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血も凍る

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怪談ツイキャス「禍話(まがばなし)」で放送された怖いお話を、色々な方が文章に“リライト”しています。それを独自の基準により勝手にまとめたものです。
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2020年7月の記事一覧

禍話〈ネンネシナ四部作〉

 以下勝手に銘打った禍話〈ネンネシナ四部作〉のリライトと推奨される読み進めの順番になります。マガジンにも登録済みですが、分かりにくかったので補足的に投稿します。  ご確認の上読み進めていただきますようよろしくお願いいたします。 ①「待ち受け画面」  ある大学のAくんの話。 ②「ひとりうたい」  ある大学の准教授の話。 ③「感染するノート」  ある大学の学生の話。 ④「ネンネシナ」  ある大学の民俗学研究会の話。 各記事、著作権フリー&オリジナル怪談ツイキャ

禍話リライト『ヘルメットの家』

その日は、まだ明るい時間から友人と2人で飲んでいた。 そっちから誘ってきたというのに、友人の方はほとんど飲まずに、何故かこちらにばかり勧めてくる。 (コイツこんな時間から酒飲むような奴だったか……?)と思いながらも、タダ酒なので遠慮なく飲んでいた。 なにかのタイミングでテレビをつけると、たまたま警察ものの特番でバイクの事故の話題をやっていた。 「こういうのってホント悲惨だよなー。バイクって結局横からぶつかって来られたら終わりだもんな。身体守られないし、ヘルメットしてたって気休

【怖い話】マスク大家族【「禍話」リライト40】

 幽霊や怪異の出てこない、少し寂しくなるような話である。  Uさんは学生時代、古いアパートに住んでいたそうだ。 「そこがボロいところでねぇ。まぁ住むだけなら困らないし、汚いわけではないんですけど……」  古く狭いひと部屋に、家具や家電や布団を置くのである。まっとうな独り暮らしとしてギリギリな広さだった。  もちろん壁も薄い。左右の部屋の音もよく聞こえたし、上の階の生活音まで聞こえるくらいだったという。  大学から近かったせいかたまに友達を呼んで酒を飲んだりした。だが騒ぐと近

[禍話リライト]トンネルの宴[禍話 第六夜]

個人で経営している塾が閑散期に入ってどうにも暇である。久々に実家のある北九州に帰省することにした。 あくまで個人でやっているので、世間一般の休みとは微妙にずれている。せっかくなので鈍行を利用してのんびり帰ってやろう。 ガタンゴトン ガタンゴトン 都会から徐々に田舎に移り変わっていく景色を楽しみながら、久しぶりにくつろいだ気持ちになれた。こういうゆったりとした時間は久しぶりである。乗客のスーツの割合も少なくなってきて、緩んだ田舎の空気の割合が増えてきた気がした。 そろ

【禍話リライト】嫁入りの山

昔からその山では『嫁入り』があるとされていた。 普通はそれが狐の嫁入りとかピュアなものかと思うけれど、"それ"は土着のマタギのような人たちの強い訛りと方言と符丁みたいなもので名前は聞き取れず、どういったモノなのかはわからない。獣か怪異か、それ以外か。ただ〇〇の嫁入りがあると言われていた。 それを見てしまうと良くないことや最悪死んだりするというありがちな展開ではあるものの、死因は一辺倒で”なにかに喉笛を噛み千切られる”のだという。だからそんな死体が見つかったら「ああ、こいつ〇〇