子どもの天井は誰にも決められない
こんにちは。エデュサポです。
「うちの子は勉強ができないし、成績も伸びないから大学受験をさせるか迷っています。今から頑張って合格の可能性はありますでしょうか。合格の可能性がないようならはっきりとおっしゃってください。」
三者面談でときどきこのような相談をされることがあります。
この相談に関しては、正直「予知能力者じゃないのでわかりません。」としか答えようがありません。99.999%無理だと思っても、1年か2年死ぬほど勉強して逆転合格を勝ち取る生徒もいました。逆に、99.999%大丈夫だろうと思っても、残念ながら不合格になってしまう生徒もいます。
塾側が示せるのはデータだけであり、合格の可能性なんてやってみなければわかりません。
そんなことよりも問題なのは、大人が子どもの天井を設定してしまっているということです。
今回は、子どもの天井について考えたことをまとめてみようと思います。
私は以前、塾講師の仕事をしていました。集団塾と個別塾で講師と教室長を務め、オンライン教育系の塾運営の仕事をしていた時期もあります。かれこれ20年以上、塾業界で働きました。
これまでの経験を基に考えたことをまとめます。最後まで読んでいただき、子どもの成長について考えていただければとても嬉しいです。
結局はお金の話である
「合格の可能性がないのならば早めに言ってほしい。」という相談の意図はお金にあります。「合格できないのであれば塾代は無駄なお金になってしまうから、ダメなようならはじめからお金は使いたくない。」ということです。
確かに、塾や予備校の学費というのは大きな金額になりがちです。大学受験を目指す高校3年生であれば、年間100万円程度はかかってしまいます。合格できなかったら大変な損失だと思われるのも理解できます。
まず前提として、難関大学の倍率は5倍以上になることが珍しくありません。5人受験したら4人は不合格です。さらに、第一志望校となれば「挑戦校」という位置づけになるでしょう。
5倍以上の倍率の学校を、「挑戦校」として受験するのです。大学入試で第一志望校の合格を勝ち取るというのは凄いことなのです!
そんな大きな挑戦をする子どもに対して、「おまえの天井はここだから、予備校へは行かずに自分で勉強して、これくらいのレベルの大学に行け。」と言うのは、大人の発言としては失格だと思います。
もちろん、お金をかけて塾や予備校に行くことが正義だとは思いません。塾や予備校に行かずに第一志望合格を勝ち取る子どもたちもたくさんいます。
一方で、お金をかけてもかけなくても、子どもに適切な環境を整えてあげることは大切なことだと思います。
合否だけが全てではない
受験は合否だけが全てではありません。受験は人生の通過点であり、目的地ではありません。第一志望校に合格しなかったから、それで人生失敗ということにはなりません。
私は毎年多くの受験生を見てきましたが、本気で受験勉強に打ち込んだ子どもたちは驚くほど成長します。外見の話ではなく、内面的に、人間として大きく成長します。
結局最後まで本気で取り組めなかった生徒と比べれば、成長の違いは明らかです。言葉で上手く伝えることができないのですが、それはもう大きな人間力の差になります。
よく、「一流大学を出て勉強ばっかりできたって、人としてなってなきゃ使い物にならない。」みたいな意見を聞きますが、この発言をする人は1mmも本質が見えていません。
一流大学を出た人の多くは、少なくとも人生に一度、全てをかけて打ち込んだ時期があるということです。そしてその経験の中で、大きな成長を遂げた人たちです。
「勉強ができるかどうか」と「人としてなっているかどうか」は別問題です。いかにもどちらか一方しか選べないというような議論は、本質を議論しているとは言えません。
もちろん、一生懸命打ち込んで人間的に大きく成長し、その結果として第一志望校合格を勝ち取れたら最高です。しかし、第一志望校に不合格だからといって、全てが無駄だったということにはなりません。その過程での成長は、これからの人生で必ず生かされます。
子どもにはできる限りのチャンスを
子どものために借金をしてでもお金を使ってほしいとは思っていません。それでは将来、子どもの重しになってしまうからです。しかし、大人が子どもの天井を勝手に決めてしまい、チャンスを潰すようなことはしないでください。
保護者の方に、「合格が無理な場合は無理って言ってもらえませんか?」と相談されることもあります。しかし、私が「無理です。」と言うことはありません。
実際に出願する際は、現在の成績を考えて、もしも第一志望校が不合格だった際の現実的なセーフティプランを考えます。共通テスト(旧センター試験)の実際の点数によって、「挑戦Aプラン」「安全Bプラン」を提案したりもします。
それでも、「無理だから第一志望校を変更しなさい。」とは絶対に言いません。
高3の12月の模試でE判定でも、そこから逆転合格を果たす生徒も相当数いるからです。もしもその時点で私が、「直前の模試でE判定だったから、第一志望校を変更しよう。」と言っていたら、その生徒たちの合格も笑顔も見られなかったのです。
未来は誰にもわかりません。ですから、頑張る子どもたちにはできるだけ多くのチャンスを与えてあげてください。子どもの天井を勝手に決めて、可能性を狭めないでください。
そして、子どもが失敗しても責めないでください。まずは子どもが一生懸命努力したことを褒めてあげてください。失敗しても大丈夫だということを教えてあげてください。また新しいことに挑戦できるよう励ましてあげてください。
子どもたちが安心して何度も挑戦でき、安心して失敗できる環境を作ってあげててください。
それが、子どもたちのために大人がしてあげられることだと思います。
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