見出し画像

【博士課程で学んだこと】第1回:研究は生み出すもの

博士課程というのは人生の中でもかなり不思議な体験になります。

将来への不安やメンタルへの負荷など安易には勧められないところもありますが、この経験をしたことでいくつかのことを学ぶことはできました。

このシリーズでは、博士課程で学べたかなって思えることいくつか紹介したいと思います。

第1回は「研究は生み出すもの」についてです。

博士課程への進学を考えている方は読んでみてください。

前置き:就活をして現実を知る

大学生の頃、研究者になりたいと思い大学院に進み、就職したら企業の研究者になるんだと思っていました。

しかし現実はそう甘くありません。就職活動を通して、企業の研究職というのは就活生全体に対して枠が少ないため、狭き門だと知りました。そして就活偏差値の低かった私は見事に全落ちしたわけです。

そして同時に修士の頃までは私は大きな勘違いをしていました。というもの、研究職に就かなければ研究や開発といった科学的にクリエイティブな仕事ができないと思っていたんです。あとから気づきましたが、これは大きな間違いでした。

研究開発は生み出すもの

博士課程で学んだことの中でも自信がついたこととして、”研究開発は生み出すもの”だとわかったことです。決して環境が与えてくれるものではなく、自ら創出するものということです。

これは私の考え方を大きく変え、自分の行動にも影響を与えました。

博士課程を経験するまでは、心のどこかで研究というものは与えられたテーマを周りの助けを借りながら自分なりに遂行するものだと思っていたんですね。修士の研究テーマは自分で立ち上げたとはいえ、それは先生の研究テーマの一部でしかありませんでした。

おそらく多くの大学生・修士学生は同じような経験をするのではないでしょうか。そして、この感覚では本当の研究開発職に就かない限り研究も開発もできません。

一方、博士課程となると誰から与えられたテーマだけ遂行していれば良いというわけにはいきません。たいていの博士学生は自分なりに研究テーマを創出し、それを指導教官やラボのボスに認めてもらい始めて研究がスタートします。

私は偉そうに言えるレベルの研究はできませんでしたが、修士の頃に立ち上げた研究の他に博士進学時に新しくテーマを立ち上げることができました。傍から見るとちょっとやってるわ、ぐらいの感じかもしれませんが、実際のところ構想に半年かけて、2年ぐらいかけて軌道に乗せることができました。

いい感じに論文を書いて賞を取って、というような、かっこいい結果にはなりませんでしたが、一応コンセプトは学会で発表し、テーマは後輩へと引き継がれていきました。

こんな具合に、博士進学は研究テーマの創出が求められます。どんなに小さなテーマでも無から研究を生み出すのが仕事なんです。

会社員になっても活きる能力

かくいう私は研究開発職に就職したものの実業務は文書作成と社内調整といった科学も技術も全く使わない仕事でした。

今の仕事で満足しているわけではありませんが、私はまだあきらめていません。なぜなら研究というのは生み出すものなのだから。

もう少し具体的に私の考えを言葉にすると、研究開発とは仮説検証を繰り返し、科学的な理論や技術を駆使して課題を解決することです。

身近な課題を科学的にとらえ、解決することを考えればどんなことでも対象となりえます。それが学問かと言われれば微妙なところですが、少なくともクリエイティブな仮説検証は可能なはずです。

それじゃあ具体的に文書仕事で何ができるの?って思いそうですが、 私は現在隠れて自然言語処理を習得しています。

自然言語処理(キャッチーな言葉で言えばAI)による社内文書の自動作成ってできたら結構インパクトあると思うんですよね。他にもデータ構造やグラフ理論でいろいろできそうなことはあるなと画策しています。

きっと修士卒業してすぐに今の仕事をしていたら、自然言語処理に手を出すなんてことなかったと思います。なにもできずに文句しか言わない残念な若手社員になっていたでしょう。

誰かが決めた研究開発をするなんて面白くありません。自分で作り出すものなんです!

当然、それが会社で受け入れてもらえない可能性は非常に高いと思います。しかし、このような研究開発テーマを自ら考えて、小さな仮説検証を繰り返し、努力することは意味があるはずです。多少なりともスキルは身につきますよね。

そうはいうものの最近忙しすぎてそれどころではない状態なので、研究計画立てるように仕事のスケジュールも立てられるようになったら一人前かなと思います。

最後に

仮説検証というのは必ずしも自然科学だけではありません。たとえば、このnote記事のPV数とスキ数の解析なんかも、定量的なデータを抽出できれば、面白い自由研究になるんじゃないかな思います。と書くぐらいなので、いずれ自然言語処理を扱えるようになったら自作のnoteアナリティクスなんかも作ってみたいですね。

はじめは5つぐらいピックアップしてまとめて1つの記事にしようと思っていたのですが、書いてみると意外と長くなってしまったので、サクッと読めるサイズに分割して投稿していきます。

今後も、少しずつ投稿していくので気が向いたら読んでもらえると嬉しいです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?