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200mほどの静かな住宅街を歩く帰り道で、あなたの故郷のことを思い出してほしい

目黒駅から大鳥神社の方へ、権之助坂を下る途中に2つの道が合流するY字の交差点があります。その交差点から中目黒方向に降りて住宅街を抜けていく小道を200mほど進んだ左側の半地下にあるのがニューオープンの焼肉店「焼肉 きゅうこん」です。

5月27日(金)にオープンした「焼肉きゅうこん」は、肉師®の山瀬健策さんがプロデュースしたカウンター焼肉レストランで、日比谷ミッドタウン内のフレンチ「RestaurantTOYO Tokyo」などを運営する「TOYO JAPAN」の新業態です。

九州の魂」そして、地に根を張り花を咲かせる「球根」の2つの意味をもつ店名「きゅうこん」は山瀬さんが名付け親。山瀬さんの故郷である熊本県菊池市や熊本、九州の食材を使った焼肉レストランです。

肉師®の山瀬健策さん

僕自身は、企画当初から阿部洋介社長に話を聞きながら、「きゅうこん」と「菊池市(熊本、九州)」、「山瀬健策」という3つのキーワードと、「飲食事業が成しえるSDGsの達成」というTOYO JAPAN自体のミッションを繋ぐコンセプトメイキングを担当させてもらいました。

私自身は、肉師®という名で全国の牛や羊、豚などの農家をまわり、良い肉を適切に届けることを仕事にしています。そのため、これまでに日本中の生産地をいくつもまわってきました。すばらしい環境と意識をもった生産者のみなさんが日本各地にいらして、いつも刺激を受けています。

ですが、やはり「菊池がいい」と私は帰りながら思ってしまいます。

故郷に対する贔屓目は大いにあると思いますが、私はそれでいいんだと思っています。私自身が最高の牛肉の産地だと思っている菊池の牛肉や、故郷で育った食材を使った焼肉店ができたことはとても幸運で幸せなことだと思っています。

とはいえ「きゅうこん」では、みなさんに無理に菊池市の食材や熊本県の食材を食べてもらいたいわけではありません。じっさいに店では、菊池市以外で育った良質な日本のお肉をご紹介しています。

感じてほしいのは、故郷を思う気持ちです。こんなに故郷を愛する肉好きの男のお店で焼肉を楽しんでもらったら、きっとあなたもご自身の故郷のことを思い出すはずです。

故郷を思い、豊かな日本の各地に目を向ける。焼肉を通じて、地方の豊かさをお客様とともに大切にしていければと思っています。

きゅうこん 肉師®
山瀬健策

きゅうこんHP「きゅうこんのゴール」より引用

実際に菊池市にいって、山瀬さんのご実家の肥育農場や菊池市、そして熊本県内に根を張って生きている一次産業の皆さんにお会いし、菊池市、または熊本県という土を愛し、誇りを持ちながら、未来にその価値を残そうと取り組む皆さんの思いを聞き深く感銘を受けました。

その姿は、多くの地方にあるべきであるし、きっとたくさんの方たちが、長らく同じ思いで生きているのではないかということも強く感じました。

もちろん焼肉を食べて、九州の食材、菊池市の生産者さんのことを知ってもらうことが大きな目的ではあるのですが、そうした食を通した出会いの向こうに、日本の地方の豊かさを思い出すこともできるのではないか。きゅうこんからの帰路、権之助坂に向かう200mほどの静かな道で、食べ終えたみなさんが自分の故郷のことも思い返してもらえたら、今までとはちょっと違った焼肉屋さんになるのではないか。

山瀬さんの実家は、黒毛和牛の肥育農家。
きゅうこんのメニューには黒毛和牛だけでなく、「走る豚」というなの豚肉も入っている。泥のなかで動き回る武藤勝典さんの豚(放牧豚)をみて土から生態系を思い描いた。
トラットリア・ピッツェリアの「イルフォルノドーロ」へ 菊池市出身の原田将和さんのお店。原田さんは、モッツァレラやリコッタ、ジビエ(この日は猪)のソーセージなどなんでも自家製してしまう人。
熊本市でトマトを栽培する井手謙一さん。

そんな思いをぶわーっとコンセプトシートにまとめたものを、スーパーレストランマンの成澤亨太さんを中心としたTOYO JAPANのみなさんが「地方の豊かさを、焼肉を通して伝えたい。故郷を愛する肉師®の焼き肉レストラン」というキャッチコピーを作り、すばらしい料理と空間、サービスで形にしてくれました。

店舗デザインは、村木計さん率いる「MAAD.」。山瀬さんの故郷、菊池市の菊池渓谷をイメージした落ち着いた大人の空間です。」

きゅうこんの店舗デザインのもとになった菊池渓谷。太古の原生林が広がり、この場では人間は部外者でしかないと感じた。

チームの一員として、新しいお店の立ち上げに関われたのはとても光栄なことですし、このコンセプトがどのようにお客様に受け入れられ、成長していくのかも楽しみです。

お肉はもちろんおいしい、ドリンクもビール(もちろんアサヒビール)だけではなく、熊本の食材を使たカクテルや地酒・焼酎、ワインも(ワインショップも併設、抜栓料1000円払うと持ち込み可)ありますので、幅広い楽しみ方ができると思います。

季節野菜とミルバクのカプレーゼ風は熊本市のトマト農家、井手謙一さんの塩トマトと熊本県菊池市dwフレッシュチーズを作る原田将和さんのモッツァレラを使った一品 井手さんの無灌水・無堆肥の塩トマトはメッチャおいしい。

単品でお肉を選ぶ以外にも焼肉割烹的なコースもあって、カウンターデートならこちらがおすすめ。おしゃべりに夢中になってても料理が運ばれてくる 前菜3、肉4種盛り、赤身塊、すき焼き風、強肴、麺、デザートで8000円 焼くのが苦手な方もぜんぜんいけます

きゅうこんサラダ(自然薯入りのチョレギサラダ)
肉師®の炙りユッケ~九州醤油仕立て~
【焼肉三種盛】 例)ウチモモ・シンタマ・タンorハラミ
【きゅうこんの塊肉】 例)ランイチ
【肉の逸品】 ~和牛すね肉の揚げ出し~
【きゅうこんのシメ】 さっぱり柑橘うどん
【デザート】 いきなり大福 ~熊本名物”いきなり団子”のオマージュ
お酒 熊本トマトのチャミメアリー ¥800
お酒 お熊本デコポンのチェッロソーダ ¥800
お酒 擦りおろしレモンサワー ¥700
お酒 麦焼酎 八代不知火蔵 どぎゃん ¥650

コース料理のなかで特に印象的だったのが牛スネ肉の揚げ出しでした。スネ肉を煮込んでやわらかくしてから粉をつけて揚げ、お出汁をまわしかけたひと品です。

焼肉では使いにくい部位のスネをおいしく食べられるように手を加えて「肉の逸品」と名付けて焼肉屋のなかで価値をつけたサステナブルな料理は、実家が肥育農家である肉師®山瀬さんならではの、使い切る料理に感じた。

きゅうこんの精神が宿ったメニューは、もちろんおいしかった。

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