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読書感想文「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー 」

「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー The Real British Secondary School Days」ブレイディみかこ著

現在の読書スタイルは、一日に少しずつ時間をとって10日前後掛けて1冊の本を読み切る、というスローペースだ。
主に子どもの寝かしつけ後1時間程度が読書(勝負)時間で、身体的、精神的余裕が無かった時期は気になる本をそのまま気にしておく力すら無かったけれど、ここ数か月で読書という行為に対する心の余裕が生まれたのでポツポツ読んでいる。
子育て中読書億劫現象(どうしても名前を付けたかった)はさておき、そもそも話題になっている本を手に取ろうとすること自体があまり無かった自身が最近読んだ2冊はいずれも話題になった作品である。

上記のタイトルだけがラジオから聞こえた時、印象的で忘れられなかったため、どんな内容なのか検索した。
大衆的なラジオ番組内で紹介される作品なので正直あまり期待していなかったが、ブレイディみかこ著で2019年の「本屋大賞ノンフィクション本大賞」受賞作品とのことで話題になるのも納得である。
イギリス在住のブレイディみかこ氏の息子が中学校へ入学してからの2年弱を母親の視点で書き綴られたもの。多様な人種が暮らすイギリス生活の中で起こる差別や貧困、教育の問題。それらを子どもならではの柔軟性と知識、そして彼が元々持っている素質を生かして乗り超えていく姿が描かれている。

私の説明など不要なくらいの素晴らしいインタビュー記事があった。
https://www.nhk.or.jp/ohayou/digest/2020/06/0601_2.html
(まさかのNHK。読めば読むほどNHKの取材であることが信じられない)

読了後にまず考えたことは「やっぱり、教育って大事」。
現在の日本の教育はもう絶望するほど終わっていると考えている私からすれば欧州の教育はどれも良く見えてしまいがちなのだが、特に日本の教育に圧倒的に足りていないのは社会の中に生きていると実感できるカリキュラムだと思う。本の中でCitizenship Education(市民教育)という授業があるが、こういったものは日本の公教育には無い。
「エンパシーとは何か」と問われる授業って、もうそれだけでワクワクするなぁ。そんな、大人が受けたくなるような授業を求めているのだ。社会や政治に関心を向けさせてくれる教育があらゆる差別、貧困、対立を解決していく道筋になってくれると信じている。

この本は、その為に私ができることは、子どもに伝えていけることは、という問いに対するヒントをたくさんくれる今一番のおすすめ作品だ。


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