専門性って何だろう
最近、専門性について考えます。
みなさん、自身の専門性は何ですかと聞かれたらどう答えますか?
私の場合は、広いくくりでは物理、その中でも固体物理(物性)やソフトマター物理学となり、より細分化すると結晶、コロイド、DNAナノテクと答えます。
しかし、一番詳しいのはX線を使った構造解析です。それなのに専門はX線とはあまり言いません。これは本物の専門家をたくさん知っており、自分がいかに低レベルか理解できているからです。
(正直、結晶のプロも結構いるので、ちょっと恥ずかしいですが自己紹介では専門の1つとして結晶を上げてます。細かい話は置いといて)
正直、専門性を突き詰めれば、いかに自分のレベルが低いか認識できます。視野が広がることで見える世界観が大きく変わってしまうのです。
学生レベルで自分がプロ級だと思っていたら、おそらくそれは思い上がりです。(自分の研究自体にはプロ意識を持つべきだと思いますが、個人的に視点を学術分野に広げたときにプロというにはかなりの時間を要すると思います。)
私の場合はX線を使って6年ほど研究してきましたが、世の中には数十年X線を扱っている先生や技術者がたくさんいて、そのような方々を差し置いてプロレベルだとは口が裂けても言えません。
前置きが長くなりましたが、今回はそんな何とも言えない、どう定義していいかもわからない専門性について考え方が変わってきたというのお話です。
専門性よりも習得能力
最近、専門性よりも新たな能力を取得することの方が価値があるのではないかと考えています。専門性は重要ですが、自分の専門分野が廃れたら、または自分の環境が専門分野から大きく離れたらどうなるでしょう。
いくら希少な専門性を持っていても、使い道がなければ全く意味がありません。だからこそ、どんな専門性を持っているかよりも、新しい専門性を高速で吸収する能力の方が大事な気がしているんです。
ならば専門性を持たなくてもいいのかといわれたらおそらくNOです。
なぜなら、専門性を磨く経験がなければ、どうやって専門性を習得するかわからないからです。
要は声を大にして専門とは言えなくとも、学生の内に専門性と呼べるスキルや知識を習得するのは大事なことだと思います。
私もこれまで比較的幅広い領域の研究分野をかじりながら、メインであるX線、結晶、コロイド、DNAナノテクについて勉強してきました。その中で、メイン以外にも乾燥、プラズモン、高濃度電解質などの物理について理解してきました。
そこで培ったのは専門性ではなくて、専門的な知識をすぐに習得する技術です。この方法はあまり再現性がないと思うので、ここでは詳しく書きませんが、各々がやりやすいやり方で習得していけば良いと思います。
だからといって尖った専門をもって頑張っている人を無駄だとは言いません。誰よりも尖った人はどんな専門性でも絶対に需要があるはずです。
そのため、この記事は世界でNo.1になれない、そんな平凡な人間の生き方と思ってください。
とはいえ、100万分の1の人材というフレーズが有名になったように、100人の内で1位になれる専門性が3つあれば、そのかけ合わせたハイブリッドな専門性は100万人で1位ということになります。
この100人集めたときにNo.1になれるものをたくさん素早く習得することができれば、それはそれで希少で貴重な人材になれるのではないでしょうか
最後に
今回は専門性について思うことをダラダラと書いてみました。専門家にはならなくても貴重な人間になれるように頑張りたいと思います。
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