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スイスでトレラン:Wildstrubel by UTMB 2024(70K)参加録

2022年のタイ、2023年のオーストリアに続いて3度目のUTMB主催レースはスイス西部Crans Montanaで実施されるWildstrubelに申し込んでいた。レースとしては、前回6月末にボスニアで熱波の中完走率50%以下となった過酷なコンディションで僕自身も例にもれず脱水症状に苦しみながら、「もうしばらくトレランレースはいいや……」と思わされ、7,8月は新規申し込みをしていなかったが、こちらのレースは既に申し込んでいたのであった。

1、レース概要


100kカテゴリに分類されるが、72K,4600M+と比較的緩め?な気がして撃沈したタイでのレース以来走っていない100KカテゴリのIndexを少し挽回したく申し込んだ。2800M越えの山を通るコースで景色がよさそうなのと、スタートKanderstegからOne Wayなのでいろいろ行けるかなと思って申し込んだのであったが、大会直前に欧州を襲った少しせっかちな寒波の影響で30cmほどの降雪予報ということで、コース変更。Crans Montanaスタート・ゴールでバタフライ状に周辺のトレイルをつなぐコースに変更、最高地点も雪の影響が比較的少ない2200m程度となる。距離は72Kほどのママだが、獲得標高は3600Mほどになったので、100Kカテゴリとしてはかなり緩めになった気もするのだが、翌日開催の100Mileカテゴリも同じく雪の影響でなんと100Kカテゴリと全く同じコースに変更されたとのことで、100Mどころか50Mileですけど、という感じである。せめて2周するとかで100Kカテゴリとの距離の際は作ってもいいのではないかと思ったが、動線確保など色々あるのだろう。


2,レース地点へ


レースが金曜の朝だったので木金と有休をとって木曜にGeneve入り。ここは空港直結で電車の駅があり、そのまま西方面にいけるので最高に便利である。まずは2泊宿をとっているCrans Montanaまで向かうために、幹線の通るSierreの街までいくのだが、スイスの電車は途中下車もできるので、ローザンヌで降りて旧市街地プチ観光+昼食をとる。

ローザンヌ
ローザンヌ
ローザンヌ旧市街
ローザンヌ旧市街

その後、Sierreの鉄道駅から5分弱歩いたところにあるケーブルカーの駅に行って、Crans Montanaに着く。Crans

Crans Montana
Crans Monatana

Montana内のローカルバスは無料なので、歩ける距離ではあるが、バスに乗って大会会場に向かう。既に冷たく雪が降る中、まずはBIB回収。事前にBIB回収のTime Slotを予約する形式で予約したQRコードを提示する必要あり。必携品はWinter Condition用の追加がされたこともあってか、チェックはサングラス・ダウンアウターなどの防寒類に関するものだけだった。

BIB受付

DROPバッグのナップサックとその中に折り畳み式のボウルが参加賞として入っていた。BIBにはタイムチップ、ゴール後に引き換えるMealクーポン及び完走賞クーポンがついていた。コースマップはなく、国旗はついていた。3月のポルトガルの大会で寒さと雨で相当つらい思いをしたこともあって、今回は寒さ対策は万全にしていざということの防寒着も持っていこうと、普段レースでは使うことがないが、20LのPaagoworksのザックに荷物を詰めた。相当大きいが、安心感はある。というか5Lのレースバックがあるが、10L前後のバックがなかったので仕方ないのだが、今度10L前後のレースバックを必携品が増えるロングレース用に買っておこうと思った。Crans

装備が多い今回
ユースホステルでの夕飯
夕飯後少し散策

Montanaは宿が高いが、運よく会場から徒歩5分ほどのユースホステルの4人ド三がとれたのだが、清潔で4人部屋だからか(もっと人数が多い部屋もある)スペースも荷造りなどするに十分でよかった。何より夜ご飯を20フラン弱で追加注文できるのが大きい。同じ部屋には同じレースに出るフランス人もいたが、英語が通じなかったので勉強中のつたないフランス語で会話を試みた。

3,当日、スタート前


コース変更に伴いスタート時間も2,3時間後ろ倒しになり9時スタートなので、朝ごはんを宿で食べることができた。7時くらいに起きて7時半くらいに朝食。意識して少ししっかり目に食べる。宿が近いのでDrop Bagは不要かと思ったが、一応雨でびちょびちょだと寒いのでと思い着替えだけいれて預ける。迷ったが服装は、上はメリノ混合長袖シャツをベースに着て、いるか不明の半そでシャツ、それに薄手のサロモンの雨具を羽織った。下は同じくメリノ混合のロングタイツ+スポーツタイツ+いるか不明の短パン。靴下はぶ厚め、靴はSalmonのSpeedcross。撥水のNorth66の手袋。ひんやりはするが、着込んだ甲斐もあり、寒いというほどではない。スタート時点でも雪はパラパラと降っていて今から進む方角の山は真っ白である。ふもとの予報気温は0-6℃、2200M地点は氷点下3度ー2度くらいである。

