頭にコイルを入れる脳動脈瘤治療
みなさんの人生最大の痛みはなんでしょう?
さまざまな病気やケガがある中、トップクラスの痛みとされるのがくも膜下出血などの脳の損傷です。もはや自我を保っていることができないレベルということなので、想像するだけでも恐ろしいですよね。
この脳の痛みの原因となりうるのが、脳動脈瘤という脳血管にできた小さなこぶ(瘤)の存在です。
今回は医療的な内容をざっくり紹介してみます。ただ私自身は医者でもなんでもないので、鵜呑みにはせず詳細は読者の方々自身で調べてほしいです。
そうはいっても、このようなものがあると知らないと調べるきっかけにもならないと思うので、コラム的な立ち位置で書いてみたいと思います。
動脈瘤とは
動脈瘤とはその名の通り動脈にできた小さなこぶ(瘤)のことです。これは脳に限った話ではないですが、このこぶに血流による力がかかると大きくなっていきます。
最悪の場合、この動脈瘤が破裂してしまい致命的な状態に陥ってしまうわけです。
現在、この動脈瘤を処置する方法はいろいろ開発されています。有名なものでは人工血管(ステントグラフト)と呼ばれる筒のようなものを血管内に入れて、動脈瘤のエリアに血液が流れないようにします。
一方、脳動脈瘤の場合はコイル塞栓術と呼ばれる方法で治療を行われることが一般的です。
コイル塞栓術とは
血管の中に人工的な筒を入れることさえ、正直驚きですが、脳の場合はコイルを入れることがあります。コイルといってもぱっと見では極細の柔らかい金属がクルクルになったものです。それを直径数ミリメートルの脳動脈瘤に入れて生きます。
ここで一つ疑問が生まれます。そもそも、コイルを入れるといってもどうやって脳の血管までコイルをもっていけばよいのでしょうか?
それを解決するのがカテーテル手技です。カテーテルとは血管よりも細い樹脂でできたチューブのことです。このカテーテルを足の根本あたりの血管から挿入し、患部まで到達させます。
聞いているだけで怖くなるような手技ですが、実は体を切る手術よりもずっと低侵襲であることが知られています。なぜなら、カテーテルが傷をつけているのは、入り口の血管だけですからね。
カテーテルはチューブなので内部にコイルなどの他のデバイスを通すことができます。いわば、体の外から患部まで、医療機器が通るための専用トンネルを作ってやるイメージでしょうか。
こうして、カテーテルを通ったコイルは脳外科の先生の手によって上手に脳動脈瘤内に入れられます。
私はこの話を聞いたとき、瘤に金属入れてもいいの?逆に危なくない?と思いました。もちろん、医療行為にはメリット・デメリットはつきものですが、一般的に受け入れられている方法にはきちんとわけがあります。
まず、脳動脈瘤の増大を防ぐためには血流を阻害してやる必要があります。そのために、何かで詰め物をしてやったり、というのが1つの解決策のようです。コイル塞栓術以外では、頭を開いて、脳動脈瘤の入り口をクリップでつまむという方法もありますが、こちらは患者への侵襲性が高いという課題がありました。
ちなみに、コイル塞栓術も万能ではないので、コイルの隙間から血流が入り込み脳動脈瘤の再増大が起きたり、瘤の入り口が広いものではうまくコイルが入らなかったりします。
もちろん、そのような症例にも対応できるようにさまざまなデバイスが開発されています
コイルの表面に膨潤ゲルのコーティングをして、動脈瘤内で水分を吸うと適度に膨らんでコイルと動脈瘤の隙間を埋めてくれるものや、コイルが落ちてこないように抑えるデバイスを一緒に使うなどその進歩は目覚ましいです。
さらに最近では、コイル以外の選択肢というものも誕生しており、今後も脳動脈瘤治療は発展していくんだろうなと感じます。
最後に
ここで使われるデバイスをあれこれ紹介したいところですが、私が勤めてる会社の製品を紹介するとコンプラ的にアウトなので一般名称のみとさせてもらいました。
最後に念押しですが、あくまでネットで得られる知識をベースにコラム記事ですので、興味がある場合は信頼できるソースにご自身で当たってみてください。
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