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血も凍る

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怪談ツイキャス「禍話(まがばなし)」で放送された怖いお話を、色々な方が文章に“リライト”しています。それを独自の基準により勝手にまとめたものです。
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2019年9月の記事一覧

【禍話リライト】いる

九州にある大学の、とあるサークルであった話。 そのサークルには、いわゆる霊感少女がいた。といってもそっちの方向のサークルではなく、楽しく酒を呑んだりするがメインの健全な集まりだ。 ゲームやら音楽やら昨日見たバラエティ番組の話を皆で賑やかに話していても、その子はいつだって唐突にそういった話題を出してきた。普通だったらなんだこいつと面倒くさがられてハブられるものの、問題はその子の容姿がなかなか可愛いということだった。 なので下心丸出しの先輩が同意したり聞き返したりと構えば構うほ

禍話リライト「針金の部屋」

 大学のサークルで、夏の大会に出場するために遠征したときの話だ。  ホテル側の不手際により引率の先生の部屋しか取れておらず、部員たちはあわてて探した安宿に泊まることになった。  それでも宿は確保できたし今年こそはと乗り込んだはずが、初戦敗退という結果に終わってしまった。  本来なら、明日の試合に備えてミーティングをして士気を高めて……と過ごすはずが、完全に暇になった。とにかくやることがない。  そのビジネスホテルは辺鄙なところに建っていて、外に出たって遊べるような施設もない。

【禍話リライト】とびおりさん

これは良くない話なんですけれどもね。 都市伝説で「とびおりさん」っていうのがあるんですよ。全然面白くない都市伝説で。 俺が読んだ本では広島県って書いてあったんだけど、小学生の子どもたちがその場でジャンプしながら「と~びおりさん、と~びおりさん」ってわらべ歌みたいなものを歌うだけのものなんです。 PTAの親御さんも、これなにが面白いんだろうって思うんです。ただ歌うだけだから。すごい笑顔で歌ってるけどそのあとになにが起こるわけでもない。鬼ごっこみたいな遊びに発展するわけでもない

禍話リライト「ニワトリちゃん」

 昭和の終わりごろのことだ。  その男性教師はある田舎の小学校に赴任した。田舎暮らしは初めてのことで、住人の距離の近さに戸惑うこともあったという。  しかし、新しい生活に慣れるにつれて印象は変わっていった。大人たちの一種の馴れ馴れしさは親切心の表れ。子供たちは純朴で活発。田舎暮らしも悪くないと思うようになった。  彼が勤める小学校は、敷地内にニワトリ小屋があった。別段珍しい話でもない。  小屋と言ってもなかなかの大きさで、子供たちがニワトリの世話をしている。これもまあ珍しく

禍話リライト:もてあそびかえす女

報いを受けて当然の人が、報いを受ける話。 大学で知り合った友達Aちゃんは、いつも明るくて気さくで気が利くとてもいい子なんだけど、何故か大学のキャンパスで女の子をとっかえひっかえしているようなチャラい男を見かけると急に険しい顔になり、なんならそいつを睨みつけるという、ちょっと変わったところがあった。 夏休みも目前、飲みの席で、お酒も進んでぶっちゃけトークになった。自分が高校生の時に付き合った彼氏に二股かけられてぶん殴ってやった最悪だったーって話をしたら、Aちゃんは「本当最低

はなむすめ

※THE 禍話 第6夜より。  昔、気管支が悪くて。今はもう大丈夫なんだけど。  夏休み、お爺ちゃんの家に行ってたんです。お婆ちゃんは物心つく前に亡くなってたんだけど、お爺ちゃんが可愛がってくれて。  小学校に上がったくらいの時期かな。お爺ちゃんの部屋で過ごしてると、軒先で大人の話している声が聞こえてきた。その内容が、「知らない女の子が花を玄関先に置いていくのは困るな」っていうの。自然に囲まれた田舎のこと、知らない子供がいるっていうのもおかしな話だった。  どうやらその子、

禍話「で、どうする?」

※このお話は、怪談ツイキャスの「禍話(まがばなし)」を書き起こしたものです。 マガバーススペシャル 2019年3月21日(97)放送 (1:40:28ごろから) ジャスティス・ゴースト話があったところで、これも因果応報って言うんでしょうか。ただそれって段階を踏んでとかではなく、向こうのタイミングで来るから。というお話です。 ーーーーーーーー Bちゃんは、大学でサークルに入り、友達ができた。その女の子はすごくいい子だった。さりげない気遣いができ、人の悪口も言わず、人に怒