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珈琲豆 | シングルオリジンとブレンドは表裏一体

エスプレッソエンジニアのMarkです!

エスプレッソの豆について、よくシングルオリジンなの?という質問をされる。結論から言うと、基本あまり単一の豆で作られることはない。市場に出回っているエスプレッソブレンドは複数の豆がブレンドされている。

理由として多々あるが、エスプレッソはクレマの重厚感からロースト感のある香り、飲んだ後の余韻まで楽しめる複雑な仕組みの飲み物となっている。そのほか、砂糖や他のデザートと組み合わせた時のバラエティ色を出しやすいように、デザートとして楽しむための設計なんかも理由としてある。


シングルオリジンとブレンド

 結論から、私の中ではエスプレッソの定義はあくまで消費者が決めるものなので、豆の種類や配合比が多少主流な手法から外れていても、それはエスプレッソだと思ってる。
なので、シングルオリジンでもブレンドでも、消費者が楽しめればそれは「エスプレッソ」だ。

余談だが、イタリアでは実際にエスプレッソの定義として、ISO45011で定義されており、厳密には1. 抽出条件、2.ブレンド配合比、3.グラインダー/マシンの仕様、4.規定プロセスが決められている。
1-4の器具の仕様やコーヒー豆の認定に関しては、IEI(Instituto Espresso Italiano)からの認定が必要で、これは一定の品質を消費者に補償する目的もあるが政治的要素も大きい。

さて、話に戻って「シングルvs. ブレンド」に関してだが、エスプレッソにはイタリアの国際カフェテイスティング協会 (IIAC)だと、9−13種類の豆のブレンドが必要という規定なんかもある。そのうち約30%以上はロブスタ種を推奨。

 シングルオリジンのエスプレッソももちろん世の中に存在するが、実質本来の立体感あるコーヒーを演出するには、ブレンドが一般的なように感じる。生産者はそれぞれの特徴を生かしてオリジナルのブレンドを開発するので、カフェ店ではそれぞれのコンセプトにマッチした豆を選択することになる。

 ブレンド豆の生産者側としては、ブレンド自体の美味しさの他にコストや豆の安定調達も考慮したブレンド設計が一般的で通常は配合は非開示となっている。消費者が気づかないうちに豆の種類や配合が変わってるなんてことはよくある。

エスプレッソブレンドの特徴

 エスプレッソブレンドの基本構成としては、アラビカ種とロブスタ種の配合比が重要となってくる。以下それぞれの特徴。

アラビカ種

 アラビカ種はスペシャリティコーヒーをはじめとして主に使われており、甘い香りや酸味が特徴的で繊細な表現が得意。世界生産の6割がアラビカ種と言われている。

ロブスタ種

 濃厚なクレマとパンチの効いたボディを作る要素で、立体感を演出する。ロブスタ種はスペシャリティ珈琲だと結構悪者扱いされるが、生育環境や製品設計の目的が違うだけで、エスプレッソには不可欠な材料の一つ。

つまり、コーヒー豆の産地の他に品種の配合によってもエスプレッソの出来上がりは左右されるわけ。

配合の思想

 よくある使い分けとしては、基本的にアラビカ種の豆でエスプレッソ全体に特徴づけたいコンセプトを決める。アラビカ種単品だと尖った印象になりやすく、飲む前から後まで終始単調な味わいになってしまう。

そこで登場するのがロブスタ種だ。アラビカ種にはないクレマからトロッとした印象を引き出し、別次元の特徴を引き出してくれる。

コーヒーの品種の違い

まとめ

 エスプレッソ豆を設計する上で、以上の配合の要素は非常に重要になってくる。最近はスペシャリティコーヒーの影響もあって、「アラビカ種xシングルオリジンx浅煎り」推しのお店が多い様だが、飲み方(ドリップかエスプレッソ)を考慮していない製品開発が非常に多い。もちろん、この配合で味わい深く楽しめるドリンクを提供できるならアリだが、その影響でエスプレッソのイメージを悪くしてほしくない感覚もある。

本来のエスプレッソのコンセプトは、立体感のある複雑な味わい。これを演出するにはやはりロブスタ種の活躍も重要だ。シングルオリジンはエスプレッソを単調に分かりやすく、ロブスタ入りのブレンドは全体に立体感を出してくれる。
それぞれのメリット、デメリットは表裏一体だ。

では次回!



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