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「星の案内人」

プラネタリウムが好きだ。

暗闇に目が慣れてくると、真上にはたくさんの星々がそこに在る。

自分が地球という星に今、存在していて、地球は宇宙に在ることを、思い出すことができるから。

この漫画に出逢ったのは、国立公園の中に立地しているホテルのライブラリー。
大自然の中にあるホテルなので、天候がよければ、夜にはたくさんの星が見ることができる。
そんなホテルのライブラリーには、星や宇宙に関係する書籍がいろいろとセレクトされていて、その中にこの漫画(全4巻)があった。


物語の主人公は、小学生のトキオ。
わけあって、父方の妹であるふみおばちゃんと都会から離れたのどかで自然豊かな場所で暮らしている。

そんなトキオがある日、道に迷ってしまい一風変わった建物を見つける。
それは、私設のプラネタリウム"小宇宙"だった。

そこには、じいちゃんがいて、初対面のトキオに宇宙についていろいろと教えてくれた。

その日から、"小宇宙"はトキオの居場所になった。

物語は"小宇宙"で、偶然出会うことになる家族連れ、クセのある大人、都会からの転校生、東京からバイクで山を越えて迷い込んだ女の子、母校が廃校になると聞いて戻ってくることにした大人などなど、たくさんの人々との出会いによって、成長していくトキオの様子が優しく丁寧に描かれている。


じいちゃんの宇宙と星、天文学の歴史、星に関する神話などを交えたプラネタリウムの解説はとても魅力的で、一緒に読んでいた子どももプラネタリウムや宇宙と星が好きになったほど。


我々の太陽系は太陽を中心として常に惑星たちと己の舞を舞いながら銀河を勇躍しているんだよ!!
(略)
かつて衝突や合体があり50億年を経て今の調和ある太陽系になった
だからこそ永く美しく輝くんだよ
惑星も人も太陽の様な偉大な働きがあればどんな事があったって生き方を迷わないんだよ
だって想像してごらん
我々は宇宙のはじめからあって今回は太陽系という舞台に参加してるんだよ
楽しいだろ?
この荘厳な宇宙の舞台で自らの精一杯の美しい舞いを舞えばいいんだよ!

芳文社  上村五十鈴「星の案内人 4」
第29話より

物語の中のじいちゃんのこの言葉は、これからの将来のことを考え過ぎて煮詰まっていた女の子とトキオに、太陽系がどんな風に生まれたのか説明しているときに放たれたものだが、毎回読むたびに「そっか、そーだよね!」と一人で感動してしまう。

じいちゃんは、説教くさいわけでもなく、本当にニュートラルで開かれた人で、"小宇宙"を作ったのも「宇宙を知って欲しいから」という思いで、仕事の傍ら投影機を作ってプラネタリウムを建てたそうだ。

そんなじいちゃんとの出会いが、自分はずっと一人だ、どこにいてもいちゃいけない気がしてたと思っていたトキオを、星が旅人を導くように変えていく物語。

七夕の今日、また読み返して、夜には空を見上げてみたいと思う。




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