見出し画像

ターゲットとペルソナは、似ているようで違う

■ターゲット・ペルソナとは

広告業界の界隈でよく使われる「ターゲット」と「ペルソナ」。なんとなく使っている人も多いと思いますが、実は厳密に違います。

ターゲット(標的)とは、サービスを利用するであろうユーザーを指し、年代、男女、既婚未婚、職業、年収などのスペックでユーザーをセグメンテーション(似たようなグループに分類)し、狙いたい見込み顧客を絞り込むことをターゲティングといいます。ターゲットを絞ることで、ユーザーの特性やニーズをしっかりと汲み取り、狙ったマーケットに対して有効にコストをかけることができます。
市場が成熟し、生活者のニーズも多様になった今では、より詳細な顧客像を基にしたマーケティングが求められるようになりました。そこでユーザーの理解を深めるために、サービスを使う、もしくは使って欲しい最も重要なユーザーモデルとして設定します。それによって、趣味や価値観、パーソナリティーを持った架空の人物像が「ペルソナ」となります。

一言で言えば、ターゲットはある範囲のユーザー群に対し、ペルソナはピンポイントの理想的な想定ユーザーを指します。

■ターゲットとペルソナの関係

図式化すると、こんな感じです。

ターゲット・ペルソナ01

そのため、ターゲットよりペルソナを設定するほうが良い。と一般的に言われています。

そのとおりなのですが、求人広告において、それを真に受けると、ジョブスクリプション並みに細かい要件を、募集要件に記載してしまうケースが多々あります。

大抵の場合、そのような求人は爆死します(大手企業を除く/大手は何を書いても、応募されるので)。

もう少し図解すると、本来のターゲットとペルソナの関係は、下図が正しい関係です。

ターゲット・ペルソナ02

ターゲットの中にある「要素」の集合が、ペルソナです。「法人営業経験がある」「20代」「大卒」「体育会系」「まず行動するタイプ」など、さまざまな要素があり、それがすべて合致するのが、ペルソナの山田太郎さん、というわけです。

■大事なのは要素の明文化とMust・Want条件

上記の図でわかると思いますが、大切なのはペルソナがどのような要素で構成されているか、ということ。この要素が明文化されていれば、自分たちがどんな人物を欲しているのかが分かります。

また、その要素を必須条件と可能条件に分けることも重要です。媒体もエージェントもそうですが、100%合致する求職者は来ません。そのため、どこまで合致していれば書類を通過させるのか、面接を通過させるのか、どの要素はなくてもOKなのかを明確にすることで、誰が面接してもブレることはありません。

採用担当者によっては、ジョブスクリプションと何が違うのか、と思う方もいると思います。ジョブスクリプションは職務記述書であり、労働者の職務領域を明らかにしたものです。

その職務に必要なスキルも明記していますが、現時点で不必要なスキル・能力、あるいは足りなくても採用する可能性は十分にあります。それは企業の求める人物像によって異なります。

このターゲット・ペルソナは「企業がどのようなスキルの人物を募集するのか」という企業側の軸です。また、スキルだけでなく志向性や性格なども含まれています。

■大切なことは、企業に合うかどうか

採用において重要なことは、「入社して活躍してくれるかどうか」です。必ずしもスキルや経験がMust条件になるとは限りません。むしろ、向上心さえあれば、一緒に働くメンバーと合うかどうかのほうが重要な場合もあります。

ITエンジニアの中途採用においても、現場に「どんな人物に来てほしいですか?」という質問に、「やる気」や「コミュニケーションスキル」を上げることがほとんどです。

理由は2つあり、一つは開発環境が次々と変わっており、現在持っているスキルが必要なくなることが多々あるからです。また、スキルの横スライドもしやすいのも一つです。英語やフランス語といった言語と同じで、一つの開発言語を覚えれば、他の開発言語も覚えやすい。

もう一つはスキル以上に、人としてのコミュニケーションスキルが求められるからです。ITエンジニアはコミュ障と呼ばれる人たちが、他の職種より多くいます。そう思われている節もあり、コミュニケーションに難がある未経験からの応募もけっこうあります。

そのような状況にあるため、仕事上でコミュニケーションが多く発生するにも関わらず、コミュニケーションができないエンジニアが問題になることも。

そのため、人並なコミュニケーションを求め、あとは新しい開発言語・環境を覚えるやる気があればいい、というのです。

この「ターゲット・ペルソナ」問題は、実はどんな人物がほしいか。もっといえば、その背景にある採用問題とはなにか、まで見通して考えないと、机上の空論になります。

採用担当者は、現場からの要望を鵜呑みにするのではなく、「この現場の課題とは?」という本質を見極めることが大切です。

よろしければ、サポートをしていただけると嬉しいです。サポートが今後の活動の励みになります。今後、求職者・人事担当などに有益な情報を提供していきたいと考えています。