【博士課程で学んだこと】第5回:研究計画の立て方
仕事をしていると複雑にしなくても良いことが、想像も絶するぐらい複雑に絡み合っています。
しかし、物事は基本的にシンプルであるべきです。
それは研究計画にしても同様で、超複雑なスケジュールをロジカルに組んだとしてもそれが崩壊するのはあっという間なんですよね。
計画はシンプルであれ
学生でも社会人でも複雑に計画を立てる人がいます。
わかりやすい例としてA~Jまでの10個のクリアすべき課題がありゴールがKの場合、次のような計画になります。
A→B→C→・・・→K
AがうまくいったらBに進む、BがうまくいったらCに進むといった具合です。最終的にKまで達成した時、目的が達成されるという算段です。
しかし、物事はそんなにうまく進みません。どんなにうまく進んでもCあたりで失敗します。(世の中そんなに都合よくできてないですからね)
複雑な計画になりそうな場合
全てのプランが従属している場合、どれか1つでも欠けたら前に進みませんし、当然目的は達成できないですよね。
このようなときはなるべく、タスクを個々に切り分けて、それぞれが個別に解決できる課題にしていくべきです。
例えば、上のタスク(A→B→C→・・・→K)を個別分解すれば、ABCDEFGHIJとKとなります。
Kは達成したい目的の解決策として、それをA~Jの10個のパーツの組み合わせでできているとします。すると、10個の内3つうまくいかなくても、目的の70%は解決したことになりますよね。少々単純なケースを例にしていますが、このようにプロジェクトを分解することができれば、多少の失敗も許容されると思います。
仮に、全てを数珠つなぎになっている場合、途中で切れればゼロになってしまいますからね。もちろん、ここまで単純化することは難しいですが、この数珠つなぎが長ければ長いほどプロジェクトは失敗しやすくなります。
これってプログラミングに似てますよね。私はそんなに詳しくないですが、クラスとかモジュールのような概念と少し似ている気がします。
2つの研究を相互に結びつけるのは良くない
例えば、研究のスケールが大きくなると、1つの大きなテーマに対して複数の小さなテーマが乱立することがあります。
そんな中で、小さなテーマ同士を紐づけて、テーマ1がうまくいくとテーマ2につながるといった計画を立てる人がいます。確かにより大きなテーマの完遂のためにはそのような小さなテーマを関連付けるのは避けては通れないと思いますが、あまり安易にテーマ同士を紐づけるのはおすすめできません。
これは前述した内容と同様に、テーマ1が滞れば、テーマ2も止まってしまうという事態に陥ってしまうわけですね。
そんなこと言われなくてもわかるだろ!って言われるかもしれませんが、研究計画でも会社の計画でも同様に、複雑にいろんなテーマが結びついていることが多々あります。
このような計画を立てるとどこかでひずみが生まれてしまい、計画が途中で破綻してしまいます。そのため、不要な紐づけはなるべくせず、個別にプロジェクトを完遂できるようした方が良いと思います。
最悪、どちらかのテーマが止まったとしても、片方のテーマだけでも助かるといった計画を立てる方が現実的です。
不確実性を考慮する
結果がまだ出ていない実験や他人の合意を必要とする仕事といった不確実性の高いポイントは必ずあると思います。
言わなくてもわかると思いますが、このようなポイントは失敗する可能性が非常に高いです。つまりあらかじめ失敗可能性のあるポイントを抽出して、その周辺で失敗をリカバリーできる期間を用意しておくとよいでしょう。
この実験は(きっと)失敗しないから大丈夫とか、他部署の○○さんとは前に話したから合意してくれるだろうという考えは甘いです。いくつかは何事もなくクリアできるかもしれませんが、どこかで必ず失敗します。
普通はこのような失敗を乗り越えて学習するもんですが、意外と無謀な計画を立てる人は多いんですよね。私も会社に入って驚きましたが、これが現実です。
背景には、早く論文を出したいとか納期が近いとかいろいろあると思いますが、やはり余裕をもって計画を立てないといけないですよね。
最後に
計画やスケジュールの作り方や学生だけでなく社会人になっても重要です。研究というのはそれを学ぶ良い機会になるでしょう。
今回は当たり前のことを書いてはいるんですが、これができない人は意外と多いんですよね。