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【インターネットを支える技術】みんな知らない光ファイバーの世界

光通信とか光ファイバーという言葉はよく聞くと思いますが、それがいったい何なのか説明できる人は少ないと思います。

私自身光ファイバー使ってるんでしょ!とは言えますが、それより深いことを聞かれたら途端にたじろいでしまうでしょう。

ということで、前回に引き続き通信ケーブルのお話、光ファイバーについて紹介したいと思います。前回の銅線でできた銅線でできたツイストペアケーブルについて知っているとより理解が深まると思うのでそちらも是非ご覧ください。

それでは高速な通信速度を支える光ファイバーケーブルについて一緒に見ていきましょう。

光ファイバーケーブル

そもそも光ファイバーとはいったい何なんでしょうか。光ファイバーとはガラスを細い管にしたもので、その中に通信のための光を通します。

光ファイバーの原理だけでも1本記事が作れてしまいますが、簡単に言ってしまうと全反射という光の特性を利用して、光がファイバーの外に漏れ出ないようにしながら遠くまで光を届けることができます。

1つだけ覚えておくといいのは、光ファイバーというのはコア(芯)と外側のクラッドという部分に分かれており、この構造が大事になってきます。

銅線でできたツイストペアケーブルでは電気信号を送るため、100mしか届けられないという弱点がありました。そのため、100mを超える場合には増幅装置を利用する必要があったわけです。一方で光ファイバーはより遠くまで届けることができます。伝送距離に関してはこの後のケーブル分類の時にお話ししましょう。

光ファイバーケーブルはその種類によって分類することができます。
さて、種類とは言いましたが、いったい何が変わるのでしょうか。それが光ファイバーの構造(コアの太さ)です。

光ファイバー内のコアが太いとその光が分散することができ、いろんな伝送路(モード)を通ることができます。これをマルチモード光ファイバーケーブルといいます。

マルチモード光ファイバーケーブルはコア系が50μmか62.5μmで、短波長の光を使用するプロトコル(通信の約束事)で使用されます。コアが太いといっても目で見えるか見えないかギリギリの太さですね。それでも光にとっては十分太いということになります。

また光が分散するため、伝送距離は550mとなります。これは銅線を用いたツイストペアケーブルの5倍の長さになりますが、次に登場するシングルモード光ファイバーケーブルに比べると短い距離になります。

次に、コアが8~10μmと非常に細いシングルモード光ファイバーケーブルです。こちらはコアが細い分光は分散せずに1つの伝送路を通ります。伝送距離は非常に長く70kmにもなるというのも驚きですね。マルチモード光ファイバーケーブルに比べて高くなるので、普段使いはできないですが、データセンターなどで使われいるそうです。

最後に、登場するのがMPOケーブルです。突然名前が変わったな~と思われるかもしれませんが、こちらはコアの太さの違いではありません。通常光ファイバーケーブルは送信用と受信用に2芯1対で使用します。しかし、近年の情報化に伴い通信量は爆増し、それに耐えうるインフラが必要になってきました。

そこでMPOケーブルでは12芯または24芯を1本に束ねたケーブルを使用します。これまで対向車線のある田舎の一本道だったのが、車線がたくさんある都心の道路になったような感じですね。

コネクタによる分類

ここまでは光ファイバーのケーブルの種類によって分類をしてきましたが、もう一つコネクタによる分類というのもあります。

コネクタは光ケーブルを接続するためパーツですね。そのコネクタにもいくつかの種類があるそうで、教科書にはよく使われる3種類が紹介されています。

まずはSCコネクタと呼ばれるコネクタです。差し込むときはプラグを押し込むだけ、引っ張れば簡単に外れるプッシュプル構造のコネクタです。扱いやすくて値段も安いですが、プラグが大きいのがデメリットのようです。

SCコネクタの一例

これまではSCコネクタが主流だったようですが、最近はより小さなLCコネクタが一般的になっています。外すときはLANケーブルのように突起を押して引き抜きます。プラグが小さくなったことにより集積化が可能になり、今後主流になっていくようですね。


LCコネクタの一例

大量の情報を一度に送るため伝送車線を増やしたMPOケーブルにはそれ特有のコネクタが必要です。それがMPOコネクタです。莫大な通信量が必要場所ではこのMPOコネクタが使われるんだと思います。

最後に

今回は通信に使われる光ファイバーの種類について紹介しました。私たちの生活を光通信には欠かせない技術ですが、こんなにも種類があるとは思っていませんでした。

現代の通信技術はあたりまえのように感じていますが、そこには過去の研究者や技術者たちの数多の努力があったといえるでしょう。

そして今もなお多くのエンジニアが日々新しい通信技術を生み出すために頑張っているんでしょうね。

参考文献


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