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note|もったいない料理人 みっきーさんのnoteを読んだ フードロスとウナギのこと

昨日10月30日は、「食品ロス削減の日」だったろうです。食品ロス削減は、毎日の積み重ねによって実現されるものだと思うので、記念日認定自体は、本質的な解決にならないと思いますが、それでも、誰かのきっかけになるのであれば、しっかり盛り上げていきたいものですよね。

そんなこともあって、記念日の翌日でありますが、読んでいて気になった料理人のみっきーさんの食品のロス(廃棄)について書かれているnoteをご紹介します。

フードロスに対して強い関心をもっているみっきーさんは、その問題がただ「食べ物を残さない」だけで解決する問題ではないといいます。

どれも手段の一つなのよ。
ビーガンだって環境問題の解決手段の一つだと思うけど、肉食わない為に植物性のスーパーフードを地球の裏側から輸入してるのは環境に良いとは言えないしさ。
思うに、大事なのは考えること。
全員に考えろとは言えないけど、色んな分野の色んな人が食の問題について考えて意見を出し合う必要があるんじゃ無いかな??
俺はきっと、これからも廃棄を減らす為の料理を作るし発信するけど、これはあくまでその時の俺がいいと思ってるだけだから
盲信せずに、自分なりに考えて欲しいなと思う訳です。

それホントにロスなの??
って疑う気持ちも大事だからね。
(もちろん、それホントに捨てて良いの??って気持ちも大事。)

「食べない」という選択をしてきたウナギ

つい昨日なのですが、鹿児島県の大崎町にいき、日本一の出荷数を誇る養鰻業者「鹿児島鰻」さんの取材をさせたもらった。

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ウナギ自体、トレサビリティが不透明であることがここ数年強く指摘されていて、僕自身、「ホワイトではなくグレーなら、クロと同じ。それなら自分はウナギを積極的に食べない」という考えをもっていました。

とはいえ、それは「ウナギを食べているなんて、麻薬をやってるのと同じだ!」といって嗜好している人を糾弾するようなことはなく、あくまで自分個人のスタンスではありました。

今回大崎町の養鰻業については、今後出るメディア記事に書くのでここでは割愛しますが、1つだけ、これまで本来ウナギは冬が旬なのに、わざわざ「土用の鰻」という夏場にイベントを仕掛けて、大量にフードロスを起こしているという問題に対して、養鰻業者からの意見を聞くことができました。

ルールを守っている人は批判されてはいけない

もし、土用の丑の日がなければ、あなたはウナギをいつ食べますか?

ウナギの稚魚であるシラスウナギは、12月1日から解禁する冬の魚です。冬に獲ったシラスウナギを1年間かけて大きくして出荷していくのが養鰻業です。

ウナギの生態はまだまだ解明されていないことが多く、さらに人工ふ化の技術はあるものの膨大な費用がかかるため、実用化されていません。そのため、「今年は良かった」「今年はだめだった」とうように、1年ごとにシラスウナギの獲れる量がかわっていくそうです。

完全養殖ができていないウナギは、やはり高くなって当然。高いのが当たり前なのです。

そんななか先の質問なのですが、そもそもウナギは日本人が日常に食べるものでは意外とないということもじつはあって、もし土用のウナギを食べる習慣がなければ、ウナギを食べるきっかけがなくなってしまうわけす。

そうなると、養鰻業の方たちは、ずっとダラダラとウナギを養殖して、収益も上がらなくなってしまう。場合によっては、未出荷のウナギ、いわゆる売れ残りのウナギが出たり、今以上に管理コストもかかり、値段があがってしまうこともあります。つまり1年に一度、集中して生産することで、全体のバランスとっているわけです。

そういった実情について、海の資源確保の観点からみれば「養鰻業者の生活がどうとかではなく、海の資源がなくなってしまうほどの獲ることは問題だ」という意見も出てくるのは当然です。

ただ、今回取材した鹿児島鰻さんは、国が決めたシラスウナギの漁獲量内で行っており、それ自体は違法ではありません。もちろん国が定めた漁獲量や資源保護のシステム自体が適正であるかどうかの議論はあるかもしれませんが、ルールを守っている人を批判するのは筋違いのような気がします。もし、資源管理があまいというならば、批判するならばその管理者を批判するべきです。

資源管理のルールを守っているからといって、土用のウナギの売れ残りが出ていいというわけだないだろう

世界的に資源保護が必須とされているウナギが絶滅させないようにすることは、正しい意見です。

一方で、養鰻業者の生活はどうなるのか。彼らの命は、生活はどうなるのか。「そんなの別のことをすればいいじゃないか」という意見ももっともです。養鰻をやめたあと、そこで働く人たちの次の仕事をどれだけの人がイメージできているでしょうか。

「食べない」ではなく「食べて解決」ができないか

鹿児島鰻さんでは、今後シラスウナギは減ったり、不漁の年などがでるということを想定して、スッポンの養殖を2018年から始めています。スッポンは、ウナギと同じ養殖設備や飼料を流用できることがメリットで、スッポンを食べるだけでなく、サプリメントとしても活用ができるということで、養鰻業の代替業として奨励されています。鹿児島鰻さんでは、ようやく今年から卵から孵化を始めて、完全養殖が始まっています。

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ウナギを食べる量を減らそう」ということは、そこに携わる人の生活を奪うことになるので、単に「フードロス」だけに目を向けるのではなく、人のロス、施設維持というロスなど、それによって生まれるさまざまなロスにも目を向けないと、本当の意味で解決に向かわないと思います。

僕自身、いままでウナギを「グレーならば食べない」(とくに養殖)というスタンスをとっていましたが、今回の取材で、その行動では問題を解決することはできないということを実感しました。

大事なのは、「食べない」ではなく「食べて解決する」ことなのではないかと思います。

そのためには、「これってもったいないなぁ」と思うのが大事だけど、その一方でみっきーさんがいうように「それって本当にロスなの?」と疑うことが大切なのではないかと思います。

もちろん、すぐに問題が解決されることではありませんが、今回のウナギのことのように、実際にその現場を見ることで別の事実が見えてきたり、報道や専門家の意見によっても、違う視点が見てきます。

それって本当にロスなの?」ということの答えは1つではないと思います。ですので、「食べて解決する」方法を、本当に長い時間をかけて見つけていくほかないと僕は思っています。

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明日は「Rock」です。


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