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【IB・MYP・Science】新学期Unit”もの”の探究(ものシリーズPart2:実践スタート編)

9月第1週から単元スタートしました、”ものシリーズ”。
紆余曲折・悪戦苦闘しながら、進めています。
今回はその実践スタートラインに立ちました回の話です。


1−1スタートはシンプルな質問から。

「シンプル」と言いましても、何を持ってシンプルとするか解釈が異なりますから、ここでは「シンプル」=「比較的短く、概念を問う」という意味をもたせることとします。問いはこうです。

ものとは何か。

問いに対して、質問のようなフワフワとした考えがいくつも飛んできました
「生物はものってついているけど、ものではないんじゃない?人工物のことをものって言うんだと思う」
「”もの”ってついてたら、ものやと思うよ?だから生物も人工物もものだ」
「この前バケモノって聞いたけど、あれはどうなん?」
「地球ってものなのかな?」「いやあれは天然物だからちがうよ」
「大きさって関係あるんかな?僕よりでっかいものは、ものとは言えんよ」
「MONOって書いてある消しゴムは、間違いない」
などなど・・・笑
とにかく個々がもつ”もの”への定義が、これまでの経験からバラバラでした
そこで、次のようなアクティビティを入れることに。


1−2”ものである”かどうかの解釈

”ものである” ”ものでない”の現時点での解釈について
文字以外の方法でA4紙に表しなさい。

ここでのポイントは、文字以外の方法でということです。
文字にして表してしまうと、解釈の幅を無意識のうちにもたせてしまい(つまり概念的になってしまう)彼らの経験から意味を構築させることが難しくなると判断しました。具体(経験)から解釈を生み出すという学習の流れの一部を彼らに体感させることを狙いました。ちなみにこれは”学習課題”として、「次の理科の授業までに実行するように」と伝えました。

図1 生徒の解釈①(中央〜左側は”ものである。”中央〜右側は”ものでない”。)
図2 生徒の解釈②(中央〜左側は”ものである。”中央〜右側は”ものでない”。中央下部はどちらか判断できない。)
図3 生徒の解釈③(中央〜左側は”ものである。”中央〜右側は”ものでない”。)

1−3他者はどんな解釈で切り分けているのか

上図のような紙を各生徒がもちよって、次の授業がスタートしました。
大きいテーブルに彼らがもってきた紙を並べ、
次のような指示を出しました。

「他の人が”ものである”かどうかをどんな解釈でわけているのかを、
絵から判断しなさい」

この指示は・・・少々分かりにくかったようです。お互いの紙を見合いましたが、根拠を持って解釈の判断をしているというよりも何となく「私はこう捉えます」というふわっとした感じでした。(あとは絵が描かれていることにより、授業に向かえないという別問題も発生してしまいました)
「見えるか見えないか」
「触れるのか触れないのか」
「自分より大きいのかどうか」などと
解釈の判断にまで至った生徒からは声があがりました。

2−1ものが示す質量と体積という2つの”量”

ここからの展開は、吟味が必要だと感じてます。
強引に教師側がハンドルを切りすぎた印象を受けました。

ものに対する解釈がバラバラであったことを確認した後に、
この場では、質量と体積という2つの”量”をもっているものを
”もの”であると定義します、としました。
(じゃ、何のために”ものである””ものでない”を分けさせたのかと
ある生徒からツッコミをもらったのが、強引だと感じた根拠です。)

さて、質量と体積とは何なのでしょう?

と問いかけました。おそらく”ものの定義”と同様に、
調べてしまえば言葉としてはすぐにでてくると予想がつきましたので、
質量と体積という概念を立体物で表し、説明をしなさい。
という学習課題(1週間ほど)を与えました。
次の投稿に続きます。ありがとうございました。

ちょいめも:学校における”答え”とは?

「インターネットを調べれば、すぐに答えが出てくる」
これは、過去の僕の考えです。
今現在の僕は”答え”をどう考えるか?って話です。

ちょいめもなので、答えとは何かを端的に書くと・・・
過去:先生がもっているもの。生徒は蓄えて、テストで出すもの。
   =情報
現在:先生はもっていないもの。集団の構成員あるいは個人が吟味、合意(個人の場合は納得)し、常にアップデートし続けるもの。
   =概念(社会的合意によって行われる意味構成)

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