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Traveler's Voice#19|りおた

Traveler's Voice について

Traveler's Voice は特別招待ゲストの方からエスパシオに泊まった感想をインタビューし、読者のもとへ届ける連載記事です。この企画の目的は”自分ではない誰か”の体験を通して、エスパシオを多角的に知っていただくことと、ゲストが日頃行っている活動を合わせて紹介するふたつの側面を持っています。ご存じの方も多いと思いますが、エスパシオは「いつか立派な観光ホテルになる」と心に誓った山口市にあるラブホテルです。この先どんなホテルに育っていくのか、まだ出発地点に立ったばかりですが、この企画を通してゲストの過ごし方や価値観を知り、計画にフィードバックしたいと考えています。インタビュアー、執筆、カメラマンを務めるのは「エスパシオ観光ホテル化計画・OVEL」を進めているプロデューサーの荒木です。それではインタビューをお楽しみください。


ゲスト紹介

Travelers Voice 第19回目のゲストはりおたさんです。りおたさんは山口県で活躍する防府市出身のイラストレーターさんです。Jリーグ2024シーズン開幕ビジュアル、サンフレッチェ広島、福岡ソフトバンクホークス、広島東洋カープ2022年本拠地開幕紙面、東北楽天ゴールデンイーグルス、レノファ山口FC、三四郎 単独公演広島限定グッズなど、サッカーや野球やエンタメのイラストグッズやビジュアルを手がけたり、山口県のPRとして街のイラストなども手がけています。スポーツ、企業、行政まで他ジャンルな分野で活躍する彼から、今回はクリエイティブな話から旅のことまで多角的にインタビューしたいと思います。


りおたさんが泊まったお部屋紹介

りおたさんに宿泊していただいたお部屋は401号室です。黄色いカラーが特徴のコーナースタンダードルームです。バルコニーからテニスコートのアートを鑑賞でき、北側の小さな窓からはトリミングされた美しい裏山を眺めることができます。

美しい「Santa&Cole」のペンダントライト
ブルーとレッドの恋愛がテーマとなったアート

インタビュー

Araki:おはようございます。先日は出会って秒で似顔絵描いてくれてありがとうございました 笑。今回はイラストの話をメインに聞きながら、合わせてエスパシオの宿泊体験や旅についても聞いてみたいと思います。「りおた」ってアーティスト名ですよね、本名は伏せて活動されているんですか。

Riota:伏せている訳ではないんですけど、もうかれこれ15年くらいこの名前で活動しているので本名を知らない人のほうが多いかもしれません。なのでこのインタビューでも「りおた」でお願いします 笑。僕は2011年にイラストレーターとして活動を初めて、当時は広告会社でバイトしながら副業として挿絵や4コマ漫画などの仕事をするようになったのがキャリアの始まりです。小さい頃からとにかく描くことが好きで、本格的に絵を描くようになったのは小学校6年生からです。はじめは漫画を描いては友達に読んでもらったりしていました。僕の”世代”とはすこしズレますが当時はドラゴンボールやコミカルにデフォルメされた風刺漫画を好んで読んでいたんですけど、今思えばその原体験が僕のスタイルである2.5〜4頭身で人物を描くことに繋がっているのかもしれません。

Araki:漫画を描く小学生かあ、藤本タツキの「ルックバック」を思い出しました 笑。りおたさんの作風でもある2頭身キャラっていったい誰が発明したんでしょうね 笑。

Riota:子供の頭身バランスがベースになっていると思うので意外と歴史は古いと思っていて、縫いぐるみとかハニワから見てとれるように大昔からあった表現だと多います。それもわりと必然的にできたとも思っていて、顔ってコミュニケーションする上で最も重要な情報じゃないですか、だから顔にフォーカスして大きく描く流れは自然だったんでしょうね。そこから更に観察スケールを狭めていくと、漫画特有の”大きな目”にたどり着くのかもしれません。

Araki:なるほど抽象表現的な考え方ですね。りおたさんはコミカルな似顔絵を膨大に描いていますが、それって特徴量を抽出して抽象化する技術だと思っています。それはどこで訓練したのですか。

