日本神話と人口減少を考える
昨日は月に一回開催されている万九千神社の日本書紀講座に参加してきました。万九千神社は、神在月の頃全国の神々が出雲にお集まりになった時、最後に立ち寄って直会(宴会)をされる場所です。
宮司の錦田さんは能弁でムズカシイ日本神話もとてもわかりやすく、また笑いも交えながらお話しになるので私は月に一回あるこの講座が毎月の楽しみになっています。
私自身今年に入って古事記、出雲国風土記と読んでいたのでちょうど良いタイミングで日本書紀の講座を受けることができました。
講座の中では古事記と日本書紀とを対比しながら話され、両者の違いや内容をより深く理解することができます。
日本書紀は本来外国向けに書かれた書物で、古事記と比べると私の住んでいる出雲の事はあまり書かれていないようです。
それに比べ古事記の上巻(神代の話)は1/3が出雲の話であることを考えると、大和朝廷がいかに出雲に気を遣っていたかがわかります。
講座の最後にはお神酒代として出雲生姜のジンジャーエールを頂くことができ、お酒の飲めない私にとっては飲むと元気が出るので大満足です。
さて、神話と現代の問題(人口減少)とを交えて書いてみたいと思います。
日本神話では、沢山の神々を誕生させた男女神イザナギとイザナミですが
イザナミが最後に火の神をお産みになった時、火傷をして死んでしまい黄泉の国(死者の国)へ行ってしまいます。
イザナギはイザナミを現世に連れ戻そうと黄泉の国へ行きますが「私の姿を見てはいけない」というイザナミの忠告を破って姿を見てしまい追いかけられます。
そしてイザナギが黄泉比良坂(黄泉の国と現世の境)まで逃げ帰ったとき、イザナミが「私はこれから一日に千人殺します」と言ったのに対し、イザナギは「では私は一日に千五百人生みましょう」と言ったためそれ以来日本の人口は増えることになりました。
さて現代の人口はどうかでしょうか。その逆の現象が起きています。
2008年にピークをむかえた日本の人口は、減少に転じその一途をたどっています。
昨年日本は前年比で60万人以上の人口が減少しましたが、これは鳥取県の全人口よりも多く、たった一年で一つの県が消滅したと考えると恐ろしい数です。
今まさにイザナミが千五百人殺して、イザナギが千人しか生まないという逆の現象が起きています。
その原因が少子高齢化社会にあります。ベビーブーム世代が高齢者となり死亡者数が増え、近年子供の出生率が減ってきているため人口減少へとつながっています。
逆ピラミッド型の人口で、減少していると日本の経済や国力に悪影響を及ぼします。
高齢者と子供の負担を担っている子育て世代の負担はますます増え、更なる少子化に拍車をかけます。負担が増す割に給料は増えないため、男性は生活残業をしたりそれが長時間労働に繋がっていることもあると思います。男性の育児休暇が取りにくい要因もそこに関係しています。給料を増やすために昇進を目指しても、ある程度会社の都合の良いように残業ができないといけない。まだまた日本の企業はそういうところが多いと思います。
そのため母親のワンオペが増えたり、低賃金で働かざるを得なくなったりします。とにかく今世の中の子育て世代のお母さんはとても頑張っています。一番日本の将来を支えていると存在と言っても良いと思います。
子供の世話や家事で選挙に行く時間もないのかもしれません。むしろ選挙に行っても反映されない投票より、その時間で子供と一緒に過ごしたり、自分がリラックスしたり楽しむ時間に当てた方が良いと考える人が多くいてもおかしくありません。
ますます子育て世代の投票率が下がり、民意が反映されないという悪循環に陥ってしまいます。
世の中は副業を推奨する方向にあるのかもしれませんが、それも働く時間が増えることを考えるとどうなんでしょう。楽しく生きがいとなる、働くという概念が外れた副業なら良いのですが。
日本の少子化の対策は諸外国と比べても遅れていると言います。日本の政治には子供が生みやすく、育てやすい社会を実現するためにイザナギのようにタブーをおかすくらいの積極的な施策を期待します。
後半は少々熱くなってしまいました。
人口が減少する社会ではイザナミのパワーが大きくなっているとも言えます。つまり、女性のパワーが強くなってきているということです。
女性活躍や家事育児支援など、子育て世代の女性にメリットが増えるような社会になっていくことを願います。
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