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採用選考で、一番やってはいけないのは「話が違う!」

採用選考で、もっとも悪手は求職者に「話が違う!」と思われることです。その時点で選考辞退されるのはもちろん、口コミサイトにも書かれるからです。もっといえば、友人・知人にも話すので、尾ヒレ背ヒレがついて拡大再生産されてしまいます。

仮に、口八丁手八丁で入社させたとしても、「話が違う(だまされた)」という思いを抱えながら働くので早い段階で辞めてしまいます。辞めなくても、不信感や不満を抱えながら働くのでパフォーマンスは高くありません。

もし、長くパフォーマンスが高く働いてほしいのであれば、けっしてやってはいけないのは「話が違う!」と求職者に思われないことです。

以降、「人事のミカタ」の「辞退の心理[2020年版]」のデータをもとに話を進めていきます。

なぜ、求職者は辞退するのか

選考の辞退が起こるのは、大きく3つです。

(1)書類選考→面接の間
(2)面接→次の面接・内定の間
(3)内定→入社の間

(1)では希望と異なるか、ネット上で良くない評判・うわさを見たために辞退されている率が高くなっています。

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(2)では、「仕事内容が違う」「勤務地や給与などの条件が違う」「求人情報を齟齬がある」「社内・面接官の雰囲気・態度が悪い」など、話が違う!のオンパレードです。

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それどころか、(3)の内定後であっても、「求人情報や面接時の条件と齟齬があった」が33%と、かなりの割合で話が違うことがあります。

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以前も語りましたが、選考中の辞退の多くは企業側に問題があります。その多くが「話が違う!」「態度が悪い!」というものです。

しかし、どちらも企業側の取り組みで改善が可能なものばかり。企業側がよくいう「他社の選考が進んでいる/内定が出た」という理由は、その次で必ずしも高い割合ではないのが分かるでしょう。

採用担当が会社の魅力が見えていない

では、なぜこんなことが起こるのか。

理由は簡単。採用担当や役員が「自分の会社には魅力がない」と思っているからです。そのため、意図的に情報を隠す、ウソをつき、求職者を引き留めようとします。

しかし、その行動は逆でやればやるほど求職者は逃げていきます。もう、ITエンジニア(というかヘルプデスク/テクサポ、運用・保守)を「IT事務/ITサポート」、施工管理を「プロジェクト管理スタッフ」と事務を装ったり、たんなる営業をコンサルタント営業や企画営業と書いて、営業ではないように見せかけるのは止めましょう。

こんなことをしているから、求職者は逃げていくのです。

求人を出した、そのときは応募が来るかもしれません。しかし、中長期で見たとき、自社はもちろん業界全体が疑いの目で見られ、結果、自分の首を絞めることになります。

現実と期待のバランスが重要

すでに人事の世界では「リアリスティック・ジョブ・プレビュー(RJP)」という概念が広がっています。

「RJP(Realistic Job Previewの略、直訳すると「現実的な仕事情報の事前開示」)」とは、企業が行う採用活動の時に、求職者に対して開示する情報のことを言います。その際、職務内容や組織環境の実態に徹した良い面だけでなく、悪い面も含めたリアリスティックな情報を与えることが特徴です。

もう聞こえの良い言葉だけを並べる採用は終わりました。これからは現実を見せつつ、どう納得してもらえるか。期待と現実のバランスが重要になります。

根底にあるのは、企業と求職者の間の信頼関係です。求人や面接で企業側が誠実に対応し、求職者と合意形成を生み出すことが求められます。

こういうと「いやいや。給与も低い、労働環境も悪いウチに来てくれるわけがない」という採用担当も少なくないでしょう。

しかし、本当にそうでしょうか?

本当に魅力がない企業ならば、働いている人はいないはずです。もっといえば、採用担当自身が転職するはず。それでも働いているということは、なんらか(その人にとって)魅力があるのです。

企業の環境を変えていくと同時に、その環境・条件でも納得して入社・働いてくれる求職者をターゲットにすべきです。

もし、それでも「うちには魅力がない」というのであれば、本気で会社を変えなければなりません。そうでなければ、早晩、その会社はつぶれるでしょう。

応募数が減ったとしても、企業に魅力を感じてくれる方を集め、入社させることが、めぐりめぐって企業の成長につながります。

よろしければ、サポートをしていただけると嬉しいです。サポートが今後の活動の励みになります。今後、求職者・人事担当などに有益な情報を提供していきたいと考えています。