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1都2県でガーナ料理を知るための10皿

ナイジェリア、カメルーンとアフリカ料理について書いてきたので、

「次はガーナ料理を書かなければ!」

という想いが日に日に強くなってきました。というのも、日本のアフリカ系移民の人口で言うと、ナイジェリアの次に多いのがガーナ人だからです。

またガーナは、主食となる料理がいくつもあります。ガーナの様々な雑穀の餅状のものを総じて「フフ」と理解して食べていましたが、どうも、そうとは言い切れないことが食べ続けて分かりました。

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この写真は、ナイジェリアやカメルーンで食べられているパウンデッドヤムというヤム芋を搗いて練った餅。今まで、これがほとんどだったので、それをフフとして認識していました。

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しかし、ガーナの代表的なフフは、キャッサバとプランテインを混ぜて練ったもので、もっとベタベタするものでした。また、ガーナ国内でも部族により、フフの定義が違うというのです。なので、何がフフで、他の餅状の主食が何者で、他の国での呼び方は何なのか?ガーナ料理を食べれば食べるほど分からなくなりました。

とにかく、こうした謎を解き明かしながら、試行錯誤を繰り返して、今回のガーナ料理の10皿は、書き上げています。その期間は、実に半年以上!

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こうした謎を調べるにあたり、最終的にこの「The Ghana Cookbook」という本を参考にすることにしました。というのもガーナ料理について、現地の人やアフリカ料理に詳しい人に聞いてみても、いくつもの説があるようで決定打にかけていたからです。今回は、この本に書かれている料理の解釈を基本にしています。

ちなみにこの本は、e-food.jpの青木ゆり子さんがご自身が運営するライブラリーからお借りしました。

こちらが、そのサイトです。ライブラリーは、紹介制ですので興味のある方は、是非こちらのサイトを見てチェックしてみてください。

さらに!今回は、ガーナ料理だけでも大変なのに、さらにある西アフリカの国の料理を、紹介したいと思ってしまいました。シエラレオネです。

千葉県行徳にシエラレオネ料理やガーナ料理を中心に、西アフリカ諸国の料理を提供する「Palava Hut」と六本木の「Padi's」(両方とも同じ経営で料理もほぼ同じ)というお店があるのです。この両店舗のシエラレオネ料理がすこぶる美味い!(2022年に六本木に統合され行徳に店はありません)

であるならば、ちゃんとシエラレオネ料理も紹介しなければと思い、今回は、1皿だけシエラレオネが混ざっています。ちなみにガーナとシエラレオネの位置は、下記のようになっております。

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西アフリカの小さな国がいくつも集まっているエリアで、ガーナの間には、コートジボアールとリベリアの2つの国を挟んでいます。

ただ、やはりメインは、ガーナ料理としたいので、9皿のガーナ料理とシエラレオネ料理(5皿目)を1項目にして、その中に気にいった3つのメニューを紹介することにしました。なので、今回の10皿はボリューム満点です!

また、先日このような草加市新田の店の様子をEthnic Neighborhoodsにアップしました。こちらの記事と一緒に読むとより楽しめると思います。

後半は、課金となっておりますが、課金しなくても代表的なガーナ料理とシエラレオネ料理は見られるようになっております。先ほども言いましたが、これを書くに当たって半年以上もの期間を費やしているので、出来たら課金してくれると嬉しいです。では、10皿のはじまりです!


①ワチェ(Waakye)

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まずは、赤い色のお米にトマトのソースがかかったガーナを代表する料理の一つ「ワチェ」を紹介します。こちらは、渋谷の「ロスバルバドス」さんの「ガーナプレート」です。この店では、アフリカやカリブ各国の料理を毎週土曜日にワンプレートで提供するイベントをやっており、これはガーナの独立記念日(3月6日)に合わせて提供したメニュー。

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このトマトソースのかかったご飯自体がワチェになるのですが、ご飯の中には黒目豆というアフリカ料理でよく使われる豆が入っており、塩もほんの少しだけで、かなりあっさりしたお赤飯のような味わいです。

ただ、これにトマトのシチュー(ソース)や皿の左にちょこっと乗っている「シト」(10皿目に紹介)というガーナ特有の辛いソースが必ずついてきます。これ以外に、肉やら魚やらが乗っているタイプなどがありますが、豆ご飯、シチュー、シトの3点が王道セットがワチェと言えるようです。

ただ、お米の種類やソースの違いなど、お店によって変化します。ロスバルバドスさんの使っているお米は、バスマティライス。ぱらっと仕上がっていて、ワチェ独特の風味がシチュー(このプレートではハウサの牛肉シチューが盛られています)と絡まり、素晴らしいバランスでした。

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こちらが、奥渋にある「ロスバルバドス」さんです。日本人のご夫婦が切り盛りしています。最近、奥渋は、オシャレ化が進むため、アフリカ料理を知らない若者たちがやってくるそうですが、何気にハードコアなアフリカ料理を出す店ですので、オシャレ気分だけでは入らないでくださいね。(笑)

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続いて、吉祥寺の老舗アフリカ料理店「アフリカ大陸」のワチェです。この店では、魚の切り身を揚げたものが乗っていました。量も値段もお手ごろです。魚の上には、玉ねぎ入りのトマトソースがかかっています。粉状のものは、キャッサバの粉です。右奥にシトがちゃんと添えてあります。ソースはあっさりで、量も程よいので、夜の〆に食べるのに丁度良い感じでした。