既に雪が積もっている
真っ白で雪もちらつく

景色は期待できなさそうで少し残念。周りのランナーをみると、みんな小さい鞄に収めているのでうまく荷物を収納しているか、多少アグレッシブに削っているのかもしれない。まぁ、僕はこの距離のレースではスピードやIndexスコアはあまり気にしていない(というかこのカテゴリだと前回のタイが低すぎてどうやっても更新はできる気楽さ)ので、寒さ対策・安心感重視でいく。途中で立ち止まると寒そうだな、ということでレースを通して動き続けられるように序盤は抑えめにいこうと決める。

4,レース中


序盤はあまり覚えていないが、比較的狭い道だったりシングルトラックも多かった気がするが、焦らず集団の中でゆるゆると走った。ところどころで前が詰まって軽いストレスを感じるくらいのペースだったが、まだ先も長いしとあまり気にしなかった。

ただ結果的には、後半セクションでまだ余力あり順位がしり上がりのレースだったので、もう少し気持ち前の方からスタートしてそのペースで淡々といくのでもよかったのかもしれない。13kほどで改変後コースの最高地点である2200mほどについたが、結局しっかり雪である。そこから少し下り区間で次のエイドが25K地点ほどだったが、時々雪が強まり寒かった。


そこからは山の中の登り区間もあったので、手袋をもう一つぶ厚い雪山用の(およそトレラン用ではない)ものに交換。このあたりで結構積もった雪をキレイと思い写真を撮ったのが最後の写真。

ここからはおおむね10Kちょいごとにエイドがあるが、確か4つめのエイドがCrans MontanaのレースHQに戻ってくるかたちにコース改変後なっていたので、ここで終わりたいな、と思ってしまった。少し晴れ間も見え暖かくなったので手袋を薄手のインナー手袋に交換。その後Tseuzier Damというダム湖まであがるが、その間にかなりまた寒くなり、ダム湖のところは強風もあったので手袋交換は尚早であった。後半2セクションは下りメインということもあったものの、それでもゆるい登りなんかもある程度走ることができ、かなりの人数を抜かすことができた。割とトラックが狭く、右側は崖なので集中して走る必要はあり、写真などを取る暇はなかったが、かなり絶景だった。Bisse du Roというエリアのようである。

Bisse du Ro (Google Mapより)

最後までしっかり走れたので当初設定した作戦は成功であるものの、気持ち余裕を残してしまった気もしなくもない。まぁ、過去の長い距離のレースではつぶれておしまいというかたちだったので、こういう感覚、そして降雪や寒い環境の中でレースを完走できたことはいい経験だったと思う。

ゴール

5、ゴール後


ということで10hちょいでゴール、19時半前だったのでまだギリギリ明るく、ライトをつける必要もなかったのはよかった。暗いとまた一段冷えるだろうし。シャワーなども浴びれるスペースはあったが、宿も近いのでとりあえず帰ろうと完走賞を受け取り宿に戻る。完走賞は瓶ビールとスイスらしく小さい多機能ツールナイフだったが、飛行機預け入れ追加してないなぁと思った(結局荷物も増えたので帰りは一つ預け入れを追加した)。

完走賞の一つの瓶ビール、その場で飲んだ


宿でシャワーを浴びて着替えた後、Mealクーポンを持って会場に再び。5、6店舗くらいの出店がそれぞれクーポン対象メニューを提示しているのでそこから選ぶシステム。米を食べたが、お腹空いていたので追加で別の店で支払ってウインナーとサラダバーも食べた。出店はだいたい15-20フラン/食みたいなイメージだった。

Meaクーポンで引き換えた

6、感想


天候によりコースチェンジでコース自体の難易度は下がった気もするが、寒さや降雪、そして雪解けのぬかるみなどとタフさはそれなりにあった。背負っていった追加の防寒着は使わなかったが、手袋は持って行った3つを全て使うこととなった。やはり寒い時は手足の冷え対策が肝だと思う。雨や雪で冷えた手袋を使い続けて強風で凍えるかと思った3月のレースの教訓が生きた。翌日および翌々日はいい天気だったのと脚も余裕があったので、バスに乗って昨日とは別のトレイルを走りに行ったが、スイスの山の景色は最高だったので、晴れていたら写真撮ったり景色に感動したりでこれはこれで進まなかったかもな、と思った。UTMB主催レースなので2、3日でIndexも反映されていた。


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