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読書日記34 やんごとなき際には…

こんばんは。えりたです。
本日、読了した本はコチラです。

『やんごとなき読者』
■アラン・ベネット著/市川恵里訳
■白水社(Uブックス)
■1300円+tax
■ISBN:9784560072363

こちらの本は
病理医ヤンデル先生のこちらのtweetが
きっかけで購入→即読みしました。

このとき、とても疲れていたので
一息ついてから帰宅しようと
DOUTOR COFFEEに入ったですよ。
で、アイスコーヒーを飲んで
何となく、コチラの本を読み始めたら
そのまま没入。
「あ、ヤバイ、夕飯」と思い帰宅し
晩御飯を食べた後、そのまま再び没入。
一気に読み終えたのでした。

仕事終わりに、そんなふうに
本を一気読みしたのって
すっごく久しぶりで!
読みながら
それくらいワクワクしたし
めちゃくちゃ分かりみが深かったし。
コレドナ感が半端なかったんです。

・ ・ ・

ある日、愛犬を追って
ウィンザー城の裏庭にやってきた女王陛下は
移動図書館の車と、
本を借りに来ていた厨房の下働きの少年に
出くわす。
あくまでも礼儀上、一冊借りたことが
人生を変える、本の世界への入り口となった。
エリザベス二世を主人公に、
ユーモアと読書についての鋭い洞察と
本好きをうなずかせる名言に満ちた物語。

同書 裏表紙より引用

■本好きあるある物語

この本は、エリザベス女王が
「読書」に出会い、
どんどんのめり込み、分析し、洞察し
さらには「書く」ところまで行き着きます。

私自身、母に
「本さえ与えておけば大人しくしてた」
言われたことがあります。

小学校では学級文庫は言うに及ばず
図書室の本も片端から読み漁り。
担任の先生が自腹で
私の為の本を学級文庫に増やすことまで
してくださったのです。
えぇ、この段階で
かなり常軌を逸した読み方だったのですが。

高校、大学になると
幼い頃、活字中毒への扉を開き
そこに突き落としたはずの母に
「本ばっかり読んでるんじゃない!」
毎日のように怒られ。
一人暮らしをしていたアパートの
大家さんには
「床が抜けるから、やめてくれ」と言われ
引っ越し屋さんには
あまりの本の量に泣き言を言われ。
なんかもう、
周りの人に(主に物理的な理由で)
読書を全力で止められるようになっていました。

解説を読むと、その理由が
さらによく理解できるのですが
エリザベス女王も
周りの人から読書癖を
(さすがにやんわりとですが)止められます。

でもね。
人からの注意如きで
読書癖が止まるわけないんですよね
(笑)
そんなもので止まるくらいなら
多分最初から読むことになんて
没入しませんって。

そして、エリザベス女王も
周囲の思惑を振り切って
どんどん読書にのめり込んでいきます。

だから、何をしていても
「この時間があったら、本を読めるのに」
考えてしまう、、、
活字中毒には
もう分かりみしかないですよね(笑)

また、彼女は読書を通じて
思考や感じ方が少しずつ変化します。
あるいは、
70歳を過ぎてから読書に出会ったため
読んでこなかったことを後悔もします。
そのあたりも、深く共感し尽くしてしまう。
語り口がウィットに富んで、リズムがよいので
「わかる、わかる」と
どんどんページを捲ってしまうんです。

それも一気読みをさせる力だったり
この物語の面白さだと思います。

■女王が読むということ

そんなふうに
活字中毒あるあるに満ちた物語なのですが
一方で、タイトルにあるように
女王は「やんごとなき読者」です。

えぇ、あの
「いづれの御時にか、
やむごとなき際にはあらぬが…」の
「やんごとなき」です(説明とは)。

つまり、
女王だからこその感じ方、も
きっちり語られているんです。

「女王」という身分がどういうものか。
どのように育ち、だから、どう感じるのか。
あるいは、「エリザベス二世」は
英国でどのような印象を持たれていたのか。
それを彼女はどう演じていたのか。
また、彼女が
どういったことを踏まえた上で
どのように読み、感じるのかが
わりと詳細に語られます。
(もちろん、フィクションではありますが)

「女王」という身分、育ちの
(言い方はアレですが)特殊性を
きっちり描き込んでくるところも
この物語の興味深いところで。
女王の日常の在り方を
垣間見ているような気持ちになって
それも惹き込まれる要因だなと思うのです。

・ ・ ・

本を読む楽しさ、喜びに満ちた物語です。
読書好きならきっと
共感するところがめちゃくちゃありますし
普段、本を読まない方も
さくっとおもしろく読めて
読書の導入にもってこいな本だと思います。

うん。すっごく面白かった!

#読書の秋2022

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