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この店も、日本人の方がやっていますが、すべて西アフリカのママのレシピを実際に学んで作っている現地テイスト!にもかかわらず、日本人には食べやすい量となっているので、初めてアフリカ料理を食べに行くのにオススメな店です。

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さて、ここで一つの疑問にぶち当たりました。それは、この写真にあるアフリカ大陸さんで見せてもらった「ワチェの葉」のこと。アフリカの食材店に行くと、このように乾燥した赤い葉っぱをワチェの葉として売っています。

当初、ご飯の赤い色は、お赤飯同様に豆を煮出した色かと思っていたのですが、この葉っぱを煮出した色だったのです。

しかし、調べてみるとワチェとは、ガーナ北部に住むハウサ族の言葉で「豆」を意味するそうです。一方、葉の方は、ミレット(雑穀の一種)を乾燥させたものでした。つまり、ガーナ人が呼んでいる「ワチェの葉」とは、どうやら「ワチェに使う葉っぱ」のようです。

こうした細かい言葉の定義が、ガーナ料理では、かなり曖昧なまま使われていたりするので、この後も色々な料理を食べれば食べるほど、私の頭が混乱していきます。

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話を料理のワチェに戻します。今度は、浜松町のアフリカ料理店「カラバッシュ」のワチェになります。見ての通り、基本の3点セットの乗った王道なワチェです。ランチだと、これにサラダなどもついてお得です。

ご飯は、かなり日本っぽい炊き方だなと思いました。日本のご飯のように、ちょっともったりしています。シチューも、ビーフシチューにかなり近い味付け。肉の大きさは、結構大きくてゴロゴロしているので、満足感が高いです。味付けは、日本人に親しみやすく、量もお手ごろでした。

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こちらは、カラバッシュの店内。アフリカ旅行を手配する道祖神さんがオーナーの店なので、エキゾチッキな店内が魅力的です。私の時は、ガーナ人の女将さんが料理していましたが、その時その時で他のアフリカの国のシェフに変わるようです。

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メニューには、このようにアフリカの様々な国の料理が書かれていて、日本人向けの説明なども多く、とても入りやすい店です。

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こちらは、六本木にある「アフリカンホームタッチ」のワチェです。魚のフライと卵が乗っています。豆がたっぷり入っており、シチューとシトがよく合います。ご飯が、今までの店に比べて豆が多い分モソモソしています。

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この店があるのは、六本木の一等地。こんな建物の3階にあります。六本木で働くアフリカ系の人たちの心の拠り所的なお店のようで、夜に行くと大体、アフリカ系のお客さんが食事をされています。六本木ということもあり、値段は、他の店よりもちょっと高めです。

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メニューは、西アフリカ各国の料理があり、そのレパートリーの多さには驚かされます。ランチメニューだと、かなりお手ごろにワチェを食べることができます。

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こちらは、お店を切り盛りするシェフのプリンスさん。日本語は、現在勉強中ですが、現地の言葉以外に英語やフランス語も堪能です。アフリカ系の人たちだけでなく日本人もウェルカムな雰囲気なので、都心にある現地系アフリカ料理店として、これからも盛り上がりそうです。

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続いて、草加にある「7 Stars International Shot Bar Restaurant」(以後 7 Starsと省略系で書きます)のワチェ。山盛りです!お皿いっぱいに豆ごはんと、シチュー、シトの3点セットの他に、肉とサラダが盛られていました。

他の店とご飯の写真を見比べると分かるのですが、この店は、豆がとにかく盛りだくさん!半分くらい豆なんじゃないかという感じでした。なので、モソモソ感が、先ほどのアフリカンホームタッチのものより強い。しかし、その分パンチのあるシチューがかかっており、それとシトとの相乗効果は、最高でした。

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ご飯と一緒にヤギの揚げたものが盛られていました。この店では、単品でヤギの素揚げを注文できます。ワチェに盛られたヤギを撮影し損ねたので、代わりにこちらの単品1皿分を載せておきます。

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こちらは、店の外観。料理は、主にナイジェリアとガーナ料理がメインですが、料理を作っているのはガーナ人です。

この店は、週末に行くと、多くの西アフリカ(主に、ナイジェリア、ガーナ、カメルーン)の人たちで賑わいをみせています。東京近郊で最もアフリカらしい雰囲気を味わえる店だと思います。

なので、日本人が入るには、ちょっと敷居が高いと言えるかもしれません。勇気が必要です!ただ、バーで店を切り盛りするお兄さんは、日本語ペラペラで気さくな感じなので、物怖じせずチャレンジしてみてください。アフリカ気分を味わうなら最高のロケーションです!

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さて、最後に本命のガーナ料理専門店「アメイジンググレイス」のワチェです。こちらは、草加市の新田駅から徒歩圏にある店です。なんと、すべての具材が別皿に盛られ、かつ大量に運ばれてきました!!

ご飯自体の味は、先の2つとそんなに差はないのですが、一緒に付いてくる料理の違いを考えると、間違いなくこのアメージンググレイスのものがダントツの1位です!!

