【龍の研究?】コモドドラゴンの唾液から新たな薬剤を生み出す
今年は辰年らしいですね。
こういうのに疎い私はTwitterで知りましたが、せっかく知ったので辰=ドラゴンにまつわる論文を紹介してみようと思います。
ドラゴンといっても現実は存在しません。というか、十二支に唯一空想上の生き物であるドラゴンが入っているのが例外なのかもしれませんね。
今回紹介する論文は現実に存在するドラゴンこと、コモドドラゴンにまつわる研究です。コモドドラゴンというと、ワニのような巨大な爬虫類で人間でも襲われるとひとたまりもありません。
そんなコモドドラゴンの唾液に含まれる最近は生き物を死に至らしめるほど強力であることも知られています。かなり恐ろしい話に聞こえるかもしれませんが、実はコモドドラゴンの唾液は生き物の命を救う薬になるかもしれません。
コモドドラゴンから生み出す抗菌ペプチド
薬の研究は発展しており、さまざまな種類の薬剤が生み出されています。その中でもカチオン性抗菌ペプチドと呼ばれるものがあります。
ペプチドというのはアミノ酸が結合した物質のことをであり、ペプチドが大きなサイズになったものがタンパク質になります。逆に言えばタンパク質を分解したときにできる小さな塊といってもいいでしょう。
タンパク質は生命が生み出したナノロボットと言えるほど非常に精緻な動きができ、生体内の様々な機能に携わっています。まさしく抗菌ペプチドというのは、菌に対抗する小さなロボットのようなものでしょう。
研究グループはコモドドラゴンの唾液からVK25というペプチドを抽出し、さらにそこから着想を得てDRGN-1という抗菌ペプチドを合成しました。名前からしてDRGN=ドラゴンですね。
この抗菌ペプチドを使って菌によって生み出されたバイオフィルムをどの程度減らせるかという実験を行いました。バイオフィルムとはシンクや水回りにできるぬめりのことです。その発生源は最近なんですね。
どちらもDRGN-1の投与を増やすとバイオフィルムが減少してる様子がわかりますね。
また、緑膿菌に感染した細胞に各種抗菌ペプチドを投与した時の細胞生存率を調べると、2時間でDRGN-1は顕著な効果を示しています。これはコモドドラゴンから抽出したVK25よりも顕著であり、VK25をヒントに合成されたDRGN-1の効力がよくわかります。
自然界にある神秘的な能力と人類の英知を組み合わせることで、新たな薬剤が生まれるかもしれませんね。
DRGN-1は傷の治りを早くする
研究グループは、実験用マウスに傷をつけてバイオフィルムに感染させました。その傷口に各薬剤を投与し、治るスピードを観察した結果、確かにDRGN-1がもっとも効果がありそうに見えます。DRGN-1を投与した場合、11日で傷口が完治しています。
実験用とはいえ、傷つけられて感染させられるマウスもかわいそうですね。研究のためには仕方ないんですけど…
このように実際写真で見てもDRGN-1の効果は他と比べても顕著であることがわかります。まだまだクリアしなければいけない課題は多いと思いますが、将来的にこのような技術が医療で活躍するといいですね。
最後に
ドラゴンの研究というと、人文学的にまさしく“神話の龍”について調べている人たちもいます。自然科学的なアプローチではないため、あくまで仮説の域を出ないとも言われていますが、興味があれば是非
参考文献
Komodo dragon-inspired synthetic peptide DRGN-1 promotes wound-healing of a mixed-biofilm infected wound