やっぱり恋がダイッキライ
大学生の頃、片思いをしていた男の子がいた。
同じ、クリスチャンコミュニティーにいて、
その人はよくギターを弾いていた。
彼の周りにはいつも友達がいて、
よく笑っていたことを覚えている。
今日は彼来ているかな。
毎週木曜日、そんなことを考えながら
みんなが集まる部屋に向かう。
そして、彼をいるのを確認した。
今日はいる!
どう思って、私の心が一瞬にして明るくなる。
でも、心とは裏腹に私は表情を変えることなく
仲のいい友達と話し始める。
騒がしい中、彼のギターの音に耳を澄ませる。
歌いたくなるくらい、スムーズな演奏。
あ、あれ音を外した。
「Erina、聞いている?」
「あ、うん。それで何だっけ。」
明らかに人の話を聞いていない私に
友達はあきれる。
だって、彼のギターの音が心地よくて、
話なんか聞いてなかった。
そんな弁解できなかった。
彼がギターを弾いているところを見る、
ほっこりした気持ちになる、
落ち着く、
彼ともっと近くになりたい。
でも、そんなこと想像できない。
これが恋なのかな。
やっぱり恋って苦手だ。
こんな感情、全然好きじゃない。
ある日、同じグループの友達の誕生日会に
彼も来ていた。
そして、彼と対角線上の席に座る。
やっぱりかっこいいな。
この時には、私が彼のことを好きなこと
を友達も気づいていたみたい。
帰り際になって、だれが送っていくのか。
帰る方法をみんなが話始めた。
「じゃあ、Erinaは〇〇に送ってもらいなよ。」
これは、完全に仕掛けられた。
そうはわかっていたものの、
私は何も言うことができない。
車の中、私は彼と二人になった。
「中国語話せるんだって。」
「少しだけ。」
「あ、そうなんだ。」
緊張しして、声を出そうにも息が詰まる。
空気が、いつも以上に重たく感じる。
何を話せばいいのだろう。
もう、こうなったら何も話さなくてもいいんじゃないか。
そう考えているうちに私のシェアハウスまで戻ってきた。
「今日は、送ってくれてありがとう。」
そう言ってドアを閉めて彼の車が見えなくなると、
冷たい空気を肺いっぱいに吸って大きなため息をついた。
なんで、好きという感情は
私をこんな風に変えてしまうのだろうか。
自分は誰とでも話すし、
比較的すぐ人と仲良くなる。
男友達の前では、いつも冗談を言って笑っている。
誰かをスキになる。恋をする。
やっぱり、私には無理みたい。