音と視覚の感覚をアップデートする@サカナクション『暗闇 -KURAYAMI-』
あいちトリエンナーレの音楽プログラムである、サカナクションのライブ『暗闇 -KURAYAMI-』に行ってきました!
ライブのコンセプトは「暗闇」。視覚を遮ることで音をより鮮明に聞くのだ!というライブです。
初めて知る、音の質感の違い
人生初のサカナクションでしたが、もはやライブではなくインスタレーション。芸術を見て、聴いてきたのだ…という感想です。
音の質感の違いをこんなに感じながら聞いたのは初めての体験でした。
どんな違いかを正しく表現するのはとても難しいですが…まず、音は聴こえるより降り掛かってくるという表現のほうが正しい気がしました。
そして、降り掛かってくるものたちの違いをものすごーーく伝わりやすくして表現してみるなら…絹の布が降り掛かってきたと思ったら、羽毛布団が覆いかぶさり(うぉっ!ってなる)、最後に温い水がかかってくる(さらにうおっ!!ってなる)。それくらい降ってくるものが違う感覚でした。
音がものすごく緻密にデザインされて、それが暗闇の中で何百倍にも増幅されると、こんな風に感じるものなのか…!と。
音楽は立体である
そう、リーフレットに表現されていた言葉通りの体験でした。
発想、企画、デザインがめちゃくちゃに上手だぞ…すごすぎる…。そして、耳が敏感な人たちは、きっとこれくらいの解像度でいつも音を受け入れているんだろうなぁ…。
視覚が占める領域
一方で、視覚の力すごい!とも改めて思いました。
まず、真っ暗の不安感。
目を閉じても開いても、見えるものが変わらない、何も見えない。その不安感と嫌な感じはちょっと予想外でした。
あとは、認識や記憶における視覚の影響の大きさも…分かっちゃいたけど、体感して、「解った」なと。
ライブは完全な暗闇ではなく、時々前方スクリーンに映像が映し出されたり、サカナクションのメンバーがライトアップされたりするんですが(当然だけど、真っ暗な時はメンバーすら見えない。ガチのファンは涙目だったことでしょう…)やっぱり視覚情報のあるシーンのほうが鮮明だし、モノの認識のされかたが違うし、脳みそが動いてる気がしました。そして、2日経っても覚えてる。
この体験を通して思うのは、五感を通して人が摂取する感覚は多すぎて、脳みそが処理しきれてない。結局のところほんのちょぴっとしか認識できてないんだろうなぁと。
なんなら、都合の良い部分しかすくい上げてないんだろうなぁ…。
たまにはこうやって何かを遮断して、自分にとって都合の良い、予定調和な感覚享受を壊して、拡げていくとまた新しい何かが見えてくるのかもしれないなと思いました。
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