Riota:似顔絵師として街頭で似顔絵を描いていた時代があって、それが特徴量を瞬時に捉える訓練になったのだと思います。でもその反面で、広告としてのイラストレーションに必須とされている”キャラ立ちし過ぎない”さりげなく使えるモブキャラを描くことができなくなってしまって当時困ったのを覚えています。モブキャラの描き方って顔の特徴量ではなく服装や髪型のような”纏うもの”から個性というよりカテゴリーを表現する技術です。その技術が広告的な絵を描く上で必要不可欠なんですよね。それがなかなかできなくて、笑。駆け出しのころはクライアントから自分の手癖を否定されるのが嫌でしょうがなかったんですけど、仕事をこなしていく内にモブっぽく描くことの必要性をちゃんと理解できるようになり、また周りで活躍するイラストレーターさんの仕事ぶりにリスペクトするようにもなって、自分のスタイルを壊しながら技術をアップデートし続けた結果が今の僕です。今のような仕事ができていることはその訓練があったからだと思っています。

Araki:りおたさんはレノファなどスポーツそのものや選手を描くことが多いですよね。

Riota:もともとサッカーと野球が大好きで、学生の頃から選手の似顔絵を大量に描いていました。それをたまたま出版社さんが見つけてくれて、願ったり叶ったりというか、今ではそれが生命線になっています。まあでも同じことばかりしていても成長が止まってしまうので、スポーツ業界で仕事をしながら、意識的にそれ以外の仕事にもチャレンジするように心がけています。そのひとつに「街」を紹介するための広告用イラストがあります。

Araki:スポーツ選手や街、現実に存在する対象をりおたさんのセンスで描き出す、徹底して特徴量抽出タイプのイラストレーターなんですね。人から街へ、そこにもりおたさんのセンスが表れているように感じます。

Riota:たしかにそうかもしれません。街を見るのも顔を見るのも僕のなかでは差異はなくて、僕が捉えた特徴量をデフォルメしコミカライズする表現方法は一貫しています。広い山口県を1枚の紙のなかにぎゅっとまとめて描くことで見た人が瞬時に全体のイメージを捉えることができるようにしています。だから作品というより広告の要素が強くて、僕の中には3割くらいデザイナーが住んでいると思っていて 笑、自分の描きたいスタイルを突き通すだけでなくその絵を見てくれる人のことや広告的な効果を大切にしています。

Araki:新海誠が描くキラキラした東京も同じアプローチかもしれませんね。あれって新海誠には東京が煌びやかに見えているという訳ではなく、映画のコンセプトに沿うようにデザインした結果なんだと解釈しています。それと同じでりおたさんの絵も他者とコミュニケーションすることが大前提にあるんでしょうね。受け手のことを意識しつつそれでいてちゃんとブランディングできているところが素晴らしいですね。

Riota:ブランディングはかなり意識しています。仕事として次に繋げていきたいし、ぶれないポートフォリオがあることで発注者とディスコミュニケーションに陥ることも避けることができるので、作家性を保ちつつコミュニケーションのことも考えるようにバランスをとっています。

Araki:僕から見るとイラストレーターは羨ましいです。同じクライアントワークでもインテリアデザインと比べて制約の量が異なるので、そこが”ブランディングし易さ”と関係しているんでしょうね。少し話を”デザイン”というスケールに広げますが、エスパシオのデザインの感想も聞かせてください。

Riota:たしかに建築やインテリアは制約が膨大にありそうですね。エスパシオについて僕の感想を言う前に少し聞いてみたいのですが、この黄色い部屋はどこからどこまでデザインしているんですか。

Araki:表層材は予算に合わせてクロスから選んでいて、天井のホリゾント形状や水回りの石やタイルは既存利用しています。レイアウトで大きく変えた点は広いソファスペースを確保してTVが見やすいレイアウトにしたところでしょうか。家具や照明計画はすべて一新しています。なので、真っ白なキャンバスから描くというよりもともとある絵の一部を塗りつぶしたり描き足したりするような感じでデザインしています。これは余談ですけど、今は建築家が商業施設をリノベーションすることが当たり前になっていますが、それって21世紀になってからの現象で、日本ではそれくらい新築が少なくなったことの表れなんですよね。

Riota:使えるものと新しくするものを整理すること、それ自体がデザインの役割になっているんですね。たしかにイラストレーターには無い感覚かもしれません。僕はこの黄色い部屋とても気に入っています 笑。黄色と言っても落ち着いたパステルカラーなので長時間過ごしても安らぐことができました。もうひとつ聞きたんですけど、ホテルってどの部屋も同じデザインであることが主流だと思うんですけど、部屋によって異なるデザインを施したことに理由はあるんですか。

