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【読書note15/文芸】『老いの身じたく』

毎日たくさんの本が刊行されています。
新しい本、楽しいですよね。

今度はどんな世界が拡がる? 今まで何冊も読んでいる作家さんの本も、初めましての作家さんの作品も、どちらであろうと、「新刊」というだけで、否応なしに高揚感が沸き上がります。

そんななか、時折、既刊というか、自分としては初めましてなのですが、書かれてから随分時間の経ったものを読みたくなる時があるのです。

それは、もしかすると、自分のなかで「新しさ」が飽和してしまったサインかもしれませんし、いつもとは響きの異なる言葉に触れたくなったからかもしれません。

何にせよ、そういった書かれてからたくさんの時間をおいたもの、たとえば、近代以降に書かれたもの、古典と呼ばれるものなどは、最新の文学とはまた異なるおもしろみを含み持っていて、読んでいると、シンプルに「よいなぁ」と思い、楽しさが身の内にじわじわ染み出してくるのです。そして、心地よいのです。

今回はそんな本のご紹介です。

*こちらの記事は有料記事です。
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よろしければ。

■『老いの身じたく』について

■幸田文著/青木奈緒編
■平凡社
■2022年1月
■1800円+tax

終わりよきもの すべてよし

人生の達人・幸田文の生きかたから
芯の通った老いかたを学ぶ随筆選

第一章 軽快な年寄りになりたい
第二章 上手に老いる知恵
第三章 老後の楽しみの見つけ方
第四章 年寄りのいる風景
第五章 祖母としての幸福
第六章 夫婦で老いるということ
第七章 老いとはこんなもの

今回、『老いの身じたく』というタイトルでまとめた一冊には、幸田文が自身の老いを身近に感じ、周囲からもそんな話を見聞きするようになった日々のことが綴られています。少しの病気はするけれど、まずまず息災という段階の話です。

「あとがき」より

もともと、幸田文さんの随筆が好きだったというのがあります。が、この本はそれよりもタイトルに惹かれて読むことをきめました。

幸田文さんというと、明治の文豪である幸田露伴の娘さんで、めっちゃきびしく掃除を仕込まれたという文章が有名ですが(言い方)。あのちゃきちゃきとした感じだったり、今で言う「てへぺろ」的に差し込まれる言葉が大好きで。実は学生の頃に、よく読んでいたのでした。

■昭和の女性の作家さんの随筆が好き

昭和の女性の作家さんの随筆が好きです。現代って、どちらかというと素材とか発想の新奇さだったり、心に滲む情感だったりが中心ですよね。もちろん、それも大好きですし、読むたび泣いたりほっこりしたりしています。

もちろん、昭和の女性作家さんたちのお話にも、そういったものはあります。でも、それ以上に強く感じるのが言葉の扱い方や置き方の丁寧さ、細やかさなんです。

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