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開いているピアノ

サマースクールが終わった。
8歳から21歳までの若きピアニストたちが
轟千尋先生の音楽劇「わたし、ピアノすきかも」の舞台を目指して、音作り、役作りに挑んだ6日間。

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だいたいの曲は夏休み前に渡していたけれど、
休み中はレッスンのないフランス‥‥

初日に個人レッスンで譜読みをし直し、
全員で台本読みをして

3日目からは
皆で意見を出しながらリハーサルを重ね、
どんどん形にしていった。

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サマースクールの醍醐味はたくさんあるけれど、
特に毎年実感する点がふたつある。

ー 毎日何度もピアノに向かうことで、
日々のお稽古の大切さを実感する。

ー 皆で一緒に頑張ることで普段以上の力を発揮する。

ピアノという孤独な楽器も、
一緒に聴きあったり
弾いたりすることで刺激を受け合い、聴く力や
曲を仕上げるスピードがぐっと上がる。
これまでにチェロやクラリネットなど
他の楽器との講習会もしてきたけれど、
ピアノだけでも楽しめる方法はたくさんある。

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特にこの音楽劇の楽譜には
物語に沿って
効果音を入れたり、
ソロの曲に少し音を足して連弾の喜びを味わうことが できたり、

と皆で楽しめるオマケがたくさん付いていて嬉しい。

効果音では「落とす」「転ぶ」「叩く」など
実際の音と聴き比べながら
弾き方を工夫するということを覚えた。

少し音を加えて簡単にできる連弾をしていたら
ズルい!私もしたい!という子がいて
小さな鉄琴を加えたり、アレンジもどんどん広がる。

劇にも全員が参加できるように
ナレーターや配役を決めた。
シナリオを読みながら

「今、読みながら自然に状況や気持ちを
読み取って声の出し方を変えたよね?
点や丸で息つぎをしないと、何言ってるかわからないし、苦しいよね?
音楽も同じ、譜読みしながら
意味を汲み取って、すぐに音色を変えよう。
フレーズがわかったら息つぎもしよう。」

というと、皆ハッとした顔ですぐに反応した。

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( 日本語も書いてくれた!)

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たかきみやさんの温かい素敵なイラストも
プロジェクターで写すことにした。
リハーサル中、大画面のイラストに
小さな子達が、C’est beau セ・ボー!きれい!

と見惚れていて可愛いかった。

弾きながらナレーターを聞き、絵を見ることで
緊張せずに物語に浸れた、という子もいる。

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そして迎えた本番。

くまさんの上着、猫耳、妖精さんの羽、

などアクセサリーも自ら持ってきて、

役名で呼び合い、

「わたし、ピアノすきかも」の世界に

すっかり入り込んでいる。

主役は、マリルーちゃん、

自慢の金髪をミミと同じ髪型にし、

長い台詞もぜんぶ覚えて、役になりきっている。

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観客席の親御さんからも拍手喝采、

なんて素敵な作品、とたくさん嬉しい言葉を頂いた。

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さて、音楽劇の最初の方に

「とじたままのピアノ」という小さな曲がある。

弾いてもらえないピアノの悲しみ、

淋しさの表れた曲で、たった2段なのに

メロディもハーモニーも心に沁み、 

感情を込めて弾く勉強ができる。

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コンサート前に、ある女の子が

こんなプレゼントを贈ってくれた。

「私のピアノがまだ開いているのは

あなたのおかげです」とあって

Googleで訳したという日本語もついている。

一日中のサマースクール後に、夜おうちで

作ってくれたのだそうだ。

思わず涙が込み上げた。

そうか、皆のピアノを開けておく、

それが私の仕事なんだな

と、思った。

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どうしても実現したかった企画に

楽しく取り組んでくれた講習生の皆、

翻訳、舞台づくりに協力してくれた家族や友人に感謝!

轟千尋先生、Mimi in France 🇫🇷 、一歩前進です。

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