Araki:レイアウトのバリエーションは既存の区画形状によるものですが、カラーバリエーションを豊富にした理由はラブホテル特有のシステムが関係しています。ラブホテルってチェックイン時に視覚的に部屋を選びますよね、その際に選びやすくするための最もシンプルな方法がカラーバリエーションなんです。

Riota:なるほど、そういう配慮があるんですね。それって僕の仕事に例えると顔と街の観察スケールの違いと似ているし、カラーバリエーションというシンプルな方法を選んだことは一般的な特徴量抽出への配慮でもあるんですね。

Araki:空間体験はヒューマンスケールに依存しますが、人はものごとを俯瞰的にイメージすることもできるので、その両方を行き来しながらデザインしています。空間構成って漫画のコマ割りと似てるんですよね。りおたさんは異分野に対しても好奇心旺盛なんですね 笑。アートとかも好きですか。

Riota:大好きです。僕もできることならアート作品を作りたいとは思っているけど、得て不得手というか僕には向いていないというか、だからそれをできてしまうアーティストには憧れますし、ゆっくり過ごすための空間にアートがあるとそれだけで贅沢な気分になれます。

Araki:ポップアートの出現以降、一般人にとってはアートとしての絵画と広告的なイラストの違いが理解しづらくなってきていますよね。表現と広告の境界が溶けているというか、、、振っておいてあれなんですけどアートへ話題をシフトすると尺が足りないのでイラストレーションに話を戻します 笑。特徴量の抽出についてもう少し深掘りしたいんですけど、その能力を支えているものは何だと理解していますか。

Riota:取捨選択だと思います。それは特徴量の選別に限ったことだけでもなく、クライアントとの何気ない会話からその人が求めていることを捉える能力が長けているのかもしれません。例えばそれが街の絵だとして、僕が捉える特徴量とクライアントが捉えている特徴量は異なります。それが双方の個性だと思うんですけど、僕の場合そのふたつを上手く混ぜ合わせるようにしています。オーダーを汲み取りつつ新しい提案もするといった感じでしょうか。話している人が脳内で描いているイメージが見える実感があるんですよね。

Araki:なるほど、やっぱり徹底してデザインの人なんですね。一言で特徴量といっても観察スケールによって捉え方が異なると思うのですが、例えば1000人を10個にグルーピングして、さらにそれを細分化すると、ひとりひとりの個性にたどり着きます。そのように観察する距離やスケールによってカテゴライズの在り方が異なってきますよね。りおたさんは膨大な数の似顔絵を描いているから、その経験が作用して作中に個性をカテゴライズできてしまうんじゃないでしょうか。

Riota:それはあります。僕の場合、骨格をベースに観察が始まるんですけど、この骨格の人はだいたいこういう目をしているとか、骨格を描いている時点で次のストロークである目鼻口の位置へ無意識にペンが動く実感があります。体が覚えているってことは脳内でカテゴライズしているんだと思います。けれどもそれは僕の観察の癖でしかなく、友人や家族と「あの人とこの人って顔似てるよね!」そんな会話をよくすんですけど、そう言われても僕にとっては全く似ていないと思うこともよくあります。つまり特徴量の抽出にも個性が反映されているんだと思います。

Araki:なるほど、それ面白いですね。AIは膨大なビッグデータから特徴量を抽出した結果としてひとつの解を提示するけど、人は観察の「仕方」自体にムラがあって類似性にも個性が表れるんですね。そう考えると個性ってバグみたいですね 笑。僕の場合、写真を撮るなかでそのことを強く感じるんですけど、人は動的に世界を捉えているので、目鼻口の位置や形からではなく、表情の作り方、表情筋の動き方から特徴量を捉えているような気がしています。記憶に薄い人を写真で見せられても思い出せないけど、実際会うとすぐに思い出すことができるってつまりそういうことですよね。まあその観察方法も僕の個性であって普遍的ではないような気もするけど。

Riota:写真写りと本人が違っていることはよくありますよね。1枚の写真だと「個」を捉えるための情報量が足りないんでしょうね、それが写真の良さでもありますが。イラストの場合は特定した特徴を強調することができるので写真とは少し異なります。それでも情報量が足りないのは写真と同じで、その問題を補うために意識していることは、顔だけ描くのではなくバストアップの特徴すべて描くようにしています。荒木さんは左肩をよく上げる癖があるので、その動作を強調して描いてみました 笑。

