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世界のVIP向け香道体験

長く続いたパンデミックの体験を乗り越えた今、世界中の人々が、まずなによりも心身の健康を保ちたいという願いをもつようになり、人生で最も大切なことがより明らかになってきたように思います。最近では、Wellbeingという言葉をよく耳にするようになり、世界的な潮流となっています。

先日、白金台「八芳園」で、世界三大ブランドのひとつに数えられ、いわゆる雲上ブランドとして知られるスイスの高級時計会社のVIP顧客向けの聞香会(英語)を二回開催していただきました。「八芳園」のご担当者から、香道体験がお客様から大変好評であったとお知らせがありましたので、次回につなげていきたいと願っております。

今回はアメリカ・フランス・イタリア・チェコ・メキシコ・中国・香港など多国籍のグループ向けの聞香会でしたが、このような国際的な仕事は、私が最も得意としていることなのです。その理由は、私自身がロンドン・香港・ボストン・ニューヨーク・パリに10年間住んだ海外経験があり、51カ国の国々への旅から得た豊かな異文化体験があるからなのです。それぞれの国の人たち、とくに富裕層・超富裕層の方々が、どのような暮らしをされて、どのようなお食事や音楽を好まれているかを熟知している上で、お話をいたしますので、自然なかたちで共感していただけます。これまでの人生経験をすべて活かせることに、心から喜びを感じます。

世界各地に、茶道・華道・書道・着物・日本料理の先生は数多くいらっしゃってご活躍されていますので、、国内でインバウンド向け、とくにVIP対象の文化体験を提供するためには、工夫が必要だと思います。

それに比べて、香道の先生は国内外において非常に少ないだけでなく、通訳なしで英語で聞香会を行っている方はほとんどいらっしゃいません。そして、一般的な香道の体験が組香という競技形式であるため、初めてご参加される外国人にとって、あまりにも難解すぎるという声をよく聞きます。

そこで、私は、なるべくわかりやすいかたちで、お香について英語で説明するようにしています。和の香りといっても、香木やさまざまな香材が昔も今も舶来品であり、とくに伽羅は非常に希少性が高いものであること、そして、お香は世界共通の文化であり、シルクロードを通じて、ユーラシア全体の香りの文化がつながっていることをお伝えしています。

ゆったりした深い呼吸とともに、香木の香りを聞くと、心が落ち着き、香氣が経絡を巡ることで、氣・血・水の流れがととのって、身体があたたまり、頭がすっきりクリアになってきます。私が行っている聞香会では、伽羅を「陽」、白檀を「陰」として、陰陽のバランスをととのえることを大切にしています。そして、伽羅の香りは「魂のたべもの」といわれますので、前向きに生きる力が湧いてきて、内なる対話が自然に生まれ、人生における「魂の目的」に気づく人が多いのです。

そして、内側がととのった後に、平安時代の貴族が愛した薫物(練香)の香りを聞いていただきます。伽羅・白檀の香木は地球の叡智の結晶であり、神様からの贈物ともいえる香りですが、薫物は厳選された香材を使って私が祈りをこめて創作したお香です。とくに、古代蓮を使って発酵・熟成させた熟香®には不思議な力が宿っています。一般的な香席では、薫物の香りを聞くことはまずありません。お香の歴史をたどれば、室町時代におこった香道よりも平安時代の薫物の方がより古いものですので、両方の香りを体験していただくことには大きな意味があるのです。

世界のVIP・VVIP向けの香道体験をこれからもっと広げていきたいと願っております。日本だけでなく、海外にも出向いて、聞香会を行う機会を増やしたいと考えていますので、ぜひご縁をおつなぎいただき、お力添えを賜りたく存じます。

また、世界中の大学・大学院の日本研究の学部の教授・学生を対象に聞香会を今後、積極的に行っていきたいと考えております。若い人たちに体験していただくことは、やりがいを感じる社会貢献活動なのです。

私の仕事のホームページはこちらです。

eriyo@arts-wellness.com

渡辺えり代


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