糖とタンパク質の複合体プロテオグリカンとは
普段生活の中で糖やタンパク質(プロテイン)という言葉を耳にする機会は多いと思いますが、その2つが合体した物質があることをご存じでしょうか
この糖とタンパク質の複合体のことをプロテオグリカンといい、この物質は私たちの健康や美容といった面でとても重要な働きをしているとわかってきました。
今回はそんな普段は聞くこともないけど実は面白いプロテオグリカンについて紹介してみたいと思います。
プロテオグリカンとは
冒頭で説明したように糖とタンパク質の複合体で、グルコサミノグリカンとコアタンパク質が結合してできる物質の種類のことです。
そう聞くと、もう何が何やら…となってパニックになってしまいますね。
まず、プロテオグリカンを理解するために知っておかなければならないのがグルコサミノグリカンです。
グルコサミノグリカン、どこかで聞き覚えのある響きではないでしょうか?
そうです。グルコサミンですね。商品名で聞くと少しは身近になりますよね。実はグルコサミンはグルコサミノグリカンの原料になる物質のようで、商品自体の効果は不明ですが、とても関係のある名前なんです。
それでは科学の話に戻しましょう
グルコサミノグリカンはコンドロイチン硫酸やヒアルロン酸といった、(こちらも耳にしたことがある物質ですが)多糖の仲間のことを言います。何か1つの物質名を表しているわけではありません。
そして多くのグリコサミノグリカンはコアタンパク質と呼ばれる核となるタンパク質と結合した状態で存在するそうです。このタンパク質とグリコサミノグリカンが結合した状態をプロテオグリカンといいます。
下図を見るとわかりやすいと思いますが、一番細い線がグリコサミノグリカン(コンドロイチン硫酸)、それがコアプロテインと結合し、そこまで含めてプロテオグリカン、さらに一番太い矢印にリンクプロテインで結合してプロテオグリカン凝集体と呼ばれます。
なお一番太い矢印がヒアルロン酸であり、ヒアルロン酸はグリコサミノグリカンの仲間でありながら大きすぎるため、プロテオグリカンとはならない例外となるようです。
さて、話はプロテオグリカンに戻りますが、ここまでくるとだいぶ複雑という印象と、なんだか健康の文脈で聞いたことがあるなと感じる方もいるでしょう。(グルコサミンとかコンドロイチンとか)
またネット上でプロテオグリカンと調べると、まるである特定の物質について述べているように見えますが、プロテオグリカンは物質のカテゴリーの名前です。つまりプロテオグリカンの中にいくつかの種類が存在するというのが正しい理解になりますね。
それでは今医療や美容、健康といったところで大変注目されているプロテオグリカンの特徴を見ていきましょう。
プロテオグリカンの特徴
プロテオグリカンは多糖類としてのグリコサミノグリカンを多数保有しているため大量の水と結合することができます。つまり保水力があるということですね。
この保水力が後述する美容や健康分野において素晴らしい影響をもたらしてくれるというわけです。
それではなぜ私たちの体に良いとされるプロテオグリカンはあまりに聞き馴染みのないものなのでしょうか?
どうやらプロテオグリカンは分量が大きい上に複雑な構造をしているため、なかなか自然から取り出すことができず利用されてこなかったという背景があるようです。それが最近の研究によって鮭の鼻軟骨からプロテオグリカンの成分を抽出する方法が見つかり、より一般に普及するようになりました。
今後その実用性が認められると、近い将来プロテオグリカンの名前が良くも悪くも世の中に広がるかもしれませんね。
プロテオグリカンの効果
このプロテオグリカンは皮膚や軟骨に多く存在して、皮膚の弾力や関節のクッションの役割を果たします。
私たちは年齢を重ねるごとに細胞の再生機能が低下していしまいます。
細胞の成長に影響を与える上皮細胞増殖成長因子の減少というものが重要と考えられているようですが、プロテオグリカンはこの因子と同じような働きがあると言われています。
プロテオグリカンは肌に欠かせないヒアルロン酸やコラーゲンの生成を促進させる効果があることから、美肌効果があると言われています。
また、プロテオグリカンの保水能力は軟骨のもつクッション機能にも大きな影響を与えてくれます。関節部などに多く含まれ、適度に水を吸収放出することができることから、動きが悪くなった関節の軟骨を助ける働きがあるようです。
軟骨についてわかりやすい動画
最後に
プロテオグリカンという単語は今回初めて知りましたが、世の中にはとても面白い物質の形態があるようですね。
これが生体内で作り出され見事に機能していると思うと、生命の神秘を感じます。
プロテオグリカンの美容効果や健康効果に関しては、まだまだ個人的に調査をしないとその有用性については述べることができませんが、現在大学・企業の研究が進められているのが実際のようです。おそらくそれなりに信頼のできる研究なのかなと思います。
また論文などで紹介できる機会があれば、noteの記事にもしてみようかな考えています。
それでは
参考
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