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今週の地域活性化、自治体関連ニュースまとめ(2021/09/20~26)

毎週600~800本に近く配信される地域活性化、自治体関連のニュースに目を通し、個人的に「これは!」と思ったニュースを要約&解説しています。日々多忙な地域、自治体に関わる皆様の情報収集の一助になれば幸いです。

今週は市民参加型のインフラ管理プロジェクトや宿泊施設におけるサステナブルな取り組み等ユニークなニュースをピックアップしました。

■ゲーミフィケーションを取り入れ、渋谷区約1万個のマンホール蓋の写真収集を市民の力により3日間で完了

インフラ情報管理プラットフォームを提供する Whole Earth Foundation がマンホール鉄蓋などの製造・販売 日本鋳鉄菅株式会社 と提携し、渋谷区に存在するマンホールの情報収集を市民参画型で行う、効率的なインフラ維持管理を実施するプロジェクト「マンホール聖戦 in 渋谷」を開催。約700人が参加し、渋谷区に約1万個存在している下水道マンホール蓋の写真撮影を市民の力でわずか3日で完了させました。

日本の水道インフラの老朽化は深刻な状況にあり、マンホールだけでも全国で300万基が老朽化されていると言われています。豪雨等の影響でマンホールが浸水時に外れる事故等も発生しており社会問題となっています。

従来は各地に点在しているマンホールの状態を自治体の予算のもと整備・管理・維持していましたが、このプロジェクトでは市民1人1人が社会インフラを守る担い手として、近隣のマンホールの写真を撮影し、専用アプリ「鉄とコンクリートの守り人」で報告することで効率的にマンホールの状態を調査&把握。今後の重大事故の発生を劇的に減らすことを目指しています。

このプロジェクトの興味深いポイントはマンホールの状態報告という作業に「陣取り合戦」のようなゲーミフィケーションを取り入れているところ。ゲーミフィケーションとは教育やイベント、アプリのチュートリアル等、ゲームを本来の目的としないサービス等にゲーム要素を応用することで、利用者の意欲向上やサービスの継続利用を図ること。よく知られた例でいえば、くら寿司が展開する「ビッくらポン!」。寿司皿5枚をカウンターに入れるとゲームができ、当たるとガチャ玉が獲得できるあのシステムです。このシステムによりついついあと1皿......と注文してしまう人も多いのではないでしょうか。

「鉄とコンクリートの守り人」では地図上に表示されたマンホールの写真を撮影&アップロードすることでそのマンホールの「守り人」となり、経験値や報酬を獲得。レベルアップすることで次に撮影予定のマンホールを予め予約することができるようになる等、ゲームを優位に進めることができます。これはPokemon GOの開発で一躍有名となったNiantecが提供する陣取り合戦ゲーム「Ingress」と似たようなコンセプトですね。

▼「鉄とコンクリートの守り人」の画面イメージ ※プレイガイドより転載

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この取組自体も普通に実施するとマンホール蓋の情報収集を市民に委託しているわけですが、ゲーミフィケーションを取り入れ、「マンホール聖戦」としてこの作業を「エンタメ化」することで楽しく参加できるようにしつつ、インフラの課題解決に繋がるというコンセププトを打ち出している点がとても秀逸だと思います。

米Amazonも倉庫のピッキング等、単純作業にゲーミフィケーションを取り入れ、生産性や従業員の意欲向上を図ったように、身の回りの単純作業であったり面白みの無い仕事も工夫次第で楽しみながら効率的に実施できる可能性があるかもしれません。

■Googleホテル検索および、Booking.com で宿泊施設の「サステナブルな取り組み」を見える化

SDGsや気候変動問題への関心の高まりを受け、同週に旅行検索大手プレイヤー2社が同様の取り組みを開始しました。

○Google

GoogleHotelの公式ヘルプを見ると以下のように記載されており、Googleマイビジネスにおいて各事業者が取り組んでいるサステナビリティに関する取り組みについては下記2つの方法で消費者にアピール可能です。

Google では、ホテルのオーナーが、環境問題への関心が高い消費者に対してサステナビリティに関する取り組みをアピールできる手段を導入しています。購入する製品やサービスが環境に及ぼす影響について関心を高めている消費者は、ますます増える傾向にあります。このような消費者が、より多くの情報に基づいて責任ある判断を下せるように、情報を求める声が高まっています。

①サステナビリティに関する取り組み
こちらはGoogleマイビジネスアカウントを通じて、自社の取り組みを自身で追加表示させることができる項目です。

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②エコ認証
第三者認定機関が指定するサステナビリティの基準を満たすホテルに付与される認証。Googleのホテル検索結果においてサステナビリティーへの取り組みを評価するために設けた基準を満たしたホテルに対して、ホテル名の隣に「eco-certified (エコ認定)」という認証印を表示します。Googleが認定するエコ認証機関については以下の公式ヘルプをご確認下さい。


○Booking.com

公式ヘルプを見てみると上記Googleと同様に、事業物自らの取り組みを自分で設定できる項目と、第三者認証機関からの認証を取得した場合に表示できる2種類の項目があります。詳細は下記をご確認ください。

またBookingが世界で実施した2021年度版の「サステナブル・トラベル」に関する調査では、日本の旅行者の82%が「旅行において、サステナビリティが非常に重要だ」と回答し、サステナブル・トラベルへの意識の高まりが見受けられた一方、「サステナブルな取り組みを行っている宿泊施設が存在していることを知らなかった」と回答した日本の旅行者は半数以上存在し、また 約3人に1人の旅行者(世界31%、日本28%)が「サステナブルな宿泊施設をどこで見つけられるかよくわからない」と答えており、これに対応するかたちで今回の機能追加が発表されています。

膨大な宿泊に関するデータを保有する大手プレイヤーが検索結果等に各宿泊業者のサステナブルな取り組みを表示させるようになったということは、すでに各事業者のサステナブルな取り組みが宿泊施設を選択する際の重要な要素の1つになっているということです。

各宿泊事業者さんは今後の競争力強化という意味でも、自身のビジネスにおけるサステナブルな取り組みについての洗い出しや今後の対応方針の整理が必要になってくるかもしれません。

■日本最大級の市民参加型オンラインスポーツイベント、「オクトーバー・ラン&ウォーク2021」が開催

「スポーツの実践を通じて、健康で心豊かな人生を送る人々を応援する」を企業理念とする、一般財団法人アールビーズスポーツ財団は10月1日からオンラインで誰でも参加できるウォーキング、ランニングイベント「オクトーバー・ラン&ウォーク2021」を開催します。

専用アプリをダウンロードして、記録した10月1カ月間のウォーキングの歩数やランニングの距離を、 「全国個人ランキング」「都道府県内個人ランキング」「市区町村内個人ランキング」「全国都道府県対抗ランキング」「全国市区町村対抗ランキング」 「都道府県内市区町村対抗ランキング」の6つのランキングで表示。

参加自治体ごとに集計された参加者の平均歩数や平均ランニング距離や自治体人口に対する参加率もランキングする「自治体対抗戦」は、昨年も市民のスポーツ習慣の維持・向上に力を入れる自治体同士の間で熱い戦いになるそう。今年は既に343の自治体から参加表明され、10万人以上がエントリーしているようです。

1人で完結するウォーキングやランニングにおいて、フィットネス業界の革命児 Peloton でも実装されているような、他の参加者とリアルタイムで運動順位を競い合う仕組みを取り入れることで、ユーザーのモチベーションや体験の飛躍的な向上に繋がるようです。自治体が参加を表明すると参加自治体内でのランキングも表示されるようになるため、リアルイベントが開催しづらい中で、市民の健康づくり施策としてエントリーしてみても良いかも知れませんね。

他にもコロナ渦でリアルなスポーツイベントが制限される中、「バーチャル東京国際マラソン」や世界的な自転車ロードレースイベント「ツール・ド・フランス」、異なる場所から対戦ができるスピードクライミングのオンライン対戦「IFSC Connected Speed Knockout presented by JAL」が開催される等、多くの制限がある中でも各所に工夫を凝らした様々なオンラインスポーツイベントが多数開催されています。

コロナ渦で外出自粛が続く中、運動不足に悩んでいる方は参加してみてはいかがでしょうか。

■マップ上で地域別のデータを直感的に閲覧できる ふるさとクリック「地図で見るふるさと納税」版を公開

日本経済新聞社がマップ上で直感的に各地の情報を閲覧できる「ふるさとクリック」シリーズとして「地図で見るふるさと納税」を公開しました。

気になる市のふるさと納税額の推移を簡単に見ることができ、赤色の濃い部分がふるさと納税額が多い地域です。

私が在住する雲仙市はこんな感じ。気になる地域をクリックするだけなのでポチポチ触って見ているだけでも楽しいです。そして同じ九州地域で一つだけ異様に濃い赤色をしている市が.....

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宮崎県都城市です。受け入れ額は135.25億円と桁違いです。
...何だこの差は.....

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それもそのはず。調べてみると同市は令和2年度ふるさと納税寄付額日本一だったのですから。あまりの納税額の差に一瞬「なんとかギフト券か....?」と疑ってしまいましたが、返礼品の調達費が寄付額の30%以下、地場産品に限るという改正地方税法(19年6月施行)がフル適用された初めての年度。そんなワケありません。

専用サイトやSNS等を利用し、地元産の宮崎牛と、同市に本社を構える霧島酒造の「黒霧島」という「日本一の肉と焼酎」に絞込んで、情報を発信する地道な活動が実を結んでいました。恥ずかしながら同市はこれまで知らなかったのですが、訪れてみたくなります。

地図をポチポチしているだけでも意外な発見がありました。ふるさと納税額の濃い地域を探して穴場の旅行先を探してみるというのも楽しそうです。

他にも「地域別の女性管理職の割合」、「高齢者の医療費」、「マイナンバーカード普及率」、「出生率」、「ごみ排出量」等様々なデータを直感的に閲覧することができ、とても楽しいので皆さんも是非利用してみて下さい。


【注意】
掲載内容の正確性には努めていますが、それを保証するものではありません。お問い合わせや指摘等に関してはコメント欄よりお願いいたします。




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