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Espresso Diary ① ニューヨークからの訃報

先日は、ライブレポに沢山の反響をありがとうございました。
もう一度書くときは、同じように何かに感動して心動いたとき、と思っていましたが、次に書きたいと思うことがこんなことになるとは。ライブレポにフォローしてくださった方が、これをご覧になったら驚かれるんじゃないかと思いつつ、他にどこにも書けないこの想いをそっとこちらに置かせてくださいね。次は心踊るような、もしくは心が安らぐようなトピックにしますのでお許しを。

今日、推しアーティストの、海外展開を期待させる、エキサイティングなニュースに心躍り、音楽レーベル会社の戦略に興味が出て、Googleで海外音楽レーベルの経営陣のニュースや方針発表などのニュースを検索していたとき、クリックしたら、Linked In のページが開いた。Linked In, 使っている方はお分かりかと思うんですが、お仕事のSNS? 仕事版 Facebookとでも言いましょうか。アメリカのエグゼクティブの皆さんの情報って、結構、詳しくLinked Inに載ってるんだな、、、と思ってつらつらと眺めていていたら、数年前少しだけ仕事で関わったことのある、偉い方の写真が何故か突然上がってきた。

その方は、いわゆる社内のスターの一人で、昇進も早くて、あっというまに経営陣まで躍り出た方で、一時期、彼の管轄する事業部に属していたので、リーダーシップから降りてくるメッセージやお仕事関連のメールにはいつもエグゼクティブとして名前があるような方だった。すぐ、他の国の、他の事業部に、ご栄転されたので近しくお仕事させて頂く機会はないまま接点がなくなってしまった方。いかにも仕事の出来る自信とエネルギーに満ち溢れた男性といった感じのLinkedInのポートレイトは私がお会いしたときのままで、思わず懐かしくなって、今も同じ会社にいらっしゃるのかな、どこの国で何をしてらっしゃるのかしら?とそのプロファイルをクリックしてみた。するとなんと、

プロファイルに、「死亡」、、、、、! え? 目を疑った。

「突然の病気かな」「交通事故かしら」、慌ててニュースを検索してみると、信じられない記事がヒットした。

ニューヨーク(NY)の高級マンションの自宅から飛び降り自殺したらしい。それも数日前に。

ちょっと言葉がなかった。
記事を見てみると、転職先の会社の業績不振で、経営陣として大幅なリストラを遂行している途中で、財務の不祥事の疑いでかなり厳しい立場にあったようで。ニュースからはそれ以上のことはわからなかった。

自殺するようなタイプの方では決してなかった。太陽のような方だった。社員に慕われて人柄も素晴らしかった、幸せを絵にかいたような家族の写真をバイオ(自己紹介)に使われていたのが印象的だったな。
正しいことを正しくやる、という企業文化が浸透している中で大活躍していた彼が、今の会社でどんな困難な状況に直面していたんだろうか、大規模なリストラを遂行するということが辛かったのか、それとも、もし不祥事が本当だったとしたら、正しいことを正しくできない状況に追い詰められたことがよほどつらかったのではないか、何が最後のトリガーになったのか、色々と考えてしまった。
知っている人が自殺したことは、初めてではない、昔に一度経験あり。でも、働き出してからは、会社でも、プライベートでも、幸運なことに、そんな出来事はなく過ごしてきた。だから、近しく働かせて頂いた方ではなかったけど、自分の人生と一時期重なった方の死に驚き、思いのほかショックを受けている自分がいた。

その出来事で今日思ったこと。

「その人にしかわからないような辛さが人それぞれある」

本当にそうなんだろうなと、改めて感じた。大丈夫そうだと「みなし」してしまうのは危険。もっと身近な人のこと、気を付けて見てみよう、しんどそうなときには、余計なことかもなどと思わずに声をかけなくてはと思った。

身近に「もう死んでしまいたい」が口癖の人がいる。少し気分の浮き沈みが激しい人だけど、でもいつも元気いっぱいで、よく笑っている人だし、エネルギーレベルの高い人だから。きっと大丈夫、平気なんだろうと思ってしまっていたけど、やっぱり声かけないといけないな、と思った。

こういう出来事があったからではないのだけど、最近心掛けていることがあって。

会う人に、"How are you ?"(元気?) じゃなくて、"How are you 'today' ?"  ("今日" はどんな気分?)と聞くようにしてます。

人間、毎日元気で幸せっていう訳にはいかないし、良い日もあれば悪い日もある、自分だったら「元気?」って聞かれるとつい「元気だよ」って答えちゃうけど、「『今日は』どんな感じ?」って聞かれたら「いや、今日は実はちょっと辛くて」って本音を言えるかもしれない。そう思ったので、なるべく、会う人に心を開いてもらえるかもしれない言葉を選んで会話するようにしようと練習中。

あとね、金曜日に"Happy Friday !" ってよく言うけど"Happy Monday", "Happy Tuesday"って、毎日、曜日を変えて言うようにもしてる。ハッピーなのは金曜日だけである必要はないものね。 昨日はよくない月曜日だったかもしれないけど、少しはHappyな火曜日だったら、きっと嬉しいよね、頑張って生きてたら、今日はちょっといい日になるかもしれないよ、という願いを込めて。

NYからの悲しいニュースに、改めてそんなことを思った夜でした。読んでくださった方、ありがとう。どうぞ素敵な夜を。


(追記)
この文章を書いたのは、2年近く前なのだけど、実は、昨日、彼と近しく働いていた人と会った。その人を通して聞く彼の姿は、私の印象と全く同じだった。太陽のように朗らかで、大恋愛の末結婚した奥様との馴れ初めをみんなに語り、家族が大好きな人だったと。彼がバルコニーから飛び降りた時、奥様は家の中にいたそうだ。「でも彼は不正を行ったじゃないか」と言った人がその場にいたんだけど、確かにそうなのかもしれないけど、不正を犯したと言われる彼があちら側で、不正を犯していない私達はこちら側で、という捉え方は私はできない。過大なプレッシャーに負けて過ちを犯す人を今まで何人も見てきたから。人間は弱いものだから、私もいつか罪を犯してしまうかもしれないと思って生きている。「あんなにすごい人だったのにね、、、」賑やかだったお酒の席は、一瞬静かになり、それぞれに想いを馳せていた。


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