ただ、この時は4人で行ったため、あえて料理を別々にしてくれて、かつ量を多めにしてくれたんだと思います。そういうサービスをしてくれたりする店なのです。

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一緒についてくる基本のシチューの量が違います。とにかく、この店は大きな肉の塊を出し惜しみしないようで、いっつも塊肉がゴロゴロしています。さらにフライドチキン(左上2つ)まで付いてます。シチューも辛さや旨味をしっかりと味付けしてあって絶品です!

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もちろん辛味調味料シトもたっぷり!いくらでも辛くできます。

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実は、ガーナ料理だけを出している店は、今回紹介する中でこの店のみ。他の店は、ガーナ料理メインでも、ナイジェリア料理やそのほかの国の料理も提供しています。

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こちらは、笑顔の素敵な女将のフェリシアさん。店名「アメージンググレイス」(有名なキリスト教の賛美歌)からも分かるように、敬虔なキリスト教徒です。以前、日曜にお邪魔したら教会の衣装を着ていました。

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メニューを見ると、ガチで全部ガーナ料理です。それだけ、この周辺にガーナ人が多く住んでいるみたいです。

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店の中は、このように大きなガーナの国旗が飾ってあります。これは、コロナ禍が激しくない頃の店の様子。今では、アクリルのついたてもあり、しっかり対策をとっています。

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さらに、この店の2階は、ガーナの食材店もあり、お隣にガーナ人経営のバーもあります。食材店は、レストランと一緒に経営しているようです。何度か訪れていますが、新大久保などのハラールショップでは、見たことのないガーナの珍しいスパイスなどが売られているので、要チェックです。

このワチェという料理は、屋台などで販売し朝飯などにも提供される料理だそうです。日本人が朝に立ち食いそばに、色々な天ぷらや野菜などを乗せて食べる感覚に近いのかも。このリンクを見ると現地の多様なワチェをいくつも見ることができます。最近では、スパゲッティを乗せるものがポピュラーになってきたのだとか。上記の店でも、乗せている時がありました。

日本人にも食べやすく親しみやすい料理なので、ガーナ料理初心者は、まずはワチェを気にいったお店に食べに行ってみてください。

②ライトスープ(Light Soup)

ガーナを代表するもう一つの料理が「ライトスープ」です。なんか、名前からすると、あっさりしてそうな感じの料理なのですが...

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見ての通り肉いっぱいの具沢山!スープというよりシチューと言えます。こちらは「7 Stars 」のライトスープ。とにかく肉たっぷりでコッテリしたトマトベースのシチューです。「ライト」な名前がついたのは、なぜなのか調べてみると...

もともとはアクラ海岸の漁師のための「トマトベースの海の魚のライトなスープ」だったようです。しかし、次第に魚と肉の両方で作らるようになったとのこと。

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具材は、西アフリカで良く見るヤギ肉、牛肉、臓物系が入った定番な感じ。この店の味付けは、本来の味である魚介成分を強く感じられ、スープは薄味に見えて旨味たっぷり!

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ちなみに、ガーナで最もポピュラーな餅状の主食「フフ」(4皿目に紹介)とフィンガーボールが一緒に付いてきます。基本、こうした餅状の料理を食べる時は、手食でフフを小さく手でコネてスープに浸して食べます。フフは、柔らかくて弾力がありスープとの相性抜群です。

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続いて、こちらは「アフリカンホームタッチ」のライトスープ。親しみやすいビーフシチューに近い味で、肉の脂の旨味をより感じます。魚介の旨味が、その分少な目でした。西アフリカっぽい癖が少ない分、日本人には、食べ易いかもです。

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具材は、少な目ですが、肉がかなり柔らかく煮込まれているので、スルスルと肉を食べれちゃいます。スープは、よりさらりとしていました。

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「アメイジンググレイス」のライトスープです。ここの旨味は、かなりしっかり干し魚で出汁をとっていました。7starより、さらにスープが濃厚!ジャガイモか何かが溶けているんじゃないかと思うかのような味わいでした。肉の脂もしっかり効いています。

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この店は、1人前だと定食のようなお盆に乗せて、フィンガーボールも一緒に出てくるという和ガーナ折衷!この融合感!

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ビーフの量もすごかったです。大きな塊の肉片が2つあり、さらに臓物系の肉や小さな塊がいくつも入っていました。他にも干し魚が、そのままの形でぶち込まれていました。

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最後に、レストランではないですが屋台の店「アンタルキッチン」トマトスープとフフです。日本人に分かりやすいようにライトスープをこのように呼んでいるとのことでした。クローブが効いていてスープというより、どっしり目のシチューです。色々な野菜やチキンが入っており、すごくヘルシーな感じです。ガーナっぽさもしっかりあり、日本人にも美味しく食べられるように工夫されてます。

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元々、阿佐ヶ谷にあったアンタルカフェ8を経営されていたオスマンさん。屋台ということを意識して、値段設定をかなり下げていると思います。ほとんどのアフリカ料理では、1品1500円ですが、この店は日本人を意識してお弁当風なので、なんと600円!格安でアフリカ料理を体験できます。

ここのフフは、ヤムイモだけを使ったもので、他のガーナ料理店のものとはちょっと違います。4皿目にフフを詳しく書いてますので、そちらも参考に。

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屋台の出没場所は、このように杉並区あたりの公園です。

ツイッターで場所をツイートされているので、確認してみてください。

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夜は、南高円寺にある「ガンバラネBar」で、お店を切り盛りしております。いわゆる地元のバーで、そこを借りて営業されてるとのこと。火曜から日曜までやっております。

