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聞香療法〜魂のセルフケア〜

20代から始めた「御家流香道」のお稽古と、8年間住んでいた米国ボストンで体験した海外で唯一といえる「志野流香道」の教場でのお稽古を通して、基本的な考え方の違いについて知ることができたことは、私の貴重な財産となっています。

私は独自のスタイルで「聞香会」を長年にわたり、開催しております。

競技形式の「組香」でなく、心を研ぎ澄まして、無になり、香木の香りと向き合う「聞香」から得られることは想像以上です。

秋田大学医学部附属病院・心療センターの長谷川直義先生によって命名された「聞香療法」は、香を聞いて心気を整える心身症の治療法で、長谷川先生の独創です。

香料の文献を広く渉猟された長谷川先生は、香木が祭祀儀礼や医薬品として用いられていたことを重視し、香りが恍惚感・爽快感をもたらし、心の奥を揺さぶり、本能をかきたて、感情を高揚させる作用に注目しました。

フレグランスジャーナル臨時増刊No.2(1980)に長谷川先生が執筆された「心身症に対する聞香療法」では、匂いと身体機能は密接に関連していることを推定し、心身症の発生機序を理解する上で情動と身体との結びつき、とくに、情動と自律神経機能との関係を知ることが重要であるとしています。

長谷川先生は、匂いがもたらす高尚な世界を築いた香りの芸術「香道」で「香を聞く」ことが、雑念・妄想を消し去り、無念無想の状態にさせ、香とひとつになる恍惚感をもたらすと指摘しています。

長年香道のお稽古を続けている女性6名の健康調査の結果、「香を聞く」ことによって、匂いが嗅神経を介して、脳の情動ー神経中枢へ働きかけることが、精神を安定させ、心を清浄にして、孤独感を解放する効果を生むのではないかと推測しています。

60歳以上の心身症患者の女性40名を対象として、【1】常用している机の引き出し【2】懐中【3】財布の中【4】枕の下に3ヶ月間、「香袋」を置いて、心理療法・薬剤の併用をしない状態で1週間ごとに通院させ、自覚症状の聴取・CMIテスト及び鏡映描写テストによるパターン分析などの検査を 治療前後に行い、それらの変化から総合的に効果を判定した結果、日本人の心に微妙な影響をもつといわれる香が、心身ともにストレスにさらされることの多い高齢者の心に安らぎを与え、孤独感を解放し、老後の情緒生活の支え、心身の症状の改善に役立つと報告しています。

また、長谷川先生独創の「聞香療法」を15歳以上の心身症患者30名を対象に試みた結果、不安・怒り・緊張感・神経過敏・不眠・頭痛・頭重感などの精神神経系の症状に対して、効果が期待できると報告しています。

7年前に、フレグランスジャーナル社の津野田会長から「渡辺さん、後継者のいない聞香療法をぜひ受け継いで下さい。」とお話をいただいてから、医療従事者でない私になにができるか長年模索しておりましたが、ようやく「魂のセルフケア」として、お教えしていく決心をしました。

東京で新型コロナウイルスの感染が広がっていることから、当分の間はZoomを使って、オンラインレッスンとして行います。

第一回は8月8日に開催しますので、ご興味のある方はご連絡お待ちしております。詳細はこちらです。


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