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思い出しギックリ腰

最近、腰が嫌な痛さをしている。

今はまだ明確ではないが、「あー、これ知ってるなぁ…この痛みは…知ってるやつだなぁ…」ぐらいの予感はしている。

僕はHPが多い方なのだが、毎日毎日、ダメージを少しずつ受けて徐々に減っていっている感じがする。

僕は過去に、ちゃんとしたギックリ腰をやっている。

大学生の頃だ。

その日僕はスーパーのバイトをしていた。特に前兆があったわけでもない。

なんならベストコンディションだった。バイトリーダーよりも働いた。

倉庫の棚整理をしている時にそれは起きた。

マネージャーが「島崎、あの1番上の段ボール取れるか?」と言った。

背伸びをすればなんとか届きそうだったので、「今日はなんでも取れちゃいます」と無双状態であることを伝えた。

シカみたいな脚でプルプル震えながら手を伸ばす僕。

「これ、ちなみに中身はなんですか?重いですか?」

その内容によって受け取る力を調整しなければならないので聞いた。

マネージャー「プラスチックの容器が入ってるだけだから、軽いよ」

僕は「あ、なんだ、力いらないのか」と、戸愚呂弟だったら1番最初の状態で充分だとなめてかかった。

感覚的には、段ボールを手前にずらし、それをキャッチすればいいや、ぐらいの温度だった。

「よっ♪」と段ボールをずらした。

あれ、重いぞ、と思ったのも束の間、ずらした瞬間に傾いて落ちてくるタイプのものだった。

「え、やばい何これ」

軽いと思っていたものが重かった油断に耐えきれず、僕はそのまま段ボールを抱えながらバックドロップの形で地面にズシーンと倒れ込んだ。

中身は、ヘビー級の土鍋だった。

腰から「グリッ」という音がした。

マネージャー「おい大丈夫か島崎!?どうした!?」

アンタの情報ミスのせいだろ。

どこがプラスチックの容器なんだよ。いや自分でまず重みを確認しない僕も僕だけど。真逆じゃねぇか。

プラスチック容器とヘビー級土鍋は真逆だろ。

「も〜、マネージャー、中身違うじゃないですかぁ」

めっちゃかわいく文句を言いながら立とうとしたその時だった。

「ビキィィィーーーン」

腰の痛みで崩れ落ちた。

わざと1発食らってみたパンチがかなり効いていたみたいな崩れ落ち方だった。

「いてぇ!!!マジでいてぇ!!!帰りてぇ!!!!!」

腰をおさえながら大学生丸出しのコメントをした。

立とうとすると激痛が走り、「これは、やってる。やってるというかやられてる。」とすぐに思った。

マネージャーに支えられながら事務室へ行き、タイムカードを切って、その日は退勤。

暗闇の洞窟の移動手段かのように壁づたいに帰る僕。

すぐに昔からの付き合いの地元の接骨院へ行く。

「おぉ、今日はどうしたの?」

僕は昔からケガをしすぎて接骨院の常連客だった。

ここの接骨院の若手は僕のケガで学ぶことが多い。僕のケガを診て、最後まで治して一人前みたいな風潮になっている。僕が育てていると言っても過言ではな…それは過言だ。

事情を説明、すぐにレントゲンを撮る。

院長「あぁ、上半身を支える大事な骨盤が右にずれてるねぇ」

簡単に言わないでくれよ。右か左はこの際どっちでもいい。なんかやばいことになっていることは分かった。

院長「相当痛いでしょ?(笑)」

相当痛いから来てるんだよ。笑い事じゃないから。僕の毎度毎度のケガに慣れすぎたじゃねぇか。

そうは言っても昔から必ず僕のケガを治してくれた。信頼はしている。

「めちゃくちゃ痛いんでなんとかしてください。お願いします。」と託した。

すると院長が体格の良い若手整体師を3人集めた。

常連で昔から可愛がってくれているとはいえ、お客さんの前であんまり見せない方がいい顔つきでミーティングを始める。

小声だったので聞き取れなかったが、はっきりと聞こえた言葉があった。

「力尽くで…」

怖すぎるから。聞かせちゃダメよ。プロの判断なんだろうけど。手立て他にないのかよ。

ドキドキしながら待っていると1人が、僕を「ラディッツを自分ごと魔貫光殺砲で貫かせようとする悟空」みたいな感じでガッシリとロックした。

残りの2人は、右腰と左腰に「風神と雷神」みたいな立ち振る舞いでスタンバイ。

「合体でもすんのか」

そんなことを思っていると、「1,2,3(ワン、トゥー、スリー)でいくよぉ」と指示を出す院長。

僕は心の底から「何が!?」と思った。

ちょっと待って、教えて。3の時に何をされるの?そもそも3で答え出す感じ?3の後にGO?そこの1で覚悟とか変わるから。

院長「いくよぉー」

いくな。

「いくよぉー」じゃないんだよ。ほとんど黄猿じゃねぇか。

僕の話を聞いてく…

「1,2,3!!!バキボキバキバキボキバキゴリゴリゴリゴリ!!!!!」

僕「!?!?!!?!?!?!?!?」

言葉が出なかった。

「あ!!真っ二つにされた!!!!」そう思った。

急にパワータイプすぎるだろ。こっちはテクニカルを求めて来てるんだよ。

いや、こんな荒技で治るわけな…あれ??

身体が軽い…!!!さっきまで全モーションごとに痛がっていた腰が、今じゃジャンプとかしても平気だ…!!!

クローズZEROの時の小栗旬が得意としていたジャンプしてパンチするやつも今ならできる!!!

調子に乗った僕は帰り道の移動手段もジャンプしてパンチで進んだ。

そうしてギックリ腰を完治させた僕。ありがとう、いつもの接骨院。

時は経ち10年。

そんなことは忘れて、家族と平和に暮らす日々。

院長、覚えてますか??僕です。子どもがうまれました。





もうすぐ久しぶりにお会いできそうです。

倍面白くなります。僕をサポートで支配してください。よろしくお願いします。