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【第3回コラーゲンの世界】いろんな種類のコラーゲン

コラーゲンというと何か特定の物質の名前を指しているように感じますが、実はアミノ酸がつながった高分子が3重らせんを作る物質の総称なんです。

今回はコラーゲンの種類に着目してそのさまざまな機能についても見ていきたいと思います。

コラーゲンってなに?(第1回)、コラーゲンってどんな構造?(第2回)という方はそれぞれの回を見ていただけるとより理解が深まるかと思います。

それではさっそくコラーゲンの分類について見ていきましょう。

44種類のα鎖

まず初めに、コラーゲン分子を構成する3本のα鎖(ポリペプチド鎖)に関して考えてみます。

α鎖はアミノ酸が結合してできた高分子です。グリシン-アミノ酸X-アミノ酸Y-グリシン-…となっているというお話は前回もしましたね。

考えてみれば、このα鎖のグリシン以外のアミノ酸X, Yに入る組み合わせによってはα鎖の種類が異なってくるのは当然です。このアミノ酸の結合順序は遺伝子がになっており、人間の場合44種類の遺伝子がそれぞれ異なる44種類のα鎖を生成しているそうです。

こうして作られた多数のα鎖の中から3本選ばれてらせんを組むことでコラーゲン分子が出来上がるというわけですね。

人のコラーゲンの型は28種類

さて、α鎖の中から3本が選ばれてコラーゲンができるわけですが、ここでも組み合わせが重要になってきます。3本とも同じα鎖にするのか、それとも1本は違うα鎖を使うのかなどの選び方ですね。

このα鎖の組み合わせにより、現在ではコラーゲン分子にはI型~XXVIII型までの28種類の型があることが知られています。

ここでは参考文献に載っていた組み合わせの例を紹介しましょう。

たとえば、コラーゲンI型の場合、α鎖はα1(I), α2(I)の2種類です。
そして、2本の α1(I)と1本のα2(I)が組み合わさってできたものと、3本の α1(I)が組み合わさったものの2種類のコラーゲンがあります。
これらはどちらもI型のコラーゲンと呼ばれています。

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またコラーゲンIV型の場合、α1(IV)~α6(IV)までの6種類のα鎖が構成要素となりえます。
2本のα1(IV)&1本のα2(IV)
1本のα3(IV)&1本のα4(IV)&1本のα5(IV)
2本のα5(IV)&1本のα6(IV)
という組み合わせがそれぞれIV型コラーゲンとなります。

なんだか難しいな~という気持ちもありますが、私たちの体の中にはこんなにも複雑なことが起きているというのは面白くもあります。

個人的にはなぜすべての組み合わせが生じないのかも気になるところですが、こちらはもう少し調査が必要ですね。α鎖同士の立体的な構造に由来するのでしょうか?(わかったら追加で紹介したいと思います。)

ちなみにこれは現在知られている人間のコラーゲンについてであり、他の生物種も含めるともっと多いのではないかと言われています。コラーゲンの研究はまだまだ未知なことが多いようです。

コラーゲンの種類

ここまで44種類の遺伝子から作られるα鎖と、それらが組み合わさってできた28種類のコラーゲンがあるというお話をしましたが、それらはさらに性質別に種類が分けられます。

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繊維性コラーゲン

細長い形をしており、皮膚や腱、骨などになります。とても有名で私たちの体の中で最も豊富に存在するコラーゲンです。I型のコラーゲンを含み、体の様々なところに使われているので最も有名かと思います。

種類:I型, II型, III型, V型, XI型, XXIV型, XXVII型,

FACITコラーゲン

Fibril Associated Collagens with Interrupted Triple helicesの略で日本語では3本鎖らせん領域が断続的な繊維結合性コラーゲンというそうです。長すぎる上にわけわかんないですね。

太い繊維になりにくいため、繊維性コラーゲンによってできた繊維の表面の表面に結合して補助的な役割を担っているようです。

種類:IX型, XII型, XIV型, XVI型, XIX型, XX型, XXI型, XXII型

基底膜コラーゲン

肌の話などにも出てくるコラーゲンで繊維性コラーゲンに次いで有名なものかもしれませんね。

3層構造を持つ皮膚の表皮と真皮の間に位置する薄い膜状の細胞外マトリックスの要素になります。基底膜コラーゲンはその名の通り基底膜を構成するメッシュ状の構造を持つコラーゲンです。(皮膚の話は次回紹介するのでそちらを参考にしてください)

細胞の接着や組織を分ける働きを持ちます。

種類:IV型

膜貫通型コラーゲン

細胞膜を貫通し、末端を細胞の外に出しているコラーゲンです。その末端のコラーゲンは細胞外にあるコラーゲンとの接着する働きを持ちます。

種類:XIII型, XVII型, XXIII型, XXV型

マルチプレキシンコラーゲン

3本のらせん構造が分断された構造になっておりFACITコラーゲンと同様の働きをすると考えられています。

種類:XV型, XVIII型

短鎖コラーゲン

六角形の網目構造を形成するコラーゲンです。まさにコラーゲン分子が複雑にネットワークを作っています。

種類:VIII型, X型

その他のコラーゲン

種類:VI型, VII型, XXVI型, XXVIII型

最後に

今回は、コラーゲンの分類について紹介しました。私たちの体の中にはいろんな種類のコラーゲンがあることがわかりましたね。

そしてこれらのコラーゲンが私たちの皮膚や骨、筋肉といったさまざまな体の部位になって支えてくれています。

次回はようやく身近なところに感じるコラーゲンについて紹介してきたいと思います。

参考文献

トコトンやさしいコラーゲンの本他


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