Araki:山口に来て運動不足が加速して左肩が凝るよになったんですよね 笑。そんなことあるか分からないけどこの先めちゃくちゃ運動するようになったら消えてしまうレアな特徴量かもしれません 笑。ではでは、他ジャンルの話をもう少し広げたいのですが、アニメーションには興味ありますか。

Riota:絵を動かすことにも憧れはあって実際チャレンジしてみたこともあります。でも秒間30フレームを一枚ずつ仕上げていく膨大な作業にストレスを感じてしまって、それをやり遂げるクリエーターさん達にはリスペクトしかないんですけど、個人でやれる技ではないので僕は1枚の絵を描くことに集中することを選びました。

Araki:そうですよね、アニメーションはある意味めちゃくちゃ高級なプロジェクトだと思います。漫画が好きと言っていましたが、アニメもよく観るんですか。

Riota:実は数日前はじめてTV版「新世紀エヴァンゲリオン」をビンジウォッチングしました 笑。ロボットアニメがめちゃくちゃ苦手で今までずっと避けてきたんですけど、レノファでエヴァコラボの企画があって、これは観ないとダメだろうと思ったのがきっかけです。ロボットアニメに限らず、実は唯一苦手なのがアニメーションを観ることなんです。これは好みというよりも身体的な問題で疲れるというか、、、動いている絵が体に馴染むまで5時間くらいかかるんです。まあでも仕事と割り切ってTV版エヴァを最後まで観たのに最終回がめちゃくちゃモヤモヤしていて 笑、そのことをツイッターで呟いたらフォロワーさんから「大丈夫!それみんな思っていることだから!でも劇場版シン・エヴァンゲリオン観ればそのモヤモヤ消えるよ!」って言われて、劇場版も観ないとダメな局面に立たされています 笑。

Araki:庵野さんが迷宮入りしたまま締め切りが迫ってきてああなったんですよね 笑。まあでもツイートのレスポンス通り、庵野さんがあれから25年かけて劇場版でちゃんと回収しているので観てあげてください 笑。エヴァはセカイ系の概念を作った作品とも言えるし、まど☆マギを観た子供がトラウマを抱える原型みたいなアニメなので、りおたさん向きではないと思うけど歴史に残る名作ではありますよね 笑。ではでは、クリエイティブについての話はこれくらいにしてエスパシオや旅についても質問させてください。ホテルはよく利用されますか。

Riota:出張が多いのでいつもはビジネスホテルやカプセルホテルに泊まっています。カプセルホテルと言うとネガティブなイメージがあるかもしれませんが、僕は押し入れみたいな狭い空間で眠ることが好きで、敢えて狭いベッドルームを探すようにしています。もうひとつホテルを選ぶ上で大切にしていることは大浴場があることでしょうか。ベッドルームは狭いのが好きだけどお風呂は広くてゆったり浸かれる方が好きです。それと旅先では街に繰り出すことが多いので大半は屋外で活動しホテルに戻ってくるのがいつも深夜、あとは歯を磨いてお風呂入って眠るだけ!みたいな使い方が多いです。なのでエスパシオのようなデザイナーズホテルで長い時間をかけて空間を楽しむ体験はとても新鮮で、そういえばこういう時間って家でもあまりなかったなと気がつきました。プライベート特化方サードプレイスと言ったら誤解を招くかもしれませんが、実際に過ごすことでしか気づけない”過ごし方の新たなバリエーション”がここにはあると思いました。お風呂の窓から見えるテニスコートに浮かんだアートもお気に入りでお風呂に入りながら何枚もパシャパシャ写真撮りました 笑。コーヒーも初めてハンドミルして飲んだんですけど、これ美味しいですね 笑。

Araki:出張でホテルを利用することが多いんですね。旅行目的でホテルを利用することもありますか。

Riota:僕の妻が大の旅行好きということもあってその影響で旅行する機会が一気に増えました。レトロで泉質の良い温泉を選んで旅行しています。今までは観光地にあまり興味がなかったんですけど、行ってみるとこんな温泉地があったんだと何かと発見が多くて驚いています。そのセレンディピティに魅了されて今では旅行することが趣味のひとつになりました。これは職業病かもしれませんが、そんな色んな街に訪れるたびにその土地の魅力を描きとめるようにしています。

