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ITエンジニア未経験(スクール出身者も含む)は、自分の立ち位置を変えるべき

最近、下記の2つの記事が読まれているので、どうしたら未経験からでもITエンジニアになれるのか。その可能性を上げる方法について言及したいと思います。

冒頭の「この時期の未経験からのエンジニアデビュー、『ワンチャンはない』と思ったほうがいい」から3ヶ月半ほど経過しました。当時と比べると、ITエンジニアの未経験募集がちらほらと登場し始めています。しかしながら、コロナ前と比べると狭き門と言えるでしょう。

paizaでも安易な未経験募集が増加しているのか、以下のような記事が掲載されています。

この点については、以前にも言及したので割愛します。今回は「本気でITエンジニアになりたい」という未経験の方向けの内容です。

■企業サイトにある求人ページから応募する

未経験からITエンジニアになる方法として挙げられるのは、求人サービスを介さない方法です。

「おいおい。業界にいる人がそんなことを言っていいのか」とツッコまれるかもしれません。しかし、確率を上げるという意味では有効です。なぜならば、エージェント(求人紹介)にしろ転職サイトにしろ、企業側はお金がかかっています。その金額に見合う人材がほしいというのは、企業の偽らざる本音です。

そのため、企業へ直接アプローチする方法は面接の可能性を高めます。というのも、企業がITエンジニア未経験に求めるものは「意欲」です。具体的に言えば、前向きに業務をこなし、自主的に学べるかどうか

前にも話したとおり、エンジニアは生涯学習を求められる職種です。会社側も資格取得支援や学習支援制度を用意しているものの、そもそも自分で学習できないエンジニアを欲しいとは思っていません。未経験は業務経験がないので、判断軸は自主的な学習生できるかであり、そのための「意欲」です。

未経験自らが自社サイトから応募する、問い合わせをするという好意そのものを、「意欲」があると判断する企業は少なくありません。特に小規模なIT会社ほど好意的にとらえる傾向にあります。(大手は黙っていても自社サイトから応募が来るので、この限りではありません)

ゆえに、未経験を募集していなくても中小SIerやSESに直接アプローチすると、意外と面談してくれるケースがあります。

■何らかのアプリを自作する

特にスクール出身者に多いのですが、スクールの課題で制作した成果物(アプリ)をもって、「実績」として企業側に提出するケースが数多くあります。もしかしたら、スクールがそのように指導しているのかもしれませんが、これは逆効果です。

以前にも言及しましたが、独学でアプリを開発した経験は企業は高く評価します。

<企業の採用優先順位モデル>
(1)経験者(そのなかでも優先順位があります)
(2)独学でアプリを開発した経験のある未経験
(3)スクールで学んだ未経験
(4)まったくの未経験

ただスクールで学んだ未経験よりも、独学でアプリを開発したという実績のほうが遥かに上です。せっかくスクールで学ばれているのですから、その経験を活かして開発する。あるいはスクールでの勉強と並行して、独学でアプリを開発し、わからないところは講師に聞きながら進める、という方法があるのではないでしょうか。

「いや、人様に見せられるアプリなんて開発できない」というかもしれません。ヘボくてよいのです。独学でアプリを開発したという実績こそが、「意欲」があり「一定の経験値」を持っているという証なのです。有象無象のスクール出身者よりも、頭一つも二つも抜け出すことができます。

もし、自社サービスを持つスタートアップ系に行きたいのであれば、独学で開発したアプリは「自分が課題に思っていることのビジネス化」を狙ったものだと、なおいいでしょう。

スタートアップ系のサービス自体が、社長が課題に思っていることのビジネス化です。例えば、人材サービスで言えばBizreachが挙げられます。あのサービスも、日本では本格的なヘッドハンティングサービスがなく、人材サービスのあり方を変えたいと始まったサービスです。

そこまで大きなものでなくても、ビジネス観点を持ったエンジニアはスタートアップ系では非常に重宝されます。企業のステージによりますが、在籍するエンジニアは技術力はあってもビジネススキルや企画力を持っていないことが多いからです。エンジニアリングとビジネスを結ぶ存在として、将来性を買われる可能性は高いです。

■企業の温度感を知る

最後に。求人広告(転職サイト)での方法ですが、この方法は前二者と比べると、確率はさほど上がりません。せいぜい書類選考に通過しやすくなる程度でしょう。

Paiza開発日記でも書かれている通り、「未経験」と一口に言っても、その内実はさまざまです。

<「未経験」の種類>
(1)知識・経験ゼロの、まったくの未経験
(2)経験はゼロでよいが、自分で基礎知識くらいは調べている未経験
(3)WebマーケやWebデザインなど、周辺職種経験のある未経験
(4)IT・Web業界が未経験のITエンジニア(業界未経験)

おおむね求人広告で未経験を指しているのは、この4つでしょう。しかし、求職者がイメージする未経験は(1)、よくて(2)までのはず。

では、どこで見分ければよいのか。それは「応募対象欄」です。まともな求人広告ならば、誰が対象になっているのかを明確に記載します。一番わかりやすいのは(4)で、「業界未経験歓迎」と書いてある可能性が高いです。

(1)(2)を求めている場合は、応募対象欄にITエンジニアの経験を記載することはありません。経験はいらない代わりに、志向性(~をしたい)を重視することが多いです。

<応募対象欄の一例>
※こんな意欲や志向性のある方を求めています!
・ITエンジニアとして頑張っていきたい
・ものづくりに興味がある
・つくりたいシステム・アプリがある
・コツコツと、真面目に仕事に取り組める
・みんなと協力しながら仕事を進めるのが好きだ

「Java、Rubyの開発経験がある」「実装の業務経験が2年以上ある」などといった具体的な職務経歴の記載はありません。あっても別途、歓迎条件(優遇条件)での記載でしょう。

上記を理解するだけで、まったくの未経験を求めているのか、業界未経験のITエンジニア(例えば社内SE)を求めているのかがわかるでしょう。

■まとめ

以上、未経験からでもITエンジニアになれる確率を上げる方法を取り上げました。

ITエンジニアの経験者募集は、コロナ前と変わりません。むしろ、企業は経験者募集に力を入れているようにさえ感じます。未経験を募集するのは体力のある技術派遣会社かSESのみ。

では、経験者採用に未経験が応募したら通過するのか。答えはNoです。求人サイトでは「経験者募集でも未経験を採用してくれることがあるので、積極的に応募しましょう」と書いてあるところも少なくありません。しかし、ITエンジニアにおいては、ほとんどないと考えたほうがよいでしょう。

仕事の中でも、「経験者募集なのに、スクール出身者からの応募が増えて困っている」という話をよく聞きます。この言葉が示すとおり、スクール出身者は経験者とはみなされません

にも関わらず、スクール出身者がそれを理解せずに応募するのは、求職者にとっても企業にとっても不幸な結果しか生みません。ならば、やり方を変えてお互いが幸せになるあり方を模索したほうがよいのではないでしょうか。

もし、本気でITエンジニアになりたいとお考えならば、ぜひとも上記の方法を試してみてください。

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