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フォト絵本「さんびきのねこ」#1俺は野性の巻

ぼく猫。

おれ猫。

ぼくもぼくも!

白猫のめいと縞猫のさつきと黒白猫のカンナは、千葉の小さな町に住んでいる。車を15分ほど走らせると海がある。でも三匹は行ったことはない。築50年のおうちが三匹の縄張りだ。古いけれど、広くて思いきり走り回れる。窓からはお庭が見える。

「あ、今日も来てる」
見張りをしていたカンナが言う。

さつきとめいも駆け寄る。

どれどれ

「あ!本当だ」

「あの黒猫。君のお母さんじゃないかなあ」(さつき)
「どうでもいいよ。そんなの」(カンナ)
「え!なんでさ」(さつき)
「俺はこの前まで庭を歩いていたんだぜ。野生の猫は、母親とは早くにおさらばするのさ」(カンナ)
「ふん。ぼくたちが家でぬくぬくしてるって馬鹿にしてたんだろ」(めい)

「馬鹿になんてしないさ。俺は誰とも比べない。俺は外で一生懸命生きた。スズメや蛙を食べて、水たまりの水を飲んだ。チョウチョを追いかけたり、人間に追いかけられたりした。今はこの家にいるだけ。俺は俺」

野生時代の俺

「かっこいいなあ」(さつき)

あこがれちゃう

「気に入らないね」(めい)

あーあ、かゆいかゆい


そこへ、ゆうこさんがやってきた。
ゆうこさんはコーヒーを淹れて、ダイニングテーブルでパソコンでお仕事をはじめた。

3匹の猫は、我さきにとゆうこさんに駆け寄って、お膝の争奪戦を始めた。勝利の座を得たのは、カンナ。

にゃあん

カンナがきゅるんとした目で見つめるからゆうこさんも思わず手を止める。

ゆうこさんが優しく背中をなでるとしっぽがピンとなる。

「いいなあ」(さつき)
「顎の下まで・・くうっ」(めい)

ごろごろごろごろ

ゆうこさんはカンナを抱っこで包み込む。
「赤ちゃんカンちゃん。カンちゃんのお母さんは、どんな猫さんだったのかな?黒猫さんだった?白猫さんだった?それとも白黒猫さんだった?」

ゆうこさんがお腹をなでると、カンナは、ゆうこさんの指をぺろぺろ舐めた。

「カンちゃん、たくさん舐めてくれてありがとう。カンちゃんのお母さんもきっとこんな風にカンちゃんをずっと舐めてくれたんだねえ」

にゃむう

「おい・・・野生どこいった」(めい)
「優しいお母さんだったみたいだね・・・」(さつき)

***
今日も今日とて、三匹は、窓からお庭を見ている。
「また来た!」
「どれどれ」
「あの縞猫、僕のお父さんじゃない?」

三匹が、どうして、おうちに住むことになったのか。

それはまたのお楽しみ・・・

にゃんぐりもんぐりにゃんぐりこ

続編↓




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