見出し画像

#16 俺の敵はだいたい俺

5月18日(土)

昨日、一緒に授業を受けていた友人が4人卒業した。
一人は以前登場したメキシコ人のジョセフ、もう3人は日本人で一人はBanffでハウスキーパーに、一人はGuelphに引っ越して仕事探し、そしてもう一人が友人のSOTAである。

SOTAからすると念願の卒業だった。

午前の授業の講師が嫌いでいつも機嫌悪そうに、授業受けたくなさそうに来ていたからその気持ちはすごく伝わってきた。特に昨日の午前の授業が終了したときのSOTAの清々しい顔は日本国民に見てほしいほどだ。


先週までホントにこっちが気分を害されるほど、見ていられない態度をとっていた彼だったが、今週は別人だった。やる気を見せていたし、ペアワークやグループワーク中にも笑顔が見られた。彼曰く、

「あの先生は駄目だ。あいつはもう変えられねえ。だから俺が変わるしかねえ。」

正直気づくの遅いとは思ったが、素晴らしい変化だった。授業の予習をしてきて、しっかりと授業を受けている姿は友人として嬉しかった。
放課後の送別会では日本居酒屋に行き、しっかりと嫌いな生徒や講師の愚痴をこぼし楽しそうに帰っていった。ありがとうとメッセージも貰った。

日本人の中でも仲のいい友人だったSOTAがいなくなるのは、かなり寂しい。トロントにいるとはいえほとんど会えないだろう。でも彼の最後の一週間に一緒に授業を受けることができて、本当に良かった。


彼の言葉は、私に漫画「宇宙兄弟」のある言葉を思い起こさせた。
この記事の題名でもある「俺の敵はだいたい俺です。」という言葉だ。

彼の海外に来て英語を話せるようになりたい、自分を変えたいという願いを阻害していたのは、他の誰でもない彼自身だった。別に講師が嫌いでも、授業を真面目に受けることはできるし英語の勉強は自分でできる。
でも学校が嫌だからと成長をやめたのも彼自身である。

それでも自分が変わらなくてはと、やる気を出して勉強をし、最後にはクラスの数人と仲良くなって卒業していった。


人生には定数と変数があるが人間は定数の方を変えようとする、という話をよく耳にする。
変数とは基本的に自分自身の中にある考え方や気持ちなどで、定数は外的環境や他人など変えようがないものである。人間は上手くいかないときに、定数に問題があると言って自分自身の問題から目をそらす。
しかし定数の方は変えようがないのだ。自分が変わらなくてはいけないということに気づけない人間は多い。


今回SOTAは無意識ながらに、そのことに気づき変わった。
昨日の送別会の帰りは、SOTAが卒業した寂しさと、友人なのに彼を悪く見てしまっていた自分自身の反省、そしてSOTAが思い出させてくれたことを反芻しながら、隣に座っていたオジサンの厳つさに震えてバスに揺られた。


あー、宇宙兄弟読みて〜。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?