北欧の暮らしに学んだ、冬をできるだけ幸せに過ごすために買ってよかったもの
コロナの影響で家で過ごす時間が多かった2020年。家を快適に、長時間過ごすのに耐えうる空間にしなくてはという問題に直面した人も多かったのでは。
でも、過ごしやすい家って一体どんなものなんだろう?
波乱に満ちた2020年の半分近くをデンマークで過ごす中、私はヒントは北欧の人々の暮らしの中にあるのではないか?と思い至った。
なぜ北欧の家は快適なのか
私の目から見て、デンマーク人は殆ど全員もれなく部屋を快適にすることに命をかけていて、そして全員もれなくセンスが良い。私の少ないデンマーク経験値でも彼らが部屋を心地よくするための日々の努力やエピソードだけで5本は新しくnoteが書けちゃうくらい、この手の話題には事欠かなかった。
どうしてそんなにも一生懸命、部屋に飾る絵やポスターを探し、植物を買い込み、電飾まで施してしまうのか…(そして電飾すらもセンスが良い)。
その事実は、日本において絵画が日常的に楽しむものとはお世辞にも言えない現状に嘆き続けてきた私にとっては大発見だったし、一体なぜそんなことになっているのかを知りたいと思うのは必然だったように思う。
ちょうど今働かせてもらっているデザインポスター会社の面接でも同じ話をしながら「私はその秘密が知りたいんです」と語ると、COOは笑いながら「冬になればあなたもすぐに分かるわ」と返してくれた。
そう、冬こそが彼らが部屋に命をかける最大の理由なのだ。
北欧の冬はとにかく寒くて、暗い。北欧の中でも最南に位置するデンマークですら日の出は9時で、15時頃には日が沈んでしまう。しかも曇天の空に太陽は遮られ、強い風が吹きすさぶ。16時には日もとっぷり暮れて、仕事をやる気なんてどこかに吹き飛んでしまうので、家に帰って暗くて長い夜を家族で過ごす。
家で過ごす時間がとんでもなく長い彼らは、部屋を快適にしないと冬を乗り越えられないのだ。最近は ヒュッゲ(Hygge)という言葉がもてはやされていたりするけれど、この概念も彼らにとっては生きていくための必要不可欠な知恵だったのだとすら思う。
そんな背景もあって、彼らはわりと小さい頃から男女関係なく「自分の部屋をいかに自分好みかつ快適に仕立て上げるか」という訓練を積んできているので、20歳くらいの子でも本当にセンスがいい。正直爪の垢を飲ませてほしいと思うくらいに部屋は綺麗で快適で、そしておしゃれだ。
そんな彼らと共同生活をしたり、自宅にお邪魔したり、さらには住まわせてもらう中で、私が彼らから学んだもの、そして借りぐらしの中で取り入れたものたちを紹介していきたい。
【1】部屋の雰囲気を手軽に変えるベッドリネン
全寮制の学校・フォルケホイスコーレに滞在する前に学校からの案内で、持ち物の中に「ベッドリネン」とあった。私はてっきりベッドは次のタームの生徒も使うから綺麗に使うために自前でシーツなどを持ってきてね、という意味だと思い、現地で使い捨てられるように古くなった白いシーツを実家から引っ張り出して持参した。
…ところが、他の子たちのベッドリネンといったらそれぞれのパーソナリティに合った思いおもいのファブリックを持ち込んでいるじゃあないか。私のルーミーは「きゅるん」という言葉が似合う可愛い女子だったのだけれども、彼女のベッドリネンは完全に「きゅるん」な柄だった。可愛かった。
どうやら学校側の意図も「ベッドリネンは部屋を彩る大事な要素だから、好きなもの持ってきてね!」ということだったらしい。
そして、みんなの部屋を見るうちに触発されてH&M Homeで衝動買いしたのが、写真にあるブルーのカバー。それに合わせて黄色のクッションも古着屋で20DKK(約350円)で発掘して購入。
カバーを変えて分かったのは、ベッドは部屋において面積がかなり広いので、これを変えてあげるだけで部屋の雰囲気がガラリと変わること。カーテンやカーペットよりも安いので、とてもコスパが良い。
