見出し画像

カタリバとETIC.は何を目指して協働するのか?全国から採択された14団体とともにユースセンター起業塾始動【2022年7月14日号】

こんにちは、ソーシャルイノベーション事業部の川島菜穂です。東京は梅雨戻りの雨が続いています。皆さんは夏バテなどされずお過ごしでしょうか。

今回は、ETIC.が2021年から関わる「ユースセンター起業塾」についてお届けします。このプロジェクトは、認定NPO法人カタリバが推進するもので、日本全国で10代の居場所「ユースセンター」の起業を目指す人たちを支援するものです。

今回のメルマガでは、「ユースセンター起業塾」を担当するカタリバの渡邊さんと吉田さんに、ETIC.との協働についてお話を伺いました。

全国の14団体とのキックオフ研修(東京・上野)

「ユースセンター起業塾」カタリバ担当者

渡邊 洸
1983年生まれ。岩手県北上市出身。北海道大学公共政策大学院修了。 地域資源を活用したまちづくりについて学んだ後、地方自治体の行政改革、業務改善を支援。以前より地元へ戻ることを考えていたが、東日本大震災からの復興を支援することが先決と考え、2013年2月よりカタリバへ。現在はユースセンター起業塾等の責任者を務める。

吉田 愛美
1991年福島県生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒。地元の力になりたいと、転職を経て地元選出の国会議員秘書を勤めた後、2016年1月にカタリバ入職。コラボ・スクール大槌臨学舎で広報・事務・教務(中学校)、全国高校生マイプロジェクト事務局で広報・学校向け企画を担当後、ユースセンター起業塾のプロジェクトリーダーを務める。

​​​​​​ユースセンター起業塾とは

この事業は、10代の子どもたちの意欲と創造性を伸ばす場「ユースセンター」を立ち上げようと日本各地で奮闘する個人や団体を応援するカタリバのインキュベーション事業です。

休眠預金事業を活用し、カタリバが幹事団体として資金的・非資金的支援の提供を行うとともに、ETIC.はコンソーシアムの参加団体として、事業立ち上げの伴走支援で協働しています。

すでに全国14団体が休眠預金の枠で採択され、各地でのユースセンター立ち上げに向けた動きが始まっています。

Q.「ユースセンター起業塾」はどんな想いで始まりましたか?

渡邊:東日本大震災の支援とともにカタリバへ入職した当時、自分自身は高校を卒業してから12年以上が経っているころでした。同じ東北出身で、自分自身が受けていた教育よりも悪い環境で子どもたちが過ごさなくてはいけないという事実をなんとかしたいという思いでカタリバに来ましたが、カタリバが提供するのは、対話と機会を通じて意欲と創造性を見つけ出すという、それまでの教育とは異なるものでした。

子どもたちの変化を目の当たりにする中で、彼らの意欲と創造性を育む教育はどこの子どもにも必要だという実感がありました。さらに、10代へのこうした関わりは決して技術的に難しいものではなく、この価値がしっかりと世の中に伝わり、必要性が認識されていけば、しっかりと世の中へ広がっていくだろうという感覚もありました。

子どもたちの意欲と創造性を育む場所をもっと広げていきたい、そうした思いを数年間持ち続け、代表の今村とも議論を続けてきました。その結果、今回日本のそれぞれの地域で取り組む団体や個人を応援するプロジェクトがやっと立ち上がりました。子どもたちの過ごす環境が、より刺激あるものになっていくことを願っています。

Q. 実際に14団体への伴走支援が始まって、どんな手応えがありますか?

吉田:蓋を開けるまでどんな方々が集まるのか不安もありました。しかし、実際にはとても意欲的な人たちが全国から集まり、コミュニティとして同じ志を持って起業する人たちが横でつながり始めたことを実感しています。

すでにキックオフ研修なども実施して、相互の学び合いや創発も生まれています。他団体との関わりから自団体の強みを発見したり、地域の近い団体と交流を始めていたり、身近なところから学びを得ようとする力が素晴らしいです。カタリバとしては、どうやったらそういった団体の方々の力になれるかと試行錯誤しているところですが、実際に団体から話を聞く中で、できることがたくさんありそうだと確信を得ています。

渡邊:14団体の人たちは、カタリバとはまた異なる熱量を持つ人たちで、強い思いを持って議論できることがとても嬉しいです。カタリバがこれまでやってきたことを活かせるのも楽しいですし、私たちも未だ答えが見えてこない課題に対して、一歩先をいく取り組みをしている団体もあります。伴走支援をしながら、カタリバが次の20年間どう成長していけるのかを探っている感覚です。

本質を捉えて協働する個人が集まったチーム

Q. ETIC.との協働をしてみて、どんな気づきがありましたか?

吉田:ETIC.は、主体性を大事にする団体だと感じています。伴走をしていると、各地域の団体に対してあれもこれもやってあげたいという気持ちが湧き上がるものですが、そんな中でもETIC.は団体自身がどんなことを考え、やりたいかということを大事にされている印象です。

カタリバとETIC.は、信念として近いものを持っていながらも、本格的な協働をしたことのなかった団体同士なので、お互いの良さについてより理解が深まることも期待しています。それぞれ伴走のスタイルはありつつも、根幹につながる価値観をともに育みながら、対等な関係で居続けられたらいいなと思います。カタリバらしさを見直す機会にもなったら嬉しいです。

渡邊:ETIC.と協働しているというよりも、このプロジェクトにいろんな能力を持つ人が集まったという印象で仕事をしています。本質を捉えて議論し、必要なことをやることに対して貪欲なチームで、そういう姿勢で仕事をしてくれる人たちは貴重だと思っています。いい意味でETIC.だけど、ETIC.じゃない。そんな個人の集合体だと感じます。

また、起業したい人の意欲に火をつけて支援していくというスタンスには、カタリバとの共通点もあると感じました。今回は立ち上げ事業が「ユースセンター」と、目的がはっきり決まっています。目指す事業の形が洗練されていく中で、「ユースセンター×起業」という技術が集約されて生み出されることも期待しています。

コーディーター育成を通じた、社会的インパクト

今回ETIC.が「ユースセンター起業塾」の伴走支援チームに参画することは、起業支援コーディーターとしてのミッションを再認識するきっかけにもなっています。

それは、各地域や領域において多様なステークホルダーの力を引き出しながら、課題解決や新たな価値創造の担い手(社会起業家)を育てるということです。

事業の実施主体を超えて、新たにカタリバが「担い手の育成」に舵取りを始めたということは、私たちが目指すインパクトを拡大する仲間が増えたということでもあると感じています。

さらに、カタリバとの協働を通じて、ETIC.の起業支援コーディネーターとしてのスキルや思想について、改めて言語化・体系化していくきっかけにもなっています。

中間支援という「面」でのインパクトを目指すこと、また、二つの異なる組織が実践を通して融合していくことでどんな学びや経験が生まれるか。今回の協働からどんな変化が生まれるのか、私たちも楽しみにしています。

今後より多くの団体とともに、インパクト拡大に向けた機会が増えていくことを期待しています。

◆「ユースセンター起業塾」では、主に「事業創造コース」「起業準備コース」に分かれ、活動をしています。今後の活動についてはユースセンター起業塾メールマガジンでもお届けするので、ご興味のある方はぜひこちらからご登録ください。

◆「事業創造コース」では、休眠預金事業の枠組みを利用して、全国14団体の支援を行なっています。採択団体についてはこちら。キックオフ研修のレポートについてはこちら


- INFORMATION -


<7/20(水)19時> 無料オンライン開催
「未来をつくる仕事に挑む」企業からNPO・ソーシャルベンチャーへ転職して感じている、今の仕事とこれから

新たなイノベーションに挑むスタートアップ、革新的なビジネスモデルで社会の課題解決に取り組むソーシャルベンチャー、都市にはない魅力的な資源に溢れる地域を舞台にしたローカルベンチャー。そんな「時代の最先端」を走る事業フィールドを厳選した、DRIVEキャリア。

今回は「未来をつくる仕事に挑む」ということをテーマに、営利企業からソーシャルセクターに転職した方をお招きし、企業ではたらくことと、今の仕事との違いや喜び、そして「これから」について語っていただきたいとおもいます。

ゲストとしてお越しいただくのは、今注目の2社から。

●経済的困難を抱える子どもたちが、学びや体験に利用できる
「スタディクーポン」提供するチャンス・フォー・チルドレン
 ファンドレイジングチーム リーダー 高田 絵梨さん(2020年4月 入職)

●千葉県木更津市を舞台に、サステナブルな生き方の実践を
「体験」を通して伝えるKURKKU FIELDS(クルックフィールズ)
 教育・体験事業担当 岩佐 直美さん(2021年 入社)/ 佐藤 剛 さん

ソーシャルセクターへの転職を検討されている方はもちろん、
取り組んでいる事業への関心がある方も、ぜひお越しください。

◆開催概要
◎日時:2022年7月20日(水) 19時30分~21時00分(90分)
◎会場:オンライン(Zoom)
◎対象:ソーシャルベンチャーやNPOへの仕事を具体的に検討している方は
    もちろん、興味・関心がある方は、ぜひお越しください。
    特に、
    ・収益だけでなく社会的インパクトを追いたい
    ・対処的な課題解決ではなく、社会システム・文化の
     アップデートに迫りたい
    ・より良く変化している手触り感を得たい、
    と、考えているかたにはお勧めです!
◎参加費:無料
◎お申込み:Peatixイベントページからお申込みください。
◎主催:NPO法人ETIC.DRIVEキャリア事務局


<7/22(金)14時> オンライン開催
ジェレミー・ハンター氏と大英帝国勲章受勲
ヴィディヤマラ・バーチ氏によるオンラインリトリート

日本で初めての、ジェレミー・ハンター氏とマインドフルネスとコンパッションの先駆者ヴィディヤマラ・バーチ氏による、オンライン・リトリートの最後のご案内です。ここ数年、ジェレミーさんがヴィディヤマラさんとのセッションを届けたいと企画してきたものが、ようやく実現します。

ヴィディヤマラさんは、イギリス在住のマインドフルネスとコンパッション(思いやり、情、慈愛)の先駆者で、マインドフルネスの歴史に名を残す実践者であり、研究者です。35カ国以上にいる600人の認定講師を通して、マインドフルネスとコンパッションのセッションを届けるBreathworksの共同創業者でもあります。
充実した、幸せで、有意義な人生を取り戻すのに役立つツールを伝えたいと願い、世界に向けて働きかけ続けています。

その功績が認められ、今年、イギリス王室より大英帝国勲章を受勲しました。また、英国で最も影響力のある障害者の一人でもあります。
(ヴィディヤマラさんのプロフィールは、セッションのご案内をご参照ください。ウェブサイトはこちら

今回のテーマは、The Compassionate Warrior(ザ コンパッショネート ウォーリア)です。直訳すると、Compassionate(コンパッショネート)「思いやり・情・慈愛のある」Warrior(ウォーリア)「戦士・勇士」。
どんなに困難な状況でも、愛に満ちた力を発揮する人というイメージです。

時には、相手のためであっても耳の痛いことを伝えなければならなかったり、万人にとって必ずしも嬉しいことではないような、困難な決断が必要な場面があるのではないでしょうか。
その時に、目を背けずに、本当に望むことを叶えるための行動を「コンパッション」からとれるかが問われているのではないかと考えています。

今回のセッションは、皆さまの中にあるコンパッションと出会い直し、満たしていく、そんな時間にしたいと企画しています。

◆開催概要
◎日時:2022年7月22日(金)14:00~18:30
◎会場:オンライン(Zoomを使用します)
◎対象:ジェレミー・ハンター教授 Special Session for Social Leadersに
    参加したことのある方やその招待者、または、
    ETIC.主催のプログラムに参加したことのある方
◎参加費:35,000円(税込)
◎定員:20名(残席わずか)
◎お申込み:こちらのフォームからお願いいたします。
◎プログラムの詳細は、こちらをご覧ください。


Editor's Note - 編集後記 -


ソーシャルイノベーション事業部の白鳥です。川島さんと一緒にユースセンター起業塾事業を担当しています。

先日、カタリバさんの高円寺オフィスにお伺いして作業した際、お昼にお弁当を買いに行ったところ、どしゃぶりの雨が降ってきました。雨の中どうやってオフィスまで戻ろうか迷っていると、なんとお弁当屋さんから傘の代わりに頭からかぶるビニール袋をいただきました!

カタリバさんからは、高円寺の町のみなさんのような温かさと、いつも子どもたちのことを第一に考える熱い想いをいつも感じていて、ご一緒できてとても嬉しく思っています。

また、いつもは社内で基本的に完結している起業支援のプロセスも、他社と協働して行うことで、改めて考え方の整理になっているのとともに、自分自身の力も試されていると感じていて、とても刺激を受けています。

プログラムの終了まであと3年、日本中にユースセンターを広めるというカタリバさんのミッションをお手伝いすることを通じて、ETIC.としても新たな挑戦を続けていきたいと思います。

発行元:
NPO法人ETIC.ソーシャルイノベーション事業部
incu@etic.or.jp

メールマガジン「ソーシャルイノベーションセンターNEWS」では、ETICのコーディネーターが日頃感じていることや、新しい兆しなどを共有しながら「社会を変える」「新しい未来をつくる」皆さんを応援するメルマガです。参加枠が限られているプログラムやセミナー情報などもお届けしています。

▶ 配信頻度: 月1~2回配信(不定期)
▶ 購読料:無料
▶ ご登録はこちらから https://etic.or.jp/socialmail/


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?