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ライトスープは、他のスープ系のガーナ料理を作る上での元となる料理でもあります。このあと紹介する6皿目と7皿目の料理とも関係してくるので、覚えておいてください。

③トォーザフィ(Tuo Zaafi、または’TZ’)

今回、ガーナ料理を食べ続けてきて、私が一番好きになったガーナ料理がこちら。最も手が込んでいて、最も名前の判断が謎な料理です。

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こちらが、私の初「トォーザフィ」体験です。行徳にある西アフリカ料理全般を提供する「Palava Hut」の「トォーザフィ」通称「TZ」です。見ての通り、赤と緑の2種のシチューとフフに似たプリプリの餅状の物体が真ん中に浮いています。

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真っ白です。ナイジェリアのパウンデッドヤムやガーナの普通のフフより、もっとプルンプルンしています。ある店で聞いたら、これはトウモロコシ粉だと言われました。あるところでは、トウモロコシ粉とキャッサバ粉、またある商品には米粉も入っていました。面白いのは、この料理が他の餅状のものと合わせられないことです。この組み合わせしか、あり得ないそうです。

※北部の料理なので、もしかしたら北部に他の合わせ方があるかも。

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シチューの方はと言うと、モロヘイヤがスープ状に溶けきっており、塩味もなく素材の味のみで作られています。とにかく薄味です。

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ただ、それをこのトマト系の旨味たっぷりな濃い目のスパイシーシチューを混ぜて、この餅状のものと食べると「至福ここにあり!」とたまらない美味しさなのです。シチューは、先ほどのライトスープをさらにコッテリ煮込んだような感じになります。

さて、この料理名ですが、本来この餅状のものだけを指す意味なのではないかと「アメージンググレイス」の2階にある食材店を見て思うことになりました。

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こちらが、その食材店の棚。右上にTZ(Tuo Zaafi)の粉を見つけてしまいました。これらは、粉末を溶かして餅を作るための商品です。

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そこで、いつもお世話になっている「ロスバルバドス」さんに聞いてみることにしました。そうしたら、ちょうど土曜限定の特別料理で、トォーザフィを出すとのこと。写真は、その時のものです。

ここの2色のシチューは凝っています。モロヘイヤとオクラの煮込みと、トリッパのトマトソースの辛い煮込みで構成されていました。プランテインやアボカド、辛味調味料シトなども添えられて、サービス満点です。

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旨味成分ダワダワ(西アフリカで使われる発酵調味料)を入れているので、モロヘイヤも味に深みがありました。

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結構辛めのモツ(ハチノス)です。モロヘイヤの味付けが濃い分、ハチノストマトソースも他に比べてあっさりで、バランスよく作られています。当然ながら、この2つを混ぜ合わせて食べると、ワンランク上の豪華な気分!

で、店の方に聞いてみると、こちらでは、料理全体のことを言うと思っていたと返ってきました。しかし、その確信は得られず...

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モヤモヤしたまま、今度は、六本木の「Padi's」で、トォーザフィをテイクアウトすることにしました。この時は、緊急事態宣言中に行ったため、店で食べられなかったのです。そしたら、幕内弁当の容器に料理を入れてくれました。(この店については5皿目に詳細書いてます)

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ちなみに、上の写真だとモロヘイヤの色が潰れてますが、このように立派な緑色のモロヘイヤソースです。

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で、この弁当を作っている時にカウンターで待っていると、こんなものを発見しました。ご覧のようにフフとトォーザフィ(TZ)用フフの粉が置いてあったのです。

やはり、この餅のことだけを指すのだ!

とふたたび仮説を立てて店の人に聞いてみると、料理全体でトォーザフィ(TZ)だと確信をもって言われてしまいました。おおお...

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なら、今度は、ガーナ料理の本丸!ガーナ料理専門店「アメージンググレイス」のトォーザフィを食べながら、聞いてみることにしました。

ここは、肉たっぷり!使われている肉は、ヤギと牛肉。ヤギが揚げてあり、牛肉は骨つきでじっくり煮込んだもの。珍しくモツ系の肉が入ってないのは、かなり特徴的です。肉の配分が、このようになっているのは、かなりこだわった結果のレシピかと思われます。

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トマトのほどよい辛味のどっしりした濃厚シチュー。あっさりしたモロヘイヤ。濃厚なだけあってモロヘイヤも他と比べるとドロリとしていました。

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フフまでドロっとしており、手では食べられない感じ。ガーナの人も「これに関してはスプーンで食べるのよ!」と店の女将フェリシアさんが言っています。

「これが、本格派トォーザフィの醍醐味か!ここなら、トォーザフィが餅だけを指すと言うに違いない!」

と、答えを想定して聞いたところ、やはり料理全体のことだと返されてしまいました。

「ああ...もうこれは、料理名なんだ...」

と自分が発見したかに見えた仮説は、もろくも崩れ去りました。で、最後にもう一軒行ってみることに。すると...

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これです!大きさの比率が分かりにくいですが、右上の丸い白いものは、普通の大きさのゆで卵です!うずらの卵ではないですよ!いかに、この器が大きいかが分かります。

こちらは「7 Stars」のトゥーザフィ。はっきり言って、すべてのトォーザフィが吹っ飛びました。インパクトが半端ないです。また、驚いたのは、肝心のトォーザフィの餅です。別皿で出てくるのを待っていたのですが...