Araki:特徴量を抽出する能力に長けているから、街の個性を具体化することができているんでしょうね。それってもしかすると誰よりも旅を満喫できる能力なのかも 笑。

Riota:そうかもしれませんね 笑。しかもすごく楽しいんですよ。最近行った旅行のなかで印象に残っているのが島根県石見銀座の温泉津温泉ゆのつおんせんです。前情報を入れずに名前すら知らなかった街へ訪れてみて、寂れた温泉街だと思いきやサプライズの連続で感動しました。泉質がとても良くて、街には想像以上の活気があり、ローカルな温泉街とは思えないくらいセンスの良いお店が軒を連ねていて、古い街が歴史性を損なうことなくアップデートされていることに感動しました。何もしなかったら衰退してしまう温泉街がクリエイティブな活動によって見事に復活していて、山口県民として希望を感じることのできる旅でもありました。

Araki:視覚に特化していると思いきや、ちゃんと五感を解放して情報を受け取っているんですね。特徴量を抽出することは取捨選択のスピードと関係していますが、そこに好みや苦手意識はありますか。

Riota:そうですね〜描く上では”絵になるかどうか”を気にして観察しています。自分の持っている引き出しの中で描ききれる対象についてはノリノリで作業できますし、自分がまだ持ち合わせていない技量を要求してくる対象に出会った時はそれはそれで苦労もしますが、自分のキャパを広げることができるチャンスでもあるので自ずとチャレンジ精神が湧いてきます。好みはもちろんありますがそれに捕われないように心がけています。

Araki:なるほど好みに捕われ過ぎずテクニックの幅を広げながら、かつブランディングとして個性を高めていく、素晴らしいですね。特徴量の話ばかりで申し訳ないんですけど、人の特徴って何歳くらいから如実に表れてくるんでしょうね。赤ちゃんって皆んなかなり似通っていると思いませんか。

Riota:何歳とは正確に言えませんが、赤ちゃんを描くのは今もまだ苦手です 笑。その理由は特徴量が無いと言う訳ではなくて、どのように描くことが正解なのか”まだ”分からないんですよね。技術的には、似せつつ5倍可愛く盛るってことが赤ちゃんの場合とても難しいし、心理的にも、親御さんの心情を考えると似せれば良いわけでもなくって、変に気を使いすぎて着地点を見つけられないという感じでしょうか。赤ちゃんって外見的な可愛さだけではなく、心理的あるいは母としての本能によってバイアスがかかっていることが多分にあると思うんです。僕は子供がいないのでその感覚を”まだ”理解できていないんだと思います。それとよく似たことがあって、女性を描くのも気を使いすぎる傾向があります 笑。やっぱり僕は男性なので女性のことが分からない、それがクリエイティブに影響しています。まあでもその逆の効果もあって、男性は何の躊躇もなく描くことができるんですよね 笑。

Araki:異性や圧倒的他者については僕も同感です 笑。自画像についてはどうですか。

Riota:自画像はサインを求められた時に良く描いているので、自分の顔の特徴量は主観的ではありますがそれなりに理解しているつもりです。

Araki:僕は鏡を見るのが苦手だから自分の顔の特徴量をあまり理解できていないんですけど、初めて会ったときにさらっと描いてくれた僕の似顔絵をじっと見ているとはじめはそれが自分であることが分からなかったけど毎日見ることでだんだん自分に見えてきたんですよね 笑。絵を通して自分を再認識できました 笑。では最後になりますが、りおたさんはインタビューを受けることが多いと思うのですが、今回のインタビュー体験はいかがでしたか。

Riota:いつもは経歴など決まったことを淡々と話すことばかりなので、今回のようなクリエイティブな部分を深掘りしたインタビューはとても新鮮でした。あらかじめ何を聞かれるのか分からないという緊張感も相まって刺激的な時間を楽しむことができました。機会をつくっていただきありがとうございます。

Araki:僕もりおたさんの思考プロセスを知れてとても有意義な時間でした 笑。こういう話ってどうしても時間が必要なので、リラックスできる場所だからこそできることだと思っています。りおたさんの今後の活躍を期待しています。そうそう、りおたさんはメディア関係にとても顔が広いのでインタビュー映えするイイ人いたら紹介してください 笑。ではでは、本日はエスパシオまで足を運んでいただきありがとうございました。


day of stay:June 10, 2024


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