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【スパイスの科学】ハンガリーで愛されるパプリカの秘密

パプリカと聞くと、スーパーなどで売っている少し値の張る赤や黄色のピーマンといったイメージが強いかもしれませんね。

スパイスとしてのパプリカも同様にスーパーの香辛料エリアに置いてありますが、実はこれらは異なる種類のパプリカだそうです。

今回はそんなスパイスとしてのパプリカについて見ていきたいと思います。

パプリカの発祥

パプリカは中南米で栽培されていた唐辛子がもとになっていると言われています。赤色だけ見れば確かにそんな気もしますが、味とかを考えるとちょっと意外ですよね。

コロンブスがパプリカをヨーロッパに持ち帰り、それがハンガリーにもたらされて、そこでパプリカが生まれたようです。

そのため、パプリカはハンガリーでは欠かせないスパイスであり、グヤーシュと呼ばれる赤いシチューに使われます。

ちなみに、現在のパプリカの原産地はハンガリー、スペイン、オランダ、トルコですね。

スパイスとしてのパプリカ

スパイスとして使われるパプリカは野菜としての流通しているものと別品種のようですが、同様に赤色で甘みのある野菜です。唐辛子を由来にしているところから、東欧では辛みのあるパプリカパウダーというのもあるようですね。

このパプリカパウダーは想像の通り、果実を乾燥させてから引いて粉にします。こうして保存が利く状態にして流通しています。

さらにスパイスとしてのパプリカのもとになる品種も複数あり、その種類によっても色や味が変わると言われています。

大きく分けると、色鮮やかでフルーティなハンガリー産と色が濃く甘みが強いスペイン産があります。パプリカ一つとっても奥が深い世界ですね。

パプリカの成分

スパイスのパプリカは甘くフルーティな香りや酸味のある柑橘の香り、また土っぽいスモーキーな香りが入り混じった複雑な香辛料です。

そのため、様々なスパイスとも相性が良く、甘みを強調するシナモンやオールスパイス、酸味を増強するタマリンドやショウガなどと合わせると良いようです。またスモーキーな香りも持つため、同様な薫香を持つブラックカルダモンとも相性が良いとされていますね。

パプリカはいろんな食材と相性が良く、根菜からイカやタコなどの魚介、肉まで幅広い食材と合わせることができます。

パプリカが多く含む黄色・赤色の色素(カロテノイド類)は他の香り成分と同様に油に良く溶けます。そのため、料理の際には油でいためると色と風味が料理全体に広がるようです。

ニンジンのオレンジ色の色素もこのカロテノイド類に含まれるため、油でいためると料理がオレンジ色になる経験をした人も多いかと思います。香りのみならず色もまた料理を楽しくさせる要素なので、注目すると面白いですね。

そしてこのカロテノイドというカテゴリの物質は、近年では抗酸化活性を有するフィトケミカルとして注目されています。

抗酸化作用をもつカロテノイド

フィトケミカルとは、植物が紫外線や昆虫などの外敵から身を守るため、自ら作り出した化学物質のことで、中にはそれを摂取することで健康にも良いとされています。

健康効果については専門ではないですが、調べる限りフィトケミカルという概念自体は科学的に認められているような感じです。だからといってフィトケミカルがなんでも体にいいのかというとそこは注意した方が良いでしょう。

さて、パプリカやニンジンが持つカロテノイドはフィトケミカルの一種であり、植物自信が活性酸素から身を守るために生み出し、蓄積しているようです。

このカロテノイドの抗酸化活性は確かに認められており、パプリカを摂取すると小腸からカロテノイドが吸収されて、リンパ液を通して血液中に取り込まれていきます。

パプリカを食べれば直接的に健康になるかはわかりませんが、医学栄養学的な研究が進められており、しっかりと検証されていることを見ると、近い将来科学的なエビデンスがそろってきそうだなと感じました。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/oleoscience/18/3/18_91/_pdf/-char/ja

栄養学に詳しい人とかいたら教えてほしいですね。

最後に

今回はパプリカの科学とカロテノイドについて紹介しました。

科学と健康というのはセンシティブな話になりますが、複雑な生命活動も少しずつ解き明かされてくれば、科学的な健康への取り組みができるようになるかもしれません。

まだまだ、ネットには怪しい記事がたくさんあるで、このような分野については自分で調べて理解することをおすすめします。

参考


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