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ここがすごいよ超格子:世界を変える次世代材料

みなさん超格子という言葉をご存じでしょうか
おそらく99%の方は知らないでしょう

”超”なんとかというと何か胡散臭い感じもするかもしれませんね。英語ではSuperlatticeとそのまんま”スーパー”な格子というネーミングですが、真面目な科学用語です。

別に何か特別な力があって”超”と名付けられたわけではないですが、やはり普通のものと比べると特別な性質を持つことが多く、未来の材料として期待されています。

今回はそんな超格子について紹介したいと思います。


超格子とは

その名の通り”超”格子です。
どういうことかというと、一般的な結晶は原子や分子が規則正しく並んだものなので、原子レベルで格子が存在します。つまり原子レベルで周期性があるということになります。

簡単な模式図ですが、赤丸(原子)が規則的に並んでいるのが一般的な格子(結晶)です。

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1種類の原子からなる結晶


それに対して、2種類以上の金属(赤と青)が混ざった化合物(合金)などではこんな感じになります。(あくまでイメージ)
適当に混ざっているわけでなく、きれいに交互に並んでるのが重要なんですね。

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複数の原子が混ざった合金

一方、超格子は原子がこんな感じで並んだものです。
赤と青の原子がきれいに並んでいますが、合金のような交互とは少し違った並び方をしていますよね。まとまった塊が順番に並んでいるようなイメージです。

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超格子(積層薄膜の例)

この赤い原子の塊と青い原子の塊は通常の原子のサイズよりも大きな周期で並んでいます。ちょっとわかりにくい表現かと思いますが、要は原子が1つずつ交互に並んでいるのと、上の図では4つごとに並んでる違いです。

この4つという数字はあくまで一例ですが、これが原子の周期(1つ)よりも大きいことが超格子の条件なんです。

ちなみに普通の結晶よりも長い周期性を持つことから長周期と呼んだりします。それでは、この超格子について1つずつ見ていきましょう


1次元超格子

このような構造でもっとも有名なものは上の例でも示した積層薄膜です。
これは原子数層レベルで積層された薄膜が何層にも重なっています。

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積層された奥行に向かって1次元に長周期が存在しているので、1次元超格子と呼ばれます。

この次元というのも科学用語ですよね。要は、積層された奥行き方向には複数の原子の塊としての周期がみられますが、層に水平の方向に関しては特別長周期は見られず、同じ原子が並んでいるだけです。このような状態を1次元と呼んでいます。

用途としては、光を制御する回折格子や高効率の太陽電池なんかに使われます。

現在のテクノロジーを駆使すれば、このような超薄い膜を制御して重ねることができます。下の層から順に積み上げていけばいいので、残りの2種類に比べて比較的簡単に作れるんですね。

2次元超格子

平面上に規則的な凹凸があるような構造です。
例えば、規則的に穴が開いていたり、非常に小さなナノ粒子という粒が規則的に敷き詰められていたりすると、2次元超格子となります。

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上から見るとこんな感じ↓

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つまり上図の平面にわたって長周期が存在することになりますね。平面というのは、縦横方向のことであり、2次元ということです。

用途としては、プラズモンを利用した化学物質やウイルスのセンサーなどに使われます。プラズモンといってもわからないかと思いますが、要は光を小さな領域(数ナノメートル)に閉じ込めたり、光の強度を桁違いに増強させたりすることができます。その光の増強によりセンサーの感度を上げるという算段です。

あくまでプラズモンセンサーは有名な例であって、他にも量子現象を利用する単電子デバイスやマイクロニードルのテンプレートなど、様々な分野での応用が期待されているんですね。

このような2次元超格子を作るには、1次元の時よりもより精密に溝を掘ったり削ったりする技術が必要なので、少し難しくなりますが、最近の研究では技術が進んできています。ようやく大学研究レベルから企業の基礎研究に降りてきたかなぐらいの感覚ですね。


3次元超格子

3次元方向ナノ粒子が敷き詰められていたり、ジャングルジムのような構造だったりします。

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こちらはさらに作るのが少し難しくなります。2次元超格子では表面を削ったり穴をあければよかったわけですが、3次元になると立体的にくりぬいて形を作り上げなければなりません。

学術レベルでは様々な方法が開発されていますが、この3次元超格子を産業ベースに乗せる話はあまり聞いたことがありません。

こちらの3次元超格子の応用例や使用用途に関しては、次の記事でまとめて紹介していこうと思います。

最後に

ついに自分の専門分野の話をしてしまいました。

これまで、いろいろな結晶ネタをやってきましたが、自分が一番語れる内容を出していなかったことに気づいて記事にした次第です。

知っているという方はその道のプロかエレクトロニクス関連のお仕事の方かなと想像しますがお手柔らかにお願いします。


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