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【スパイスの科学】スパイスの王様コショウの秘密

だれもが知っているスパイスの絶対王者コショウ(ブラックペッパー)、その魅力は数千年前から人々を魅了し、今もなお絶大な人気を誇っています。

身近にある存在となったコショウですが、いったいどこで生まれて、どのように使われたのでしょうか?そして、コショウが持つ科学的な性質はどんなものでしょうか。

今回はそんなみんな大好きコショウの秘密を探っていこうと思います。

コショウの歴史

コショウの原産はインド南部と言われています。諸説あるようですが、3500年前から栽培・取引されてきており、歴史の中では貨幣として使われることもあったそうです。自然が生んだスパイスがどれほど人類にとって貴重だったかわかりますね。

コショウの実(wikipediaより引用)

インドで生まれたコショウは、アラブの商人を経由してヨーロッパへ運ばれます。今では全世界に広がり、日本でも食卓に必ずと言っていいほど存在するあたりまえのスパイスとなっていますね。

現在の主な産地はベトナムだが、今でもインドや、インドネシア、マレーシア、ブラジルなどで栽培されているそうです。

いろんなタイプのコショウの作り方

スパイスの売り場に行くと、いろんなタイプのコショウを見かけます。一般的な黒コショウ(ブラックペッパー)だけでなく白コショウ(ホワイトペッパー)やグリーンペッパーというものもあります。

黒コショウと白コショウ(wikipediaより引用)

これらのコショウは一体何が違うのでしょうか?

実はこの色はスパイスとしてのコショウの作り方に起因しているんです。
黒コショウは完熟前の緑色のコショウの実を熱湯にくぐらせてから、皮付きのまま乾燥させます。これによりシワシワな黒い外皮をもったコショウになります。これが一番一般的な奴ですね。

時折見かける白コショウは、赤く熟すまで育てた実を見ずに浸して発酵させて、外皮を取り除いた中身のみ乾燥させます。黒い外皮に香り成分が多いため、香りは落ちますが、マイルドな味わいになるようです。あとは、ホワイトシチューなどの色合いを気にする料理に使われることも多いですね。

あまり一般的ではないですが、緑色のグリーンペッパーは、熟す前の実を短時間で乾燥させたもので、さわやかな香りと辛みがあると言われています。

コショウの科学

コショウの成分と言ったら辛くスパイシーなピペリンが特徴的でしょう。主に黒い外皮に含まれます。ピペリンは唐辛子、マスタード、花椒、ショウガなどと相性が良く、幅広い料理に使われています。和洋中どの地域の料理にも使える万能スパイスですね。

他にもコショウにはウッディなピネン、柑橘系のリモネン、ピリッとするミルセンなどが含まれています。

コショウの風味を存分に楽しむためには、やはり調理の直前に挽くと良いでしょう。スーパーなどでもミル付きのホール状態の黒コショウが売っているので、香りを楽しみたければ、是非ホールで買ってください。私もよく料理をするので、専用の大きめのミルを使っています。

またコショウの風味は空気に触れると分解して揮発してしまうため、料理の中でも最後の方に振った方が良いという意見もあります。

普段、手に入れる機会はないですが、生のコショウを使うとフローラルなリナロールの香りを楽しむことができるようです。こちらの記事では科学的な成分調査の結果が紹介されています。

入手方法がわからないですが、機会があったら生のコショウも試してみたいですね。

最後に

今回は誰もが知っている、きっと使ったこともあるコショウについて紹介しました。

意外とコショウの作り方なんかは知らなかった人も多いのではないでしょうか。1種類の植物からこれほど多彩な見た目のコショウを生み出すことができるというのは面白いですよね。

そして、その見た目だけでなく香りも少し異なるため、料理の用途に応じて使い分けると食事がもっと楽しめるかもしれません。

参考


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