デンマークの家では季節ごとに模様替えをして気分を変えることもあるらしいのだけど、ベッドリネンを変えるのは手軽だし、何種類かリネンを取り揃えて気分にあわせて変えるのは、なんだかとても良さそう。
【2】キャンドルは多分、太陽のかわり
素敵な北欧の風景の代名詞とも言える、キャンドル。
日本にいるときはキャンドルのある生活なんておしゃれだなぁ、くらいに思っていたけれど…こちらで生活して分かるのは、これは完全に必要不可欠な存在だったのだということ。
どれくらい必要不可欠かというと、キャンドルは太陽のかわりなんじゃないかな…?と思うくらい大事。
陽の光が無い生活というのは思った以上に鬱憤が貯まるものみたいで、とにかく自然の光はとても貴重。デンマーク人の自宅にお邪魔すると、キッチンの棚のうちひとつはキャンドルがビッシリ詰まっている…なんて言う光景を目にすることはザラだ。
私も、10月中頃からは毎日欠かさずキャンドルを灯している。照明を落として、少し暗い部屋の中で焚くキャンドルは美しい。蛍光灯の下ですべてのものがハッキリと見える生活とは対照的な、優しいまどろみの中にいるような世界は、冬の寒い季節も案外良いものだなと思わせてくれる力を持っている。
【3】花があるだけで、日々に瑞々しい変化が訪れる
ヨーロッパの街を歩くと花屋の多さに驚くことがあるけれど、ここデンマークも同じ。素敵な花屋さんを見つけるのに困ったことはないし、路上で簡易テントを立てて花を売っていたり、スーパーでも切り花から小さな鉢植えまで取り揃えていたりする。
デンマーク人の家には必ずと言って良いほど大きな鉢植えのグリーンや切り花が置かれている。北欧の冬の天気を体験すれば、これも彼らが生きていくために生み出した処世術だと簡単に想像できる。
特にお気に入りなのが、ヒヤシンス。デンマークのクリスマスではなぜかヒヤシンスが定番みたいで、11月になった頃から花屋はもちろん、スーパーにもたくさんヒヤシンスの球根が売られてた。
お値段も10DKK(170円くらい)〜と物価の高い北欧には珍しくお手頃だったので部屋に迎えてみたのだけど、つぼみの状態から少しずつ育っていく姿に毎日「花の色が見えてきた!」「もう少しで開花しそう…」と一喜一憂する。
そして、開花した時の花の香りの芳しさったら...。
ずっと花の横で深呼吸していたくなるような優しくてみずみずしい香りは、私の想像していたクリスマスとはちょっと違ったけど、この寒くて暗い季節にこの花を飾りたくなる気持ちがよく分かる気がした。
【4】毎日つかう器は、生活を少しだけヘルシーしてくれる
北欧の国々はイッタラ・アラビア・ロイヤルコペンハーゲンなど、世界的にも有名な器のブランドを排出している。
コペンハーゲンで暮らしていると、大小様々な陶芸家・窯元が街中にショップ兼工房を構え、数多のセレクトショップに卸しているのが目にとまる。彼らの生活の中における器の存在感の大きさを感じると共に、こういう文化の中で世界的なブランドが育っていったんだなぁと想像する。
私のコペンハーゲン滞在はほんの4ヶ月半なので、荷物になる買い物なんてご法度だと重々承知なのだけれども…街を歩けば、どストライクな器たちに出会う日々…我慢の限界を超えて、いくつか家にお迎えしてしまった。
紙皿でもタッパーでも、ご飯を食べるには事足りる。だけど、1日3回は手にとり、目に触れる器の存在感はやっぱり大きいし、器は家ごはんを美味しくしてくれる。外食ができないロックダウン期間中、彼らの活躍なしには私の生活はちょっと成り立たなかったかもしれない。
私の生活を少しだけヘルシーにしてくれたコペンハーゲンの街の誘惑、ありがとう。
部屋を居心地よくする北欧の人のワザはまだまだ沢山あるのだけれど、今回は気軽に取り入れられて、私が日本に帰国しても続けたい4つのアイテムをご紹介してみました。
他にも家具、ランプ、絵画…と全然気軽じゃないアイテムも盛りだくさんなので、それはまた別の機会にでも。
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