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ドドーン!なんと、この店では、そいつが中に沈められていました。当然、ゲキアツです。どうやって手で食べれば良いのでしょう!

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まわりのガーナ人らしき人たちは、平気で手ですくって食べていました。「アメージンググレイス」のスプーンで食べる説まで覆されてしまいます。

そんな様々な説が崩れ去った中、料理の方は、最高峰!間違いなく私の中のベスト「ガーナ料理」になりました。名前のことなど、どうでもいいじゃないか!とにかく美味しいのだもの!

肉はしっかり柔らかく、油の味わいでも旨味を出し、そこそこの辛さが食欲をそそります。肉だけでなく、大ぶりの魚の切り身も入っていました。また、ところどころにバラまかれた生野菜が、シャッキリしていて素敵効果!ジワジワくる辛味は、唇をヒリヒリさせ残り香が料理の余韻を楽しませてくれます。

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また、モロヘイヤの混ざり具合が絶妙です。手で食べると当然、粘り気のあるモロヘイヤが多めにくっついてきます。スプーンで掬った時とは、シチューの配分が変わってくるのに、ここで初めて気づきました!

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「手食美味え!!」

この店のトゥーザフィは、月の第1と第3日曜にしか提供されていないスペシャルなメニュー。そして、それを待ち望むように、多くのアフリカ系の人たちからの注文(テイクアウト)が入っていました。いつも大体19時くらいに出来上がるそうです。量が多いので、他より500円高い2000円になります。肝心の料理名ですが、この店もやはり料理自体をトォーザフィ(TZ)と呼んでいました。

さて、様々な店のトォーザフィ(TZ)を食べたあと、改めてこのサイトや冒頭に紹介したガーナ料理本を見直しました。するとやはり、この餅状のもの単体がトォーザフィだと言っていました。

では、なぜガーナ人たちが「トォーザフィ」を料理名だと言うのでしょうか?答えは、この料理が美味しいからだと思います!

本来この料理は、ガーナ北部のハウサ族の料理だったようです。しかし、このトマトのシチューと緑のソースの3つの組み合わせが美味しいことから、ガーナ全土でポピュラーになり、この3点セットの名前が料理名として定着したのではないか?そう、私の中で妄想しました。

料理の意味を調べるとハウサの言葉で「Tuo」は攪拌、「Zaafi」は熱いという意味でした。元々は、熱い攪拌されたフフという意味なのかも。

④フフ、バンクー、ケンケなど(Fufu, Banku, Kenkey)

さて、ここらでガーナ料理を食べ始めると必ず疑問に陥る「主食」の問題に入ろうかと思います。先ほどのトゥーザフィも、主食の名前ですが、それが料理名になってしまうということは、それだけ主食がガーナ人にとって重要だということが伺えます。

日本の主食といえば「米」「パン」「麺」くらいしかありませんが、様々な民族の食文化がある西アフリカには、主食が盛りだくさん!ガーナ料理をwikiで調べてみて出てきた主食をあげてみます。

「フフ」「ケンケ」「バンクー」「トォーザフィ」「ココンテ」「ヤムフフ」「アティケ」「ガリ」「オモトゥオ」「キャッサバ」「プランテイン」「米」などなど...

調べると、もっと色々ありそうですが、本当に細かく細分化されているようです。ここでは、その中でベーシックな3つの主食を紹介してみます。

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まずは、少しアフリカの料理のことを知っていれば、誰もが耳にする「フフ Fufu」です。茹でたキャッサバとグリーンプランテンを合わせて作るのが、主なガーナ南部のレシピのようです。北部では、ナイジェリア同様ヤム芋のみのパウンデッドヤムをフフと呼んでいるとか。

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1皿目に紹介したライトスープは、これと一緒に食べるのがベーシックになります。クセがまったくなく、もちもちで一番食べやすいし、色々な料理にも組み合わせられます。

ウィキを見ると、フフは、ガーナ原産のようです。ただ、西アフリカから中部アフリカにかけて、フフと呼ばれる餅状の料理はいくつもあり、地域によってその原料は異なります。

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ガーナのフフは、店によってこれくらい粘着力があり、場合によっては手にベタベタとひっつきます。パウンデッドヤムだと、ここまでネットリなのはほぼないです。めっちゃモチモチなので、日本人なら皆好きそうな食感。ただ、そのモチモチ、ベタベタが手食の難易度をあげております。

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アフリカ現地系のお店で食べると、フフは日本人には多すぎという分量で出てきます。これらの写真のフフは「アメージンググレイス」のものです。

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こちらは「アフリカ大陸」で食べたプランテインのみで作ったフフです。こんな色のフフもあるんですね。こちらも普通のフフ同様、見た目とは裏腹に癖がなく美味しくいただけました。料理は、カニの出汁入りのライトスープという旨味爆発で贅沢なものでした。

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こんな色になる粉は、いったいどんな粉かと思ったら、ちょっと色が濃い程度でした。手書きの後ろには、セモリナ粉と書いてあるのが気になりますが、入れ物だけ再利用しているのでしょうか?カメルーン産なのも気になるところです。

このように、フフは、ガーナ国内でも地域によって、食材が変わることがあるようです。ガーナの料理本によれば、南部、中部、北部では、それぞれフフの食材が変わると書いてありました。興味ある方は、調べてみてください。フフの奥の深さに驚くと思います。

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さて、今度は「バンクー Banku」です。こちらは「7 Stars」で注文したものです。分量は、フフよりやや少なめで、色もグレイがかっています。

フフが西アフリカから中部アフリカにかけて食べられているのに比べ、こちらはガーナとトーゴ中心で、主にガーナ南部で食べられるとのこと。トウモロコシとキャッサバを発酵させたものを、混ぜ合わせた餅になります。

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こちらは「7 Stars」のバンクーのメニューになります。バンクーに合わせる料理は「オクロ」(西アフリカ全般で見られるオクラのシチュー)と「揚げ魚」に限られていました。

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バンクーは、発酵させるためこのようにビニール袋に入ったものを温めて出てきます。おかずの揚げ魚は、ティラピアです。アフリカ各国で揚げたり焼いたりして食べられているポピュラーな川魚。国によっては、マリネートされて味がついていますが、ガーナでは、塩くらいしか味付けされていないようで、代わりにシトとトマトベースのサルサのようなソースがふんだんに盛られています。かなりディープフライなので、骨も細いところは、スナック菓子のようにバリバリと食べられます。

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バンクーの食感は、もちもち感というよりは、固めのクリームのような感じで手にひっつきません。酸味がかなり強い分、シトの辛味がすごく合います。シトは、魚ベースの辛味なので相性はもちろん抜群!3つを組み合わせることで、普通のフフでは、味わえない美味しさを楽しめます。

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「アメージンググレイス」では、「バンクー」「オクロ」「ケンケ」「揚げ魚」になっていました。

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こちらが、バンクーとオクロの定食になります。

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オクロは、アフリカ原産であるオクラを使用したシチューで、西アフリカ全体で食べられています。味付けが国によって変わり、ナイジェリアのオクロは、濃いめでペッパーが効いてましたが、ガーナ料理では、薄味でとても優しくまろやか。

この店では、味付けも最低限の塩加減で、魚出汁の効いた絶妙な旨味のオクラスープとなっています。大きな肉の部位も入っていました。

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肝心のバンクーですが、トウモロコシ感とボソボソ感があり、こちらも餅という感じではありません。ほんのりした酸味とトウモロコシを感じさせる味わいは、あっさりしたオクロと食べるとアクセントになって良く合います。

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このバンクーに合う料理は、他に何があるのか聞いてみると、ピーナッツスープ(6皿目)パームナッツスープ(7皿目)でもいけるとのことです。メニューに書いていませんが、その組み合わせも可能だそうです。

ちなみに「ライトスープ(2皿目)に合わせたらどうなの?」と聞いたら、「ない!」と力強く言われました。この辺りが、ガーナ人の主食に対するこだわりですね。

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同じ店で「ケンケ」も注文。こちらは、トウモロコシを発酵させてから餅状にするものです。餅をトウモロコシの葉っぱに巻いて、蒸して出来上がりです。中部では、プランテインの葉っぱを使うそうです。

ケンケは、首都のアクラでは特に人気でケンケ祭りまであるのだとか。

こちらにその様子がアップされていましたので、興味ある方は是非!

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ケンケを出している店は、結構貴重。この店でも提供するのは、夜のみ。

やはりバンクー同様、魚との組み合わせが良いようです。この店では、レッドフィッシュ(アフリカの真鯛らしい)が提供されていました。シトとサルサ以外に濃厚な味わいのトマトソースもついて来ます。

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こうしたソースや玉ねぎを魚とケンケで合わせて手で食べます。

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食べ方としては、フフやバンクーに比べると柔らかくないので、ナイフでパーツを切ってから手で食べると良いと店の人に言われました。

滑らかな里芋とジャガイモの間のような味わいです。酸味がキツイとアフリカ料理に詳しいSさんに言われていたので、構えてましたが、7stars で食べたバンクーとそこまで変わらない酸味でした。

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こちらは、草加にある「アフリカンパレス」で販売していたケンケです。その友人Sさんが購入しました。こちらは、相当酸味があったようですね。

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このケンケを購入したアフリカ食材店では、西アフリカの様々な食材や日用品を販売している店。メインはガーナの食材。その時その時で販売しているものが、結構変わるので、日を変えて訪れると面白いです。

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外観は、こんな感じです。昔は、レストランもやっていたようですが、アフリカ食材や雑貨の専門店になっています。

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ケンケは、ガーナの隣国などでも食べられますが、南米にも似ている料理があります。同じようにトウモロコシの葉っぱで料理を巻いた「タマレ」(写真は南米で食べたタマレの写真)です。中身は、トウモロコシをすり潰したものに肉などを加えて、それ自体で食べるチマキのようなものです。紀元前から食べられているのだとか。

ネットで確認出来てないですが、ガーナ料理のケンケの元は、こちらなのかもしれないです。トリニダード・トバコには、より名前が近い「コンキー」と呼ばれているものもあるようですし。そもそもトウモロコシ自体がアメリカ大陸原産ですから、間違いなくつながりがあるもののようです。

料理や食材が世界に伝播する話は、色々な物語や仮説があり、このケンケにも壮大な物語がありそうですが、それは、果てしない物語になりそうなので、また今度どこかで調べてみます。

⑤「Palava Hut」と「Padi's」のシエラレオネ料理

さあ、シエラレオネ料理です!まさか、日本で食べられるとは思ってもみませんでした!

シエラレオネは、人口650万人強。当然、3000万人というより大きな国ガーナと比べると、移民も圧倒的に少ないのが容易に想像できます。私が、昔住んでいたニューヨークでもシエラレオネ人を見たことありませんでした。

なので、シエラレオネ料理が食べられるお店は、世界中探しても本国以外ほとんどないんじゃないでしょうか?

これによると、ロンドンのBermondsey, New Cross, Lewishamなどにコミュニティがあることが分かります。Google Mapで調べたらブリクストンにシエラレオネ食材店なるものまであるので、南部ロンドンにコミュニティがあるのでしょう。

このリンク先の地図を見ると、ロンドン南部の川沿いが南アフリカ、ジャマイカ、ナイジェリアと黒人系のコミュニティが連続しているのが、見てとれます。シエラレオネもこの中にあるのかと思います。

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この「Palava Hut」というお店は、結構前からあったようで、一時期、閉めていましたが、最近リニューアルオープンしました。写真は、行徳のお店にあったシエラレオネの地図の置物です。

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こちらは「Palava Hut」のガーナ出身のナンシーさん(左)とシエラレオネ出身のノーラさん(右)。この二人が料理を作っています。値段はちょっと高めの設定ですが、その丁寧な作りから間違いなく美味しい西アフリカ料理を提供してくれます。個人的にこの店は、日本で食べる西アフリカ料理店の中でも、ずば抜けた美味しさとサービスを誇っていると思います。

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その理由の一つは、店のこだわり。これはオギリという胡麻から作ったアフリカの発酵調味料。この店では、そのオギリを自分たちで作り、それを料理に使っています。

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また日本人に向けて、自分たちの文化を伝えたいという気持ちにも溢れています。この写真を見れば分かるように、店内の装飾がとてもかわいらしく、アフリカを表現されていてフレンドリー!

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店には、シエラレオネとガーナの国旗が飾られています。カーテンもアフリカンテイスト。ちょっとしたアフリカ体験が出来るのも、この店の特徴です。そんなシエラレオネの料理の内、他店では見られない料理3点を紹介したいと思います。

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「キャッサバリーフ&ライス」

まず、紹介するのは、キャッサバの葉を使った限定料理です。日本では、この葉っぱはあまり手に入らないそうなので、季節限定で作っているようです。メニューには、シエラレオネのソウルフードと銘打っておりました。

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ピリ辛でいつもの西アフリカらしい出汁感があるものの、葉っぱをマッシュした感じが、インド料理のほうれん草カレーとして知られている「サグ」に少し似ています。それをさらに濾したようなすべらかさ。ほんのりとした苦味と少しの甘みを感じとれ、優しい味の料理です。中にには、肉や干し魚が入っており、とても柔らかくて食べやすいです。

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「ワンポット」

こちらは鯛飯のように、魚を混ぜたご飯のような料理です。日本の田舎料理を食べているかのような感覚に見舞われました。魚は、ニシンを使用しています。そこまでは、なんとなく日本的な部分を感じられますが「ご飯のような」と書いた理由は、この穀物がコメとは違う別物だったのです。

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これは、お米ではなく大粒のブルグルを使った混ぜブルグル飯!アップで見るとニシンのかけらも見てとれます。大粒だけあって、食べた満足度は、かなり高いです。

明らかに遠い異国な食感なのですが、味わいは、なんだか日本の田舎を思わせる不思議な衝撃を受ける料理です。

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「クレンクレン」

この店のこの料理は、凄まじい美味しさでした。モロヘイヤを使った料理で、旨味成分爆発です!

ここにも書いてあるように、先ほど紹介したオギリが使われており、ただでさえ肉や魚の出汁が効いているにも関わらず、旨味成分であるオギリが素晴らしい仕事をしちゃってます!

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3皿目のトォーザフィもそうですが、モロヘイヤとこうした旨味成分というのは、本当に相性が良いものなんだなと思いました。

以上、3品見ていただきましたが、同じ西アフリカの料理であっても、ガーナと根本的に違うものがあります。米です。

ウィキを見るとシエラレオネ人は、米が主食。日本人同様、米がないとシエラレオネ人は、完全な食事ではないと思うようです。シチューは、ガーナと似ているものもありますが、明らかに異なった味付けです。フフなどの餅状のものが主食になるため、味が変化しているんだなと思いました。

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こちらが、その店の外観。アフリカの方が経営している現地っぽいアフリカ料理店に比べ、明らかに日本のサービスやクオリティを意識していて、アフリカ系と日系両方のお客さんが満足できる店となっています。

六本木にある「Padi's」というお店も紹介させてください。このお店は、Palava Hutの六本木店にあたります。基本、メニューはまったく同じです。

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アフリカンホームタッチの近所にあり、ビルの5Fです。緊急事態宣言中は、テイクアウトのみでしたが、通常営業だと夜中までやっている店です。

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DJブースがあり音楽がガンガンかかっています。レストランという雰囲気ではないですが、行徳まで行かずに日本でシエラレオネ料理が食べられます。

とにかく日本だけでなく世界中を探しても、あまり食べる機会のない貴重なシエラレオネ料理。是非訪れて、小国シエラレオネの食文化を楽しんでください。

⑥ピーナッツ(グラナッツ)スープ

ピーナッツペースト(バター)を使う料理は、西アフリカ料理の定番です。この料理に使われるピーナッツペーストは、いわゆる米国でパンに塗って食べる砂糖入りのピーナッツバターではなく、無糖のもの。これを使ったスープやシチューが西アフリカ各国にあります。

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こちらは、先日埼玉県の北坂戸にある2021年出来たばかりの「La Senegalaise CHEZ YA BIGUE」というセネガル料理店で食べた「マフェ」です。世界的にも有名な料理で、アフリカ風ピーナッツカレーのように言われることもあります。

セネガルのこの料理は、ガーナのものとは違いコッテリしたシチュー状態。そして、かなり甘い味付けでピーナッツも濃厚に使われているのが特徴です。まずは、この著名な料理を覚えておいてください。

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では、まずガーナ料理専門店の「アメージンググレイス」のメニューにある「ピーナッツスープ」を見てみましょう。「ガーナのおもち料理」のページ、つまりフフと食べる料理のコーナーにありました。

スープの具材である肉や魚など4種類から選び、さらにライトスープ、ピーナッツスープ、パームナッツスープの3つから選ぶようになっています。なぜ、このようなメニューの作りになっているかというと、ガーナ料理において、2皿目でも紹介したトマトベースのライトスープが、ピーナッツスープとパームナッツスープのベースとなっているからなのです。

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「アフリカンホームタッチ」で実際のピーナッツスープを見て見ましょう。2皿目のライトスープと見た目は、ほとんど変わりません。一緒についてくるフフも同じベーシックタイプ。

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ただ、よく見てみると、スープがほんのり茶色がかっているのが分かります。ピーナッツペーストの色です。ライトスープの旨味たっぷりのスープに、さらにピーナッツの持つコクが加わることで、味わい深いスープとなっています。肉などの具材は、ライトスープの時とほとんど変わりません。

セネガル料理がソースをご飯にかけて食べるのに対して、こちらはいわゆるシャバシャバ系のスープにフフを浸して食べる料理です。根本的に料理の組み立て方が違います。セネガルなど主食がご飯の国々から、フフが主食のガーナにやってきたことで、ピーネッツスープがこのような状態へと変化したものと思われます。

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さて、今度は「Palava Hut」「グラナッツスープ」を見てみます。ここでは、メニューの名前がこうなっていました。ピーナッツの別名がGroundnutsなので、このようにグラナッツと言う場合もあります。

先ほどのアフリカンホームタッチのものに比べると、全体的にピーナッツペーストが多めに使われているのが色から推測できます。

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食べてみると、ピーナッツのコクと旨味を強く感じ、かなりコッテリです。甘さと辛さをほんのり感じ、バランス抜群の味わい。食感は、気持ちどろっとしています。真ん中のものは、フフになります。スープに浸かっているので、手食だとかなり熱々です。

実際、熱いため手で食べるのを諦めかけ、スプーンで食べてみたのですが、明らかに手で食べる時と味が変わります。このスープ系の料理は、手の方が絶対に美味しいのでスプーンではなるべく食べないことをお勧めします!

また、味付けがよりセネガルのマフェに近づいている気もしました。シエラレオネ(こちらも主食は米!)の影響でしょうか?

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続いて屋台の「アンタルキッチン」のピーナッツスープ。こちらは、カレーに近い感じでした。クローブがかなり効いていて、その風味が濃いめのピーナッツカレーにすごくあっています。屋台だから、もっと日本風なカレーにアレンジしているかと思いきや、かなり本格的な味付けでした。

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六本木の「Padi's」でも一度食べています。緊急事態宣言中に食べたので、このような弁当の形で出てきました。これがあまりにも綺麗に日本のお弁当状態だったので、ちょっとウケました。

食べてみると辛い!

それもあってか、日本のカレーに近い食感。ピーナッツの味がほどほどに。辛さがカレーの辛さじゃなく、もっと刺激物のような...そんな感覚!

基本的にこの店は、Palava Hutの2人が作ったものをこちらに持ってきていると思っていたので、同じ味かと思っていたら結構違いました。見た感じ、煮詰まってるようなので、そのために味が凝縮されているのかも?

フフの代わりにライスで「シエラレオネ風ピーナッツカレー」とかにして日本の米で食べれば、日本でも普通に流行りそうな味だなと思いました。

⑦パームナッツ(バンガ)スープ

続いて、7皿目は、私が今回のガーナ料理を食べ歩いて、トゥーザフィの次に「激ウマだ!」と思った料理です。その名も「パームナッツスープ」。ナイジェリアなどでは「バンガスープ」と呼ばれています。

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ガーナの食材店に行くと、こうした800gの大きなパームナッツスープの素のようなものを販売しています。

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今回、どんなものか試して見たいと思い、買ってみました。するとこのようなパームオイルの塊がパームオイルにどっぷり漬かっていました。これだけを食べても、ちょっとエグミさえ感じる油で、食べても美味しくないです!

ピーナッツスープ同様、ベースとなるトマトスープは、2皿目のライトスープ。そこに、この濃厚な「オイル漬け」が加わることで、不思議な味わいの超絶美味しいシチューに変身するから驚きです。

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カフェ・バグダッドさんが提案された「世界を知るための10皿」という企画に乗り、様々な国の料理を取り上げていきます。料理を通じて、移民の方々や、聞きなれない国に親しみをもってもらいたいと考えてます。今後はYouTube「世界のエスニックタウン」と連携した企画をアップしていきます。