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猫の尻尾はするりと抜ける

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短編小説|カムパネルラの手紙

短編小説|カムパネルラの手紙

 目が覚めると、部屋の灯りはついたままだった。いつのまにか眠りに落ちていたらしい。まるで何十年も何百年も眠っていたみたいに体が重い。リビングの床に転がっていたせいで背中は痛く、寒い。ずいぶん遠くまで歩いた後のような、空腹と気怠さと果てしなさが重なった眩暈。時計の針は午前2時を回ったところだ。

 喉がやけに乾いて、力の入らないまま無理やり体を起こした。不必要に重力を感じながら、よたよたと歩き冷蔵庫

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短編小説|バターの匂い

短編小説|バターの匂い

 目が覚めるといい匂いがして、隣の部屋からガタゴトと音がした。口の中は昨日飲んだワインの味が残って、渚がいた右側だけ妙に痺れていたから、いつもより大きめに伸びをしてぼんやりとした頭を掻いた。シングルベッドの上にまるまった布団を畳んで、寝違えてしまった首を回しながら音の鳴る方へ向かう。

「おはよう、朝ごはん食べるよね。二日酔いには、お味噌汁がいいからね」
 渚のいつもの癖だ。お酒の強い彼女は、二日

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