おじさんでも泳げる（可愛いは作れる的な発想【ダイエット】

やはりどこにいっても水中での運動はダイエットにて最強だと聞きます。
やれ水圧はどうのだとか、負荷がどうのだとか全身運動だからとか。

私がプロのダイエッターだということは過去のエッセイを読んでいただけている皆様でしたらご周知だと思います。初めての方は顔と名前だけでも覚えて帰っていただければ幸いです。
なのでそんなプロは水中運動をしているかと聞かれたら、答えは「イエス」です。
今現在ｎ-1回目のダイエットが成功し、ｎ回目のダイエット中ですので（もう成功しすぎて回数を数えるのが面倒になったので以降はこの表記を使います）ジムに登録してプールでえっほらよっほらと運動しているわけです。

かなり前に、個人ブログで「プールはおじいさまおばあさましか居ないので若い男（イケメン）のぼくは浮いて恥ずかしい」という記事を書きました。
あれから数年でしょうか。私の羞恥心はすっかり消え去り今はおじいさまおばあさまとともに歩行用コースで水中散歩に興じております。

聞こえてきます。
「ダイエットなら水中散歩よりも泳ぐ方が良いよ」と。
それも理解はしております。なぜなら私はプロのダイエッター。
理解はしっかりとしております、しかし私は「泳げない」のです。
なにか問題でも？
あ？

……正確にいえば「きれいに泳げない」です。
誰しも小学生中学生でプールの授業は受けたことがあると思います。
私はそこで、いつも真ん中のクラスでした。
上がスイミングスクールなどに通っている「泳ぎを追求する」クラス
下が水中で目を開けられない、水中が怖いなどの「泳ぐことが出来ない」クラス
そして真ん中がどちらにも当てはまらない「普通」クラス。

私は本来、下の泳げないクラスですが、その振り分けテストの際に友達に「腕をぶん回せば普通にいけるよ」と最高すぎるアドバイスをもらい、息継ぎなんかをせずに25ｍ泳ぎ切ってしまいました。
おかげで真ん中のクラスに入ってしまったのです。
そのアドバイスをした友人はゲラゲラ笑いながら「あんなフォームで泳ぎ切るのすごすぎだろ」と笑っていました。
今振り返ると、ぶん殴ってやりたいですね。

ともあれ、そのせいで私は泳ぎの基礎を習うことなくおじさんになってしまったのです。
なので私は泳げない。理解していただけたでしょうか？

しかしながら効率が悪い。
水泳が全身運動なのは理解しています。
それが水中散歩ではそこまで効果を発揮しないことも。
ゆっくりでもいいから、泳げるようになりたい。
泳げるようになったら、ダイエットも捗ってしょうがない。

私は意を決しました。
そう、「見」に入ったのです。
例の「なんかいつ来ても居るしなんなら一生泳ぎ続けてるジジイ」を！

どこのプールにもいませんか？
私はダイエットするにあたり三つのプールを歩き渡ってきましたが、どのプールにもいました。
「主」の存在です。
いつ来てもいるし、なんならずっと泳ぎ続けています。
別にターンとかを華麗にするでもなく、25mをゆっくり優雅に泳ぎきり、レーンの端で呼吸を落ち着けまた泳ぎ始めるジジイ。
なんなら、プールの外に居るのを見たことがありません。
そういう妖怪なのかもしれませんね。
猫は十五年生きると妖怪になると言います。
たぶん人間もそういうのがあるのかもしれません。
河童の伝承は根本まで追いかけると、この一生泳ぎ続けてるジジイなのかもしれません。

Youtubeなどで泳ぎ方を何度も調べましたが、やはり目の前に居るお手本には適いません。
私は水中散歩の傍ら、ジジイのクロールの動きを一挙手一投足をチラチラしながら脳内に焼き付けました。
そうすると案外気づけなかったことがあるんです。

・自分の思っている数倍動きがゆっくり
・息継ぎは真横（私は斜め前を見ていた）
・腕は思ったより後ろから回している
・そんな思い切りバタ足しなくて良い
・やっぱり思った何倍も動きがゆっくり

ジジイを見ることで、自分の動きも客観的に見れました。
私のフォームはとても汚いということがわかりました。それに比べてジジイのフォームはきれいだし、水しぶきが経っていません。
確かにそのはずです。
流石に私より体力が無いはずのジジイ。
そんなジジイが長時間泳ぐには「最適化されたフォーム」を作らないといけません。
変なフォームだったらこんなに長時間泳ぎきれないですからね。
ジジイを参考にして正解です。

そしてしばらくの時間が経ちました。
結果、この「プールの妖怪」ことジジイを観察することにより、私はなんと、25mを足をつかずにクロールで泳ぎ切ることに成功したのです！！！！！

その時の嬉しすぎたつぶやき。

ジジイを観察してよかった……
ありがとうジジイ、ありがとうプールの妖怪。
今度きゅうりを差し入れしてあげるからね。
これでｎ回目のダイエットも成功確実です。

そして私が今回の件で得られた教訓は
・まずは挑戦、そして振り返り
・大事なのはYoutubeのプロよりも眼の前のジジイ
・おじさんでも新たに出来ることはある
の三本です。（サザエさん風）

子供の頃出来なかったといって出来ないものと諦めず、恥ずかしがらずにしっかり一から練習すれば、おじさんでも出来ることはあると体験できました。
今回は泳ぐことでしたが、この体験は絶対に何か他のことにも当てはまるはずです。
この気持ちを忘れずに、いろんなモノに挑戦したいと思いました。
私のエッセイにしては珍しい、プラスの感情のままこのエッセイを終わらせたいと思います。
みなさんも、昔から出来ていないことをまずは挑戦してみてはいかがでしょうか。
やってみれば案外うまくいくかもしれませんよ。
それでは。

おまけ
進行上、結構感情を抑えて文字を書いていたのですが、いやまじで本当にガチリアルに今まで「適当な犬かきもどきのクロール笑ｗｗｗ」の状態から「25mゆっくりフォームを崩さずに泳ぎ切る」ってとんでもない達成感がありました。
普通に泳げる人にはわからないでしょう。
キッズスイミングスクールの隣でビート板を持ってクロールの練習をしているおじさんの情けない図が！
それを乗り越えて泳げることになったんですよ！
本当に嬉しい、なんならここ数年で一番うれしい出来事だったと思います。
ちょっと前に会社を設立しましたが、そんなのと比にならないくらいの達成感です。
その日の酒は美味かった……
あ、ダイエットも続けていますよ。はい、目的はダイエットなので。
これからはもっとキレイに効率よく長く泳げるようにフォームをキレイにしていきましょう。
私の次の目標は、25mを休むことなく3往復することです！

あ、プールの妖怪ってこうして生まれたのかもしれませんね。