、トンネルとかダムとかじゃなくて家のなかだから」 「え

禍話リライト:なんにもない家

 仮に八区とする団地には大層な門構えの屋敷があった。  一目で財を持つ人間が住んでいるのがわかるほど、豪勢な一軒家だった。だが、ある時を境にして住人が失踪した。いつからいないのか、はっきりとした時期はわかっていない。  家のある一角は交通の便もよい立地で人気があった。すぐにでも取り壊して売りに出されそうなものだが、何故か一向に着工されない。門から家までまるごと、そのままの状態で残されていた。  かといって特段管理されてもいない。荒れ放題の庭から隣家に草木が伸びてくれば、

【怖い話】 来る女 【「禍話」リライト47】

【ご注意】 この話を読んだ日の夜は、ひとりでトイレに行かない方がいい……かもしれません。 「俺だけ大丈夫だったんですけど……いや、大丈夫じゃなかったのかな……」  と語るBさんの、高校時代の話。  友達が学校のトイレに行った。  ただそれだけで、おかしな出来事に巻き込まれたそうである。   男友達と5、6人で、夕方まで教室に残って予習・復習をするのが日課だったらしい。 「成績第一! ってわけでもなかったんですよ。まぁ、ダラダラ喋ってるよりはお得かな、みたいな」   塾に

【禍話リライト】2時の御膳の部屋

2ちゃんの有名な話みたいなのって無いかな、って周りに言ってたんですよ。半年くらい前から。 誰も返事してくれないわけね。それだけは。 なんか「こんなオバケ出た」とか「車に轢かれたオバケが」とかは言うくせにさ、その話だけ無くて。「お前の要求が高すぎる」とか言われてたの。 一つ、来たんです。その、有名ネタに近いようなやつで、オリジナルで怖い話が。 俺より年上の人なんですけどね。「リゾートバイト」みたいな話が来たって言うの。 俺笑っちゃって。「リゾートバイトみたいな